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実は美味!?売れないサメ&エイを漁師の新たな収入源に!“海の厄介者”が秘める可能性

2024年7月3日 18:30
実は美味!?売れないサメ&エイを漁師の新たな収入源に!“海の厄介者”が秘める可能性

サメやエイなどを食べたことはありますか?一部の地域では郷土料理などで出されたりもしますが、釣れてもほとんどが食べられずに海に戻される“厄介者”と言われてきた魚です。そんな未利用魚に着目し、地域の特産にしようというプロジェクトが進んでいます。

愛媛県伊予市双海町の水産加工会社「北風鮮魚」です。地域の特産で、これから旬を迎えるハモの加工品が主力商品です。

北風鮮魚 小池智教社長:
「まだまだ、7月になるとまだ(出荷が)増える。京都の祇園祭や大阪の天神祭で動く」

小池社長が長年解決したかった「未利用魚」問題

山口県出身で、10年ほど前から社長を務める小池智教さん(63)。就任当時から解決したい悩みがありました。

小池社長:
「ハモを獲りに行くと、必ず同じ網にサメが入る。タイを獲りに行くとエイがかかる。売れなければ捨てるしかないものだから、それを漁師さんと一緒になって捨てなくてもいい魚に変えたいなと」

全国有数のハモの水揚げ量を誇る豊田漁港の下灘漁協。水揚げされたばかりのハモやタイが次々とセリにかけられる中、運ばれていたのが…県内でも一部の地域でしか食べられていないサメとエイ。市場でほとんど値が付かない、「未利用魚」です。

ハモ漁師 亀岡恭二さん(46):
「サメとかが入ると、ハモと擦れる。サメ肌っていう。ということはハモの表面のぬめりが取れるので、色がしらけたり、弱る、魚自体が。エイだと毒針で刺す。ハモを。(一回の漁で)サメは多い時で100キロくらい。(1匹)1キロと換算して100匹。全部逃捨て(リリースし)てきた」

「海の厄介者」ともいわれてきた未利用魚ですが…サメやエイは活け締めにし、手早く内臓を取り出すことで特有のアンモニア臭を抑えることができるといいます。

小池社長、下灘漁協の漁師たちの協力を得て、サメやエイを買い取り、販売しようとしているのです。なぜそこまでして“未利用魚”に目を付けたのか…

小池社長:
「若い人が継がない。獲ってきたものは価値がある。一緒に価値を作っていくことができたら。若い人が魅力がある(仕事に)」

約20年で漁船の数は4割以下…漁師の収入・やりがいアップに繋げたい

県の漁船統計表によると、下灘漁協では2005年に103隻あった漁船の数は、去年は40隻と4割以下に減少。高齢化も進んでいるといいます。

亀岡さん:
「価値が出てくれたら、自分らも今まで捨てていたものがそういう風になるんだったらいいかなと思う」

サメやエイに価値を付けることで漁師の収入アップと仕事のやりがいに繋げたい。しかし、大きな課題となるのが、買い付けたサメやエイを売る“販路”です。

販路の開拓に向けサポートするのが伊予銀行です。まずは、サメとエイが食材として活用できることを知ってもらう。先月28日、地域特化型のクラウドファンディングをスタートしました。

”地域特化型クラウドファンディング”は、企業や個人が単独で実施する一般的なクラウドファンディングと違い、地域の課題克服に向けたプロジェクトを地元の金融機関などがサポートし、日本中にPRするサービスです。

今回のプロジェクトでは、CFの有名サイト、「READYFOR」も協力して「MIRAIYOえひめ」を立ち上げ、120万円を目標に出資を募っています。

伊予銀行郡中支店 日野和行担当課長:
「すごく良い取り組みしていても、まずそもそも知られない。バイヤーの人たちにも共感してもらって、生産から流通までつながっていくと、実際サメとかエイが未利用魚ではなく普通に使われる魚になってくる。そこを目指している」

小池社長:
「(将来的に)この未利用魚で、1億(の売り上げ)を目指したい。トン単位で物がないとそんな事業にならない。そしたら、漁師さんにとっても悪い話ではない」

プロの料理人も太鼓判!高校生が考案した新メニュー

この日松山市内の飲食店を訪れていたのは、伊予農業高校生活科学科の生徒たち。サメやエイを食材として美味しく味わってもらおうと、ことし2月から、共同で新メニューを開発しています。

サメのフライに、伊予市産のキクラゲ入りのタルタルソースを合わせた「サメバーガー」と、エイの唐揚げにネギをのせた「油淋鶏」ならぬ「油淋エイ」。

試食するのはプロの料理人たちです。

マルブン 眞鍋明会長:
(サメバーガー食べて)「このまま双海の道の駅で売れるんじゃない?酸味系が、かんきつ系の酸味系があると匂いが全くしないから、そういうのと組み合わせるといいかもしれない」

アドバイスを元に伊予農メンバーは現在もメニューの改良中。レシピは、クラウドファンディングの返礼品に添えられる予定です。

眞鍋会長:
「ハードルが高ければ高いほどいいんじゃないか。これをクリアしたら多分日本でみんなが真似するぐらいのものになれる」

伊予農業高校生活科学科食物班 織田侑希さん 3年:
「え、サメとかエイ食べられるの?じゃあ愛媛行こうってなって(ほしい)」
阿部叶実さん 3年:
「食べてみたらすごくおいしいので、みんなハマってくれるだろうなと思う」

サメとエイを刺身でも!その味は…

一方、北風鮮魚の小池社長も。

伊予銀の職員たち:
「白身のお刺身」
「面白いですね」
「こっちのほうがおいしそう。これ言われんかったら高級のタイに似たような」

サメとエイを刺身で食べる方法を試していました。まるでタイのような白身のサメは…

伊予銀 日野課長:「おいしいです。おいしい」
森本支店長:「臭みがない」
日野課長:「本当においしい。タイより逆にまったりとか若干甘みも感じる」

そして、独特な色合いをした赤身のエイは…

小池社長:
「軽く炙ったやつ。食感が変わる」

日野課長:
「あ、これ…めちゃくちゃおいしいです。お肉のようなというか、お肉に近づくような感じ」

活け締めしてすぐ内臓を取り除くからこそできる、これまでになかった味わい方です。

小池社長:
「これができたら魚価が変わる。刺身が取れる魚っていうのは、刺身の単価は全然違う(高い)。タイ(の単価)が1としたら例えば0.6で売れれば…価値のある魚ですよね」

サメとエイの刺身も、CFの返礼品に採用されました。他にも、サメのフライにエイの唐揚げ、伊予市産のきくらげやハモしゃぶ、2種類の鯛めしなど!伊予市の海の幸満載の返礼品のラインナップが決まりました。

小池社長:
「何かをしないともう人口が減るだけ、限界集落になるだけっていうのが統計上出る。止めようと思うなら今までと違うことを何か始めないといけない。小さいけど、そのひとつをやってみたい」

最終更新日:2024年7月3日 19:03
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