47年の歴史に幕 市民の情報源として愛され続けた情報紙 「ライフさせぼ」最終号に込めた思い《長崎》
市民に親しまれてきたタウン情報紙が、47年の歴史に幕を下ろしました。
最終号の発行に密着、歴史を振り返ります。
先月25日、佐世保市の四ヶ町アーケード。
いつものように『ライフさせぼ』が、店先に置かれました。
毎週発行されるタウン情報紙ですが、この日配られたのが「最終号」です。
(佐世保市民)
「終わるのが悲しい。これが情報源」
「佐世保のことがよくわかって楽しみに待っていた」
(佐世保市民)
「大好きだった」
1977年12月創刊の『ライフさせぼ』。
第1号は、佐世保市の商店街の年末の情報が集められました。
生みの親である小川照郷さんは、今もその日のことが忘れられないといいます。
(ライフ企画社 小川照郷会長)
「年末商戦が1番にぎやかだったから、一番広告が取れるだろうと年末に向けて(創刊しよう)と思ったが、一番忙しい時で相手なんかしてくれなかった。 2か月ぐらい準備して、営業をして出せた時には、すごくうれしかった」
小川さんは佐世保市出身。東京の番組制作プロダクションで、脚本などを手掛けていましたが、故郷 佐世保に戻ることが決まり、これまでの経験を佐世保でもいかしたいと考えたそうです。
(ライフ企画社 小川照郷会長)
「地方の情報というのが なかった。ふるさとに帰ってきて、ここについての情報を書こうと思った」
佐世保の人たちの生活が豊かになるようにと、名前は『ライフさせぼ』に決定。
8ページの紙面で、生活やイベント情報のほか、地域の歴史などを紹介。ぺットの飼い主募集など、読者が投稿できるコーナーも人気となりました。
事業所や店舗などの公告収入で、毎週約6万5000部を発行し、商店街への配布のほか、ポスティングで家庭にも届けてきました。
(ライフ企画社 小川照郷会長)
「佐世保という限られた商圏の中の媒体と考えた時に、有料で買ってくれるかというと、そうはいかないだろう。リスクはあったけど、47年もよく続いた」
発行に携わるのは7人。取材や原稿づくり。紙面の編集から配達まで、様々な仕事を担います。
浦郷 誠さんは、佐世保生まれの佐世保育ち。入社から35年にわたり携わってきました。
一番の思い出は『ライフさせぼ』が元になった「佐世保弁辞典」の制作だと話します。
(ライフ企画社 浦郷 誠さん)
「毎週 “佐世保弁”を一言載せて、解説を書いていた。それを一冊にぐっとまとめたものを発行したんです。全国から問い合わせが、佐世保出身の人が欲しいといって。すごく皆さんに評判が良くてベストセラー。それが一番、思い出に残っている」
毎週欠かさず、市民の元へ。反響を呼んだものも多くあります。
1992年の「680号」は、開園間近のハウステンボスを紹介。記者自身がレポートし、何が体験できるのかを市民目線で伝えました。
また、1999年の「1051号」では、東京までを結ぶJRの寝台特急列車「さくら号」の廃止を取り上げ、その歴史を紐解いた特集に。
しかし、時は流れてインターネットやSNSが普及。
ローカル情報紙の役目は果たしたとして、2243号を最後に「終刊」とすることを決めました。
最終号は、通常の2倍の16面で発行。
150通以上寄せられた “読者のメッセージ”を載せるためで、一つ一つをじっくり読んだ上で、掲載へにつなげます。
最終号の閉め切り間近。福岡の印刷会社にデータを送るため、スタッフみんなで最後のチェックを進めます。
(ライフ企画社 浦郷 誠さん)
「何回やっても、間違いがいっぱい出てくる」
(ライフ企画社 新井 光さん)
「本当に今回が最後の号ということで、間違いや誤字脱字も含めて替えが効かないので、より神経を使う」
作業に4週間を費やした最終号。チェックも終わり、福岡の印刷会社へデータを送りました。
(ライフ企画社 浦郷 誠さん)
「ばたばたしていたが、とりあえず一息つける。もうなくなると思ったら、さみしくなるかもしれない」
翌朝、出来上がった最終号が福岡から届きました。
『ライフさせぼ』の仕訳け作業も、この日が最後です。
(ライフ企画社 浦郷 誠さん)
「本当に終わるのだろうかと思う」
すぐに届けようと、佐世保一の繁華街 四ヶ町アーケードへ。
コンビニ前のいつものボックスへ入れていると、すぐに駆け寄って、手にする人が次々と。
(ライフ企画社 浦郷 誠さん)
「はい、どうぞ」
読者から寄せられた思い出や感謝の言葉が掲載された最終号。
「私と同級生の『ライフさせぼ』。同じ時代を歩んできたことをうれしく思います」
「貴紙の存在で、自分が佐世保人であることに誇りを持たせてくれました」
紙面には、市民へ贈る 『ライフさせぼ』からの “ラストメッセージ”も 。
~ 『ライフさせぼ』は終わっても「させぼライフ」は続きます! ~
佐世保でのライフ(暮らし)が、豊かに楽しく幸せでありますように。
まちの魅力を発信し、そこに暮らす人々に寄り添ってきた『ライフさせぼ』。
みんなへのエールで、47年間の幕を閉じました。