×

19歳で被爆した井黒キヨミさん死去(享年97) 国内外で訴え続けた核廃絶の願い 後世に託して

2023年11月28日 20:01
19歳で被爆した井黒キヨミさん死去(享年97) 国内外で訴え続けた核廃絶の願い 後世に託して

19歳で被爆し、語り部として活動してきた長崎市の被爆者、井黒キヨミさんが25日に亡くなりました。97歳でした。

井黒キヨミさん「平和の尊さを永久に言い続けていくしかない、それだけが望み」

県被爆者手帳友の会の前会長で4年前に亡くなった井原東洋一さんの姉・井黒キヨミさん。看護師の見習いをしていた19歳の時、爆心地からおよそ3.2キロの長崎市桜馬場町の病院で被爆しました。

井黒キヨミさん「金属音がした。警報解除になり、おかしいと思い見たらピカッと」

自身に大きなけがはありませんでしたが、負傷者の治療に追われたといいます。

井黒キヨミさん「着ているものもジリジリ一緒に焼けて、赤い肉がめくれ上がっていた。へたりこんだ人は伊良林の学校に連れて行った」

救護所で見た被爆者の姿が脳裏と心に焼きつき、自らの体験を後世に伝えようと語り部として活動。2010年にはアメリカ・ニューヨークの国連本部で開かれた「NPT再検討会議」にあわせて現地へ。

井黒キヨミさん「(期待は)核廃絶が1番。できる限りがんばります」

核なき世界の実現を求めて活動してきました。人生の出来事を日記にまとめていた井黒さん。それをもとに去年、出版した自叙伝には日頃から口にしていたこの願いが……。

井黒 キヨミさん「核廃絶という声を早く聞きたい。絶対使わないよう、今の平和が長く続くように」

今年夏には、長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)の聞き取りにも応じ、古い写真を見せながら、被爆の惨禍や戦前の生活風景を語っていました。

井黒キヨミさん「役に立つことがあった?聞いてもらって、私も嬉しかっ た。平和のために役立つこ とがあったら役立ててほしい」

弟と力をあわせ平和の願いを世界に訴えてきた井黒さん。27日に自宅で亡くなっているのを、訪れた親族が発見したということです。97歳でした。

井黒キヨミさん「大人たちも戦争を知らない。子どもたちの笑顔が消えないような世界を作ってほしい」