【七夕豪雨】被災から50年…当時の被害とその後の対策は?いま改めて学ぶべき教訓とは?(静岡)
静岡市に甚大な被害をもたらした七夕豪雨から2024年で50年となりました。静岡市で過去最多雨量を記録した豪雨はどんな被害をもたらし、その後どんな対策が取られてきたか。今学ぶべき教訓とともにまとめました。
(6月18日 坂井 太一 記者)
「強い雨が降り続いています。この先、道路が冠水していまして、奥のトラックが側溝にはまり動けなくなっています」
6月18日、静岡・東部を中心に降り続いた大雨。伊豆市湯ヶ島では総雨量327ミリを記録。東部・伊豆を中心に住宅170棟に被害が出ました。
その雨量をはるかに超える記録があります。50年前の7月7日の七夕豪雨です。静岡市で24時間雨量508ミリを記録。これは、現在も静岡市の観測史上最高の雨量です。安倍川や巴川の流域で決壊や氾濫が相次ぎ、静岡市で死者27人。住宅の全壊、床上・床下浸水は計2万6000棟以上と甚大な被害となりました。
被害にあった地区の一つ、静岡市葵区川合です。七夕豪雨で住宅が被害にあった人に話しを聞くことが出来ました。
(七夕豪雨で住宅被害経験)
「ここに私の住宅が映っているんですけど」「ガソリンスタンドの位置はそこらへんですよね。横断歩道のそこら辺」「決壊してここに水がながれて水路になっていた」「次の日でも家に来るのに」「胸のところまで水があった」「40日間は周りの泥をかき出すのに精いっぱいだった」
同じ被害を繰り返さないためにも、静岡市では様々な対策が進められてきました。
(横山 明浩 記者)
「住宅地ですが、ここに標識があります。ここまで水がきたことがわかります」
これは「洪水痕跡表示板」。七夕豪雨の時に被災した地域で、当時の浸水した高さがわかるようになっていて、市内113か所の電柱に設置されています。さらに静岡市内では七夕豪雨を機に大規模な治水対策が進みました。
(静岡市 土木区河川課 石井 孝昭さん)
「紫色になっているところが今の巴川です。雨が降ってきて、巴川の流域に紫色の地域がたくさん出てきます。巴川があふれた場所です」「大谷川放水路・遊水地を2か所造った」
「雨水貯留施設が現在市内に約900か所ぐらいあります。遊水地と雨水貯留施設が洪水を起こさないため、増えた水をいったん逃がすプールの役割をする」
上流で水をためる麻機遊水地川の水を海へと逃がす大谷川放水路。そして学校のグラウンドなど、雨水をためられる施設の整備をこの50年で進めてきたのです。そして…。2019年10月。静岡市駿河区で七夕豪雨に匹敵する観測史上3番目となる24時間雨量411ミリを記録。さらに2022年9月には観測史上2番目となる416.5ミリの猛烈な雨が静岡市を襲いました。
(投稿者)
「橋やばいんじゃないかな」
この時は、巴川があふれ、再び濁流が住宅地に押し寄せました。市内では床上・床下浸水など住宅被害は5435棟にのぼったものの、50年前と比べ被害をおさえることが出来ています。
県では豪雨災害対策をさらに強化しています。麻機遊水地では範囲を広げる工事を進めていて、2025年に一部の供用を開始するほか、2022年9月の台風15号で越水した巴川流域の堤防のかさ上げも進めています。また、劣化が激しい「洪水痕跡表示板」についても、2024年度中に新しく付け替える予定だということです。
(県静岡土木事務所 河川改良課 望月 一弘 課長)
「看板を見ることで、自分の住む地域のリスクを感じてもらい、いざという時の避難の第一歩となると思う」「麻機遊水地や河口の掘削も住民に周知するようにしたい」「流域でも避難行動につながるような情報発信をしたい」「浸水リスク、水害リスクがあることは認識してほしい」
七夕豪雨で進んだ対策。一方で激しさを増す近年の大雨。一人一人の日々の備えが大切です。