“何気ない日常” に感謝伝えたい 絵本「ありがたいなぁ」完成 病と向き合い気づいたことは?《長崎》
(桒畑笑莉奈アナウンサー)
私がいま身に着けている こちらのイヤリング。
アジサイの花なんですが、とても手が込んでいるんですよ。
ビーズを一つひとつ重ねていて、丁寧に作られています。
作っているのは、諫早市の女性作家です。
病と向き合いながら、誰かの笑顔と勇気を届けたいと活動しています。
松田 友紀さん 44歳。
諫早市を拠点に活動するアクセサリー作家です。
(アクセサリー作家 松田 友紀さん)
「“かわいか~” ってなります。キュンキュン」
10月に完成した “何気ない日常に感謝を伝える” 一冊の絵本。
その物語の 主人公になりました。
(絵本「ありがたいなぁ」より 松田さん朗読)
『ありがたいなぁ。今日もこうして好きなことができること』
この日も、一つひとつの工程をゆっくりと丁寧にすすめていました。
(アクセサリー作家 松田 友紀さん)
「この輪っかを穴に、グッーと入れて…」
デザインやパーツ、色合い…
こだわり抜いたキラキラのアクセサリー。
時間をかけて、心を込めて…
納得がいくまで作業に没頭します。
作品を生み出す “その手” は…
関節が変形し、ぷっくり腫れている部分も。
(アクセサリー作家 松田 友紀さん)
「摘まむのが苦手。力も(入れづらい)。グーとかできないから」
細かい作業をしている最中にアクセサリーが手から落ちてしまい、やり直すこともよくあります。
(アクセサリー作家 松田 友紀さん)
「こんな感じ (に落ちてしまう)」
松田さんは高校2年生の時、関節に腫れや激しい痛みを伴う “関節リウマチ” を発症しました。
食べることも、歩くこともままならくなり、わずか3か月で寝たきりに。
体重は30キロも減ってしまいました。
(アクセサリー作家 松田 友紀さん)
「関節の痛みがあって、どうしても今まで普通にできていたことが、できなくなってしまった」
6年間の車いす生活を経て、膝の手術を決意したのは27歳の時。
リハビリを繰り返し、再び歩けるようになりました。
(アクセサリー作家 松田 友紀さん)
「手が痛い時もたまにあるので、そういう日があるからこそ、作れることがありがたいなと。だからそういう痛みも必要なんだろうなと思う」
当たり前が、当たり前ではなくなった時、
これまで見落としていた “日々の尊さ” に気づかされたという松田さん。
“ありがたいなぁ”
自然と、口癖になりました。
そして…
(アクセサリー作家 松田 友紀さん)
「ありがたいなぁと自然と思って。インスタグラムで発信しているんです。
それが(きっかけになって)北海道の絵本作家との出会いがあって、一緒に絵本を作らせてもらえることに…」
今年、友紀さんの言葉たちが『絵本』に。
手掛けたのは、北海道の絵本作家 庄司あいかさん。
(絵本作家 庄司あいかさん)
「友紀ちゃんの絵本を書かせてもらって、口癖になっちゃって…」
重度の障がいがある長男に “笑ってほしい” と、2年前から絵本を制作しています。
(絵本作家 庄司あいかさん)
[(友紀さんは) 今 動けること、生きていることに心から感謝しています」
(絵本作家 庄司あいかさん)
「お互いの重なる思いをのせて、絵本を作りたいなと書いてきました。少し勇気につながる一冊につながればいいなと思います」
休日は、夫の大輔さんと2人で過ごすことが多いという松田さん。
この日のメニューは、大好物の餃子です。
(夫 大輔さん(42))
「僕たちは2人で50個食べまーす」
結婚して10年。
けんかがほとんどないという2人の約束は “支え合うこと”。
きょうという日に感謝して…
(アクセサリー作家 松田 友紀さん)
「いただきます!ありがとう」
(夫 大輔さん)
「(友紀さんは) 何においても気持ちがこもっている。思いがこもった人だという印象」
(アクセサリー作家 松田 友紀さん)
「いつも笑顔で前向きにいられるのも、主人が言動で伝えてくれるし、優しさがあるからいつも優しくいられる」
絵本にはそんな日常を切り取った様々なシーンが。
(絵本「ありがたいなぁ」より 松田さん朗読)
『ありがたいなぁ 大切な人が近くにいること。
今日も元気で 一緒にお祝いできること』
(絵本「ありがたいなぁ」より 松田さん朗読)
『痛くて痛くて、何もできない日
当たり前の日々の大切さを教えてくれている ありがとう』
『ありがたいなぁ
誰かを笑顔にできること あなたの笑顔に会えること』
10月20日。
松田さんはたくさんの笑顔に会うため、長崎市のマルシェに向かいました。
新作のアクセサリーとともに絵本も携えます。
(アクセサリー作家 松田 友紀さん)
「初のお披露目。早く皆さんに見てもらいたい」
開始早々、多くの人がブースに…。
作品の販売は “対面のみ” にこだわる松田さん。
出会いを大切に、一人ひとりと会話を楽しみます。
(買い物客)
「うれしい。応援しています」
懐かしい人との再会も。
(高校の先輩)
「よかった。気づいてもらえて」
(アクセサリー作家 松田 友紀さん)
「ちょうど2歳差なので、高校以来全然会えてなくて。インスタで見つけてくれたんですよ」
絵本を手に取る人も…。
(買い物客)
「すごく素敵。友紀さんがすごく毎日頑張っているので、私たちも励みになります。自然と笑顔になりますよね」
毎日に感謝し、楽しみ、全力で生きる笑顔のアクセサリー作家。
(アクセサリー作家 松田 友紀さん)
「自分自身がリウマチになってから、今まで普通に歩いていたことも、すごくありがたいことだったんだなぁと気付けた。
いつもと変わらない日常かもしれないけれど、ちょっとでもキラキラ見えたり、その人の人生にプラスになってもらえるとうれしい」
魔法の言葉… “ありがたいなぁ”
あなたのすぐそばに、あるかもしれません。
(桒畑笑莉奈アナウンサー)
松田さんは自身の病気のことも含めて、物事にはすべて意味があって良い方向につながっていくと話してくれました。
私も松田さんに会うたびにとてもパワーをいただいていました。
松田さんは、諫早市役所前で開催する「諫早picnicマルシェ」に、24日日曜日に出店されるそうです。お近くの人は足を運んで、訪ねてはいかがでしょうか。
そして、こちらがその絵本なんですが「絵本屋だっこ」のサイトから購入でき、売り上げは全額、障害児の支援のために使われます。
松田さんの直筆のメッセージもありますので、ぜひ手に取ってみてください。