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対象はインバウンド客「オーダーメイドで長崎の良さをどう見せるか」英語専門の観光ガイドに密着《長崎》

2024年8月26日 6:45
対象はインバウンド客「オーダーメイドで長崎の良さをどう見せるか」英語専門の観光ガイドに密着《長崎》

英語で長崎を案内する「パーソナルガイド」の男性に密着しました。

“オーダーメイド” でクルーズ客をもてなします。

▼インバウンド客の要望に応じたプライベートガイド

英語専門で観光ガイドを行う浜崎正尚さん 62歳。

クルーズ船で長崎にやってきたインバウンド客の要望に応じて、長崎のまちを案内しています。

(英語専門の観光ガイド 浜崎正尚さん)
「深い知識はまだまだこれからだけど、長崎の良さをどれだけ見せるかというのが、僕の今の仕事であり楽しみ」

午前7時。

クルーズ船が着岸する長崎市の松が枝国際ターミナルでは、土産物などを販売するブースの準備が進められていました。

その中に、浜崎さんの姿も。

ターミナルに申請をし個人でガイドのブースを出していて、外国人観光客からその場で依頼を受けます。

この日入港したのは、アメリカの会社が運航する「セレブリティ・ミレニアム」。

乗客の7割がアメリカ人で、英語圏の観光客が多い船です。

ガイドの依頼が期待されますが、懸念も…。

(観光ガイド 浜崎正尚さん)
「これだけの雨の日は(ガイドを)やったことがない。どういう人が出かけたいと言うのか、どこに行きたいと言うのかは、全くノーアイデア」

午前8時半を過ぎ、徐々に乗客がターミナルにやってきました。

すると、1人の女性が浜崎さんのもとに…。

(観光ガイド 浜崎正尚さん)
「有名な観光地を1つ教えてって?。長崎原爆資料館」

(女性)
「good-bye 」

(観光ガイド 浜崎正尚さん)
「あの人は(ガイドに頼らず)、自分で行くタイプだと思った。こんな紹介はは1日何十件もやっている」

▼金額交渉からコースの組み立てもその場で

再び客を待つ浜崎さん。

(観光ガイド 浜崎正尚さん)
「Good Morning」

(女性客)
「長崎を巡るのに、プライベートガイドが必要」

やってきたのは女性3人組。今度はガイドの依頼のようです。

(観光ガイド 浜崎正尚さん)
「4時間くらいの半日コースなら300ドル」

ガイドの価格は、2~3人で1日400ドル。日本円で約6万4000円、半日なら300ドルで約4万8000円。

欧米のプライベートガイドの価格を参考に設定したそうです。

(観光ガイド 浜崎正尚さん)
「多分、適正価格だと思われている。というのは、誰からも価格交渉をされたことがない。当然、これに見合う喜びや楽しみを提供するようには心がけている」

メキシコから来た三姉妹とも交渉成立。

プランを組み立てながら、すぐに出発の準備を始めます。

移動で使うのは、浜崎さんの車。

観光ガイドが自家用車に客を乗せて案内することは、国のガイドラインで認められているそうです。

(女性客)
「私は1959年生まれ」

(観光ガイド 浜崎正尚さん)
「あなたのほうが2年先輩」

車内でのコミュニケーションも欠かしません。

最初にやってきたのは、長崎原爆資料館。

平和に関する施設は欧米客の関心が高いそうです。

平和公園や爆心地公園も案内。

(女性客)
「日本では何の宗教を信仰する人が多い?」

(観光ガイド 浜崎正尚さん)
「最も多いのは仏教と神道。長崎ではキリスト教も多い」

一方的に説明するのではなく、会話をしながらその場所の背景を伝えていくのが浜崎さんのスタイルです。

▼「長崎が美しい街なんだと見せびらかしたい」

浜崎さんは長崎市出身。

中学3年生の時に、父親の仕事の都合でブラジル・サンパウロに移りました。

現地のアメリカンスクールで様々な国の人たちと交流。

その後、東京の大学を卒業し様々な仕事を経験したのち、2年前にふるさとに戻りました。

(観光ガイド 浜崎正尚さん)
「ほぼ50年ぶりに長崎に戻った。子どもの頃は全く気が付かなかった。長崎がこんなに美しい街なんだと、これはいろんな人に見せびらかしたいと思って始めたのがこの仕事」

三姉妹を次に案内するのは、諏訪神社です。

拝殿に参拝した後、奥に進み、赤い鳥居が並ぶ玉園稲荷神社へ。

穴場のスポットを紹介することも心がけています。

(観光ガイド 浜崎正尚さん)
「多分他の人では誰もできない。団体のバスでは絶対できないし」

神社を離れた後は眼鏡橋や新地中華街などを巡り、「ショッピングがしたい」との希望を受けて浜町アーケードへ。

ここでガイドは終了です。

(女性客)
「素晴らしい1日になった、ありがとう」

(観光ガイド 浜崎正尚さん)
「車の中とかでずっとプライベートな話や旅の話もするし、だんだん距離が近づいてくる。そうなると別れ際は寂しい」

▼長崎にはビジネスチャンスがいっぱい

自らも楽しみながら、多くの旅行客を案内している浜崎さん。

外国人向けのプロのガイドは長崎では、ほかにいないそうです。

(観光ガイド 浜崎正尚さん)
「長崎は “国際観光都市” というイメージがあって英語のガイドもいっぱいいると思った。ところが始めてみたら誰もいなかった」

ガイド不足の現状を受け、長崎国際観光コンベンション協会は英語ガイドの育成を決定。

現在、研修の受講生を募集していて、浜崎さんもこの取り組みが実現するよう、協力するそうです。

世界から訪れた旅人たちの要望に応える「パーソナルガイド」。

世界水準のおもてなしで、長崎観光のレベルアップにも貢献します。

(観光ガイド 浜崎正尚さん)
「インバウンドの人は、今後も長崎に数多く来る。ここにはビジネスチャンスがいっぱいある。インバウンドに向けた新しい仕事がうまれてくる余地がたくさんある。田舎の観光地だと思わず、もっと羽ばたける仕事があるんじゃないかなと思っている」


【NIB news every. 2024年7月3日放送より】