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【ボンサイ柔術】 クレベル・コイケに迫る 「人として成長してほしい」地元で子どもたちに柔術を教える理由とは(every.しずおか特集)

2023年12月18日 13:36
【ボンサイ柔術】 クレベル・コイケに迫る 「人として成長してほしい」地元で子どもたちに柔術を教える理由とは(every.しずおか特集)

日本最大級の総合格闘技大会「RIZIN」でチャンピオンになった経歴を持つ、クレベル・コイケさん。磐田市を拠点に、総合格闘技のプロ選手として活躍しています。得意技は寝技!一度捕まえたら“離さない”三角絞めの技術は圧倒的です。
プロとして世界を相手に活躍する一方、静岡で子どもたちに積極的に柔術を教えるクレベルさん。ブラジル出身でありながら、祖父は日本人と、日本とブラジルにルーツがある彼が磐田市を拠点に闘い続ける理由は…

(クレベル・コイケさん)
「ある人は僕を外国人、ブラジル人という目で見るけど、試合に出るときに磐田市出身と言われると、とてもうれしい」

痛みを知ることで人に優しくなりたい!柔術を通して日本とブラジルの橋渡しをする、磐田市のトップファイターに迫りました。

ブラジルと日本の国旗が掲げられている磐田市にあるスポーツジム。ここは、ブラジリアン柔術の道場で、2004年に磐田市で創立されました。ブラジリアン柔術とは柔道の技をベースに寝技を主体とするもので、護身術やボディーメイクとしても注目を集めている武術です。

このブラジリアン柔術から総合格闘技のプロファイターとして活躍しているのが、ブラジル出身で日本人の祖父を持つクレベル・コイケさん34歳。

2022年、国内最大級の総合格闘技大会「RIZIN」で、フェザー級の王座を獲得。2023年の大晦日にも、さいたまスーパーアリーナでRIZINフェザー級の初代チャンピオンとの試合を控えています。

(クレベル・コイケさん)
Q肩に『磐田市』と入っているんですね?
「磐田市、これが自分のスイッチで大事です」

クレベルさんは14歳の時に、出稼ぎのために来日した両親とともにブラジルからやってきました。当時、ブラジル人の同級生が外国人というだけでいじめられている姿を見て、自分を鍛えあげることで日本で強く生きていきたいと、磐田市にあるブラジリアン柔術の道場に入門したのです。

当時のクレベルさんについて恩師は…

(クレベルさんの恩師 マウリシオ・ダイ・ソウザさん)
「当時、彼の人生に目的地はなかったが、スポーツはいろいろな人生を変えることができる。彼は柔術で人生を0から100まで変えることができた」

慣れない日本での生活にすさみかけたクレベルさんの人生は、ブラジリアン柔術に出会い激変しました。

(クレベル・コイケさん)
「ブラジリアン柔術は、私の人生を変えました。自分に自信が持てるようになり、精神的にも安定しました。相手を尊敬する気持ちや、自立することの大切さは、すべて柔術の練習や先生のおかげで学ぶことができました」

しかし、日本での生活が軌道に乗った2008年にリーマンショックが起き、両親が帰国を決断したのです。

(クレベル・コイケさん)
「自分も両親と一緒にブラジルに帰ることも考えました…。でも、日本で何かやり遂げたいと、私だけ日本に残ることにしました」

日本で自分を変えてくれたブラジリアン柔術を極めたいと、クレベルさんは仲間と共に日本に残る決断をしたのです。

(クレベル・コイケさん)
Q日本に残ったことに後悔は?
「残ったことに感謝しています。いま、自分がここまでこられたのは、日本のおかげです。いろいろなピンチも乗り越えることができました」

当時、仕事も少なくなり生活が苦しくなる中、同じブラジルからやってきたマルキーニョスさん、サトシさん兄弟と、アパートで共同生活をしながら練習を続け、その後、総合格闘技でプロデビューを果たしたのです。

(クレベル・コイケさん)
「本当の家族よりも、2人と一緒にいる時間の方が長いしね。お金がなくて、練習に行くために車にガソリンを入れるか、食事に行くかの選択を迫られることもあったよ。3人で協力してきたから、ここまでなることができた」

(共同生活をしていた マルキーニョスさん)
「クレベルの前で言ったことがあるか分からないけれど、僕が思うに、いま全部あることは全部クレベル自身の力。私とサトシはクレベルをサポートしてきただけ」

いまではクレベルさんも自らの経験をもとに「柔術を通して、人として成長してほしい」と、自分の練習の合間に地元で子どもたちにブラジリアン柔術を教えています。

(クレベル・コイケさん)
「私は柔術を教えるのが大好きです。先生の立場で生徒の近くで柔術を教えるのが大事かな。柔術を教えるのは本当に大好き、教えるのは難しいけど」

(クレベル・コイケさん)
Q教えるときに心がけていることは?
「もちろんね、心が一番大切です。いいファイターだけではなく、人として成長してほしい」

生徒たちからみたクレベルさんとは…?

(生徒・13歳)
「チャンピョンで、活躍している人なので、直接触れ合うことで強さとかも分かる」
「ライジン28でクレベル先生が朝倉未来選手を倒した姿を見て、かっこいいなと思って(ブラジリアン柔術を)始めた」

(生徒・19歳)
「ユーモアがあって優しい人。(直接教えてもらえるのは)とてもいい経験になる。おかげさまで僕もプロに上がれることができた。ここで習っていてよかった」

さらに、プロファイターとして闘うことで「スポーツのまちづくり」を掲げる磐田市への地域貢献も考えています。

(クレベル・コイケさん)
「最近、磐田市のために何かできないかなと、友達と夕食のときに話していたんだ。磐田市はサッカー、ラグビー、卓球が広く知られているけど、格闘技もそのようになってくれるとうれしい。スポーツの街として知られている磐田市にいられることがうれしい」

クレベルさんの日本への思いや地元愛は、道場を経営し、クレベルさんを近くで見て来た坂本さんも強く感じています。

(ボンサイ柔術を支えた 坂本健さん)
「クレベルもそうだし、サトシ選手、みんなそうですけれど、この土地を愛している」
「東京に行ったら今の収入の倍、3倍になるよと言われても行かない、それでも残ろうとする。自分は見守っている立場だが、彼らが幸せになってくれればいいなと思っている」

今は、大みそかのRIZINに向けてアメリカ合宿で最終調整をしているクレベルさん。日本とブラジル、2つの国を誇りに試合へ臨みます。

(クレベル・コイケさん)
「中には、僕を見て、外国人だ!とか、ブラジル人だ!という目で見る人もいるけど、僕の中にも日本の血が流れているし、“侍スピリット”があると思っている。ブラジルと日本の両方が存在している」「みんな夢があったら、頑張ってみてください。絶対にできるから!」

(静岡第一テレビ every.しずおか 2023年12月7日放送)