【議論停滞】静岡大と浜松医科大の再編巡り浜松市中心の期成同盟会が8か月ぶり会合も静大学長は欠席(静岡)
静岡大学と浜松医科大学の統合再編をめぐり、6日、浜松市を中心とした期成同盟会は8か月ぶりに会合を開きました。しかし、合意書とは異なる案を示している静大の日詰学長は欠席し、再編を巡る議論は停滞しています。
6日 午後、8か月ぶりに開かれた期成同盟会の会合には、合意書通りの統合・再編を目指す浜松市や地元経済界の関係者が出席しました。
(浜松市 中野 祐介 市長)
「若者の人口が急激に減少してくる。成長発展する大学を地域に設けるということ、そういった観点から何より重要だと思っています。地域として応援させていただきたい」
会合には浜松医科大学の今野学長は出席しましたが、静岡大学の日詰学長は「協議中のため出席できない」と事務局に伝え、欠席しました。
静岡大学と浜松医科大学は運営法人を1つに統合し静岡と浜松に新たな大学をつくる「1法人2大学案」で2019年に合意。医学、工学、情報学が連携した新たな大学が浜松に誕生すると期待されていました。しかし、合意後に静大・静岡キャンパス側が反発。2023年12月、合意書とは別に、1つの総合大学にして2つの分校を置く「1大学2校案」を静大の正式な案に決定。静大の日詰学長は「総合大学を2つに分けることは、望むものではない」と理由を説明しました。
(静岡大学 日詰 一幸 学長)
「現行の法人統合再編のまま遂行することが難しいということから、本ビジョンをもとに、浜松医科大学においても柔軟に協議していただくことを心から願っています」
しかし、浜松医大は、合意書とは異なる案を正式案にしたことを痛烈に批判。両大学の溝は深まり、協議が停滞しているのです。さらに7月、2019年に浜松医大と合意書を交わした静大の石井前学長が会見を開き「静大内部で合意までのプロセスを検証している」と話し、日詰学長ら静大側の動きを批判しました。
(静岡大学 石井 潔 前学長)
「(日詰学長は)合意書そのものは有効という立場を取られてきたのに、ここにきて合意書の決定プロセスを検証するということは、合意書そのものが正当性がないという結論を出そうとしてるのでは、それはおかしいだろう」「自分たちの失敗を前任者に押し付けないでほしい」
そんな中、開かれた6日の期成同盟会。日詰学長ら“静岡側”の関係者が不在のため、浜松市の職員が静大のホームページを参考に「1大学2校案」を説明するひと幕も…。出席した県西部の自治体の市長からは、「若者の人口減少を防ぐためにも合意書通りの再編を進めるべき」という声が相次ぎました。浜松医大の今野学長は、合意書とは異なる案を正式な案とした日詰学長の姿勢を批判しましたが、会合に出席したのは“浜松側”の関係者のみで、議論は深まりませんでした。
一方、注目されるのが鈴木知事の動きです。そもそも期成同盟会は、2023年3月、浜松市長だった時に合意書通りの統合・再編を支援しようと浜松市が中心となって結成。当時は合意書とは異なる案を進める日詰学長を批判していました。
(浜松市 鈴木 康友 市長・当時)
「日詰学長が私案を持ち出しましたよね、これは静岡大学の最高責任者である日詰さんがですね、何を考えているんだと私は思いました」「学長として失格だとこの私案を持ち出した段階でですね」
しかし、知事就任後は大学再編には賛成としながらも、「直接的には関われない」として議論の行方を見守る姿勢を示しています。
(鈴木知事)
「以前は期成同盟会を率いていた立場で推進側として積極的に活動していたが、今は立場が変わった」「直接的に関わることはできないが、発信をしたりできる範囲で応援したい」
こうした知事の姿勢に対し、6日の会合が終わった後、中野市長は、「県全体の人口減少対策として両大学をサポートする意味でも関わりを持ってほしい」と話しました。