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「一九四六」米子展 戦争に翻弄された痛ましい人々がリアルに描かれる 旧満州の建物や風景などを描いた関連作品20点を展示 鳥取県米子市

2024年5月31日 19:27
「一九四六」米子展 戦争に翻弄された痛ましい人々がリアルに描かれる 旧満州の建物や風景などを描いた関連作品20点を展示 鳥取県米子市

世界で今なお絶えない戦争をリアルに描き、全国各地で大きな反響を呼んでいる注目の絵画展が5月31日から鳥取県米子市で始まりました。

子どもを背負い風呂敷を抱え、中に遺骨の入った箱を首から下げて歩く人の姿もー。1946年、戦後の中国東北部・旧満州から日本への引き揚げ船に乗るやつれた数百人の人々。戦争に翻弄された痛ましい人々が、油絵と墨絵の融合による独特な技法でリアルに描かれています。作品名は「一九四六」。縦3メートル、横20メートルに及ぶ大作です。

来場者
「なんとも言えないですね。これだけの思いをして(日本に)帰って来られて、こんなこと思いながら見てました」

「圧倒されるしか言いようがないですけどね。(戦争は)絶対におこしてはいけないものですけどね」

31日はオープニングセレモニーが開かれ開幕を祝いました。

「一九四六」を手がけたのは、中国人画家の王希奇さんです。

王さんがこの絵を描いたのは、母親の遺骨を持って船に乗ろうとする子どもの写真を見たのがきっかけだったといいます。心を揺さぶられた瞬間を描きたいと作品の完成まで実に15年の歳月をかけたといいます。

画家 王希奇さん
「この歴史は忘れてはいけない事実と思います。105万人位の引き揚げ者が日本に引き揚げたという事実ですね。(作品を通して)日本だけでなく世界に向けて平和の大切さを伝えたい」

この展示会は、2017年から全国各地で展示され大きな反響を呼んでいます。初日の31日は、会場に大勢の人が訪れていました。その中には、特別な思いで作品を見つめる人の姿もありました。

引き揚げ体験者(当時小学5年生)
「(引き揚げは)このとおりと思って、戦争ってこんなもんだって思ってほしい。知ってほしいです」

今回の展示会では、他に旧満州の建物や風景などを描いた関連作品20点も展示されています。
この「一九四六」米子展。米子市の米子市美術館で6月4日(火)まで開かれています。