親の勤務有無を問わず保育園などを利用できる「こども誰でも通園制度」 全国実施を前に浜松市などで試験的に導入 見えてきた課題は(静岡)
親が働いているかどうかを問わず保育所などを利用できる「こども誰でも通園制度」。全国で実施されるのを前に、7月から浜松市で試験的に行われています。制度の内容、そして、どのような課題があるのでしょうか。
浜松市中央区の「なごみこども園」。この日、1歳11か月の成山明希ちゃんを預かりました。担当の保育士と一緒におもちゃで遊びます。
(保育士)「青いぞうさんだね」
(明希ちゃん)「うーん、うーん」
(保育士)「とれないね、それはね。これをかけてごらん、ここに」
好奇心旺盛な明希ちゃん。初めてのこども園でしたが緊張する様子もなく、いろいろなおもちゃを取り出して楽しそうに遊んでいました。
(保育士)
「お子さんによって性格や育ってきた環境が違うので、見てその子に合わせてどんな遊びをするのか試しながら、明希ちゃんは何でも興味を持ってくれるので、興味に合わせながらついていっている」
ことし6月、「こども誰でも通園制度」の創設を盛り込んだ「改正子ども・子育て支援法」が成立しました。岸田首相肝いりの「異次元の少子化対策」の目玉の一つである「こども誰でも通園制度」。育児の負担軽減などを目的に、親が働いているかどうかにかかわらず、保育所などを利用できるもので、国は2026年度から全国で導入する予定です。
これに先立ち、浜松市は先月から市内26の保育園・幼稚園・認定こども園で試験的に導入しました。
(給食の様子)「いただきます」
利用料は1回2時間で600円。「なごみこども園」の場合、追加で200円支払えば給食も提供されます。この制度の対象は、生後6か月から3歳未満の子どもで、利用は1人につき月5回まで。事前に浜松市のホームページからオンラインでの利用認定申請が必要です。
2時間の保育が終わると、担当の保育士が母親に子どもがどんな様子だったかを報告します。
(保育士)
「お茶もちゃんとコップで飲めますが、持ってきたお茶をあげようと思ったのですが、遊びたい方が強くて… あまり水分がとれていないかもしれないので、多めに取らせてあげてください」
母親にとっては、育児の負担軽減や孤立感の解消につながっているようです。
(母親・成山尚子さん)
「日中は娘と2人で過ごしているので、家族以外と過ごす時間を娘にもつくってあげることがいい体験になると思って利用しました。園に通っていないと、どうしても子どもの預け先がないので、自分で娘を見るしかないのでこういった制度があると、短時間でも預けられることがとてもありがたいです」
一方、人手不足の保育現場において「さらに負担が増える」という課題も指摘されています。「なごみこども園」の場合、国や浜松市の配置基準より多くの保育士を雇用していて現在は、定員に空きがある範囲で受け入れているということです。
(なごみこども園 外山淳子 副園長)
「人数を制限してできる範囲でやっているので、負担は多少ありますが、保護者のためにやっていますので協力したいなと思っています」
県内では、沼津市と富士市も「こども誰でも通園制度」を試験的に導入しています。浜松市は今後、導入した保育所や利用者にアンケートを行い利便性や現場の負担などについて国に報告する方針です。
(浜松市幼保支援課 金原正剛 課長補佐)
「人の確保であるとか課題があることは承知の中で、施設として実際にやってみての課題やいろいろな声、保護者・利用者の声をヒアリング等する中で国にも伝えていきたい」