【特集】少子化のなか地域ねぶたを守り後世へ 町会の枠を超え新しい形の運行
開幕まであと4日に迫った青森ねぶた祭。日本を代表する火祭りはもともと各町会の「地域ねぶた」が源流でした。近年、参加者の減少に悩まされていますが町会の枠組みを超えた新しい形の運行がことしから始まりました。今月20日、地域ねぶたの台上げ作業が行われました。
荒川2区町会です。11年前に運行を始めましたが参加者が年々減少しています。
★荒川2区町会運行責任者 川村功さん
「高齢化で後継者がいないことがまず1つです(11年前より)2割くらい減ってます みなさんそれなりに高齢になっているので亡くなった人もいますし子どもたちが少ないというのがあります」
地域住民が世代を超えて参加する祭りは町会にとって大切な行事の一つです。
★荒川2区町会 江刺家常夫 町会長
「子どもからお母さん、おじいちゃんたち三世代が集まる そういう意味では地域ねぶたは大事です」
住民手作りのねぶたなどで地元を回る「地域ねぶた」。10年前の2014年には60団体ありましたが、コロナ禍を境に数が減り、ことしは45団体まで減りました。若者の流出や住民の高齢化を背景に担い手の確保が難しくなっています。こうしたなかことし新しい動きがありました。
★地域ねぶた振興協議会 後藤公司会長
「まつりがなくなると一気ににぎわいがなくなって経済にすべて直結する状況を聞いているので青森市民はねぶた」
「地域ねぶた振興協議会」の発足です。当面は高田と幸畑、それに横内と荒川の4つの町会でねぶたを貸し出し、ひきてやハネトなども派遣します。
★後藤公司会長
「だんだん地域ねぶたが減ってきている これはなんとかしなければという思いから始まりました」
実家の近くにねぶた小屋があり幼い時からねぶたに親しんできたという後藤さん。自宅には昔の衣装やグッズがずらり。大人になってからもハネト集団「跳龍會」を立ち上げるなどねぶたに精力を注いでいます。
★後藤公司会長
「地元の地域ねぶたを盛り上げてどんどんねぶたばかをつくっていかないとねぶたの10年、50年、100年先を考えた時に一番軸になるのは地域ねぶたなので もう一回盛り上がりを取り戻すために何かできないかの一心です」
幼いころから培われた「ねぶた愛」は自分の子どもにも受け継がれていました。
★後藤さんの長女 鈴結さん
「(地域ねぶたは)普通の大型ねぶたと違う楽しさがあるところが好きです パパみたいに大きくなったら跳龍會を引っ張っていけるようになりたい」
町会の枠を超えた新しい形で初めて出陣した荒川2区町会の運行日。船出を歓迎するかのように直前まで降っていた雨がやみました。4つの町会からひきてやハネトなどが参加し高田町会の竹ねぶたが一緒になって運行を盛り上げました。
★子ども
「音が大きくて迫力があってすごい」
★沿道の人
「とっても楽しい小さい頃を思い出す」「私たちが小さい時は町内でみんな出していたので町内のねぶたはなじんでる」
★荒川2区町会運行責任者 川村功さん
「全然違いますよ盛り上がりは一番です 11年になりますがこれなんですよ」「わくわくどきどき子どもの頃に返った感じ」
★後藤公司会長
「まだ1年目でこれからですが今後どんどん少子高齢化になりますしほかの町会からも相談を受けているので明るい未来に向け青森市民と地域ねぶたが進む道を協議会でつくれればいいなと思います」
町会の枠組みを超えて伝統をつなぐ「地域ねぶた」。地域の絆とねぶたへの愛がその未来をつないでいきます。