30年間、難航の末…「産廃最終処分場」鳥取県が設置許可 地域住民の反対の声が強い中、必要となっている理由とは?
米子市淀江町で計画されている、産業廃棄物の最終処分場について。11月、鳥取県が事業者に対して設置許可を出しました。
■「管理型」最終処分場とは?
今回設置の許可が出されたのは、最終処分場の中でも「管理型」と呼ばれるタイプ。リサイクルできない産業廃棄物のうち、埋め立て後に、汚水やガスが発生するものを取り扱います。具体的には木くず、燃え殻、汚泥などです。汚水が漏れ出ない構造で、汚水やガスは処理してから放出します。
■管理型 最終処分場 なぜ必要?
鳥取県内では「管理型の最終処分場」で処分しなければならない廃棄物が、年間約1万トン発生しています。県内では処分できないので島根・兵庫・広島などの施設で、処分をしてもらっている現状です。直近の調査では三重や大分の施設にも搬出していて、輸送コストがかかってしまうこと。また、他県の廃棄物を受け入れない動きが広がっていることも、県内に必要な理由となっています。
管理型の最終処分場がないのは、全国で、鳥取・長崎・山梨の3県のみ。一方、37の都道府県が県外からの搬入を規制しています。
こうした状況の中、鳥取県内のどこに作るのか。場所の選定に、これまで非常に難航してきました。そもそも最終処分場の建設は、約30年前、旧青谷町で計画されたのが発端でした。安全性への不安から住民の反対は根強く、結局、旧青谷町での建設計画は白紙撤回されました。
その後、鳥取市、岩美町、倉吉市が候補地として挙がりましたが、いずれも地元の反対で頓挫してきた経緯がありました。
米子市淀江町が選定されたのは2008年。2015年の稼働を目指していましたが、住民からの反対の声が根強くあり、市長の説明責任を問う声や地下水調査に対する抗議デモまで。
その後、環境への影響を調べるさまざまな調査や専門家による審査が行われ、ことし5月に事業者が設置許可を申請。11月、鳥取県が許可を出しました。
これを受けて、鳥取県の平井知事は、11月21日の定例会見で、周辺の環境への影響を監視するため県独自の体制を整備すること。周辺地域の振興のための交付金の上限を2億円から7億円に引き上げることを明らかにしています。
今後、事業者は産業廃棄物の処分を業務として行うための、許可の申請などを行うことになっています。