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【特集】6月から食品衛生法改正で手作り漬物の出荷断念も 「味」と「技」伝える 中泊町

2024年5月30日 14:56
【特集】6月から食品衛生法改正で手作り漬物の出荷断念も 「味」と「技」伝える 中泊町

6月から、食品衛生法が改正され保健所の「営業許可」がなければ、産直施設や道の駅などで手作りの漬物を販売することが出来なくなります。出荷を断念する生産者が少なくない中、中泊町で新たな動きが生まれています。

中泊町の産直施設「ピュア」。漬物は数ある商品の中でも特に売れ筋です。人気の漬物の1つが、西北五地域独特の「すしこ」。目にも鮮やかな、全国的にも珍しいごはんの漬物です。作っているのは大川秋子さんです。すしこと言えば「秋子のあがめし」と生産者仲間からも一目置かれるベテランです。
「大根のビール漬け」こちらもリピーターの多い看板商品の一つ。生産者の三上ゆり子さんは、お姑さんから受け継いだ味を大切に守ってきました。
しかし、2人の漬物はまもなく売り場から消えてしまいます。6月以降漬物を出荷する生産者は…

★ピュア 前田晴香 店長
「いま年間通して15人ぐらい(出荷して)いるんですけど、6月からは4人ぐらいです」

あさってから本格施行となる改正食品衛生法の下では、自宅の台所とは別に作業場を設けるなど食品の国際的な衛生管理基準いわゆる「HACCP」に沿った設備が必要になります。それには多額の資金がかかります。

★漬物生産者 大川秋子さん
「大工さんを入れて(加工場を新しく)作ってもらっても、100万円かかってもやればと言っても、年も年だし、だからこれはだめだな、これちょうどいい機会だなと思って」

秋子さんとゆり子さんはこのタイミングで漬物の出荷を辞めることにしました。しかし、自分たちが守ってきた味をなんとか残したいという思いもありレシピを産直施設の前田店長に託したのです。すると…

★ピュア 前田晴香 店長
「若い人でやってみたい方がいるので 味を継承してくれないか という話をさせてもらったら快く」

産直施設「ピュア」には食品加工のための作業場があり、新基準に沿った設備が整っています。前田店長はこの場所を利用して地域の漬物を残していく事業「なかどまりラボ」を立ち上げることにしたのです。

今月19日、秋子さんとゆり子さんに漬物作りを教わる場が初めて設けられました。ピュアに出荷している生産者の代表田中恵津子さんもサポートに入ります。教わるのは「なかどまりラボ」のメンバーになることが決定している澤田千恵子さん。ゆり子さんから「大根のビール漬け」を習います。徹底して、きれいな仕上がりを目指します。今月いっぱいで出荷を終えるゆり子さん…

★漬物生産者 三上ゆり子さん
「おいしいって言われることはうれしかったです」

秋子さんが伝授するのはもちろん「すしこ」の作り方。お客さんのために手頃な価格で提供し続けるには、工夫がありました。

★大川秋子さん
「やればやるだけ仕事を覚えるから、仕事が仕事を教えてくれるから、初めから先生になる人はいないんだ」

秋子さんには信条があります。

★大川秋子さん
「自分の舌を信じて…舌、うそ、さねはんで(舌は嘘をつかないから)」

千恵子さんは、秋子さんの「あがめし」の味を舌に刻みます。

★澤田千恵子さん
「まだまだ初心者なので、これから毎日お漬物を漬けていって 時間はかかると思うんですけど(秋子さんとゆり子さんに)ちょっとでも近づければいいなと思います」

前田店長は決意を新たにしていました。

★ピュア 前田晴香店長
「(漬物が)ただ無くなる、減少するではなく、やっぱり味を引き継いでいって ずっと販売していけるように頑張りたいと思います」

あさってから本格施行となる改正食品衛生法。中泊町の産直施設の取り組みは地域の味を継承していくヒントになりそうです。

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