【袴田巌さん再審】犯行着衣とされる衣類の“血痕の色”めぐる3日連続証人尋問…最大争点の攻防終え(静岡)
袴田巌さんの再審=やり直しの裁判で、犯行着衣とされる衣類についた血痕の色をめぐり、3日連続の証人尋問が27日に終了しました。最大の争点の攻防を終え弁護団や姉のひで子さんの思いは…
(袴田 ひで子さん)
「血液が赤だとか黒だとか、検察は反論するが苦し紛れでした。(裁判は)一山も二山も三山も超えたと思います。これまでの長い裁判で、皆さん の応援があってここまで来た。皆さんありがとう」
27日の裁判終了後、感謝の気持ちをあらわにした袴田巌さんの姉、ひで子さん。
1966年、旧清水市で一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さん。
2023年10月から始まった再審公判で、検察側は「犯人はみそ工場関係者の袴田さんで、犯行着衣の5点の衣類をみそタンクに隠した」などと袴田さんの有罪を主張。
一方、弁護側は「5点の衣類」が、事件から1年2か月後にみそタンクから発見されたが、衣類についた血痕に「赤み」が残っていて不自然と主張。独自のみそ漬け実験や専門家の鑑定書をもとに「血痕は1年以上みそ漬けすると黒くなる」と訴え、赤みのある血痕がついた衣類は「袴田さんを犯人にするために捏造された証拠だ」と訴えています。
25日から3日連続で行われた検察側、弁護側の証人尋問。27日は、検察側と弁護側の専門家あわせて5人の証人へ同時に尋問が行われました。
“同時尋問”では、裁判官が「1号タンクに1年2か月みそ漬けされた場合、血痕に赤みが残るのか」質問。弁護側の証人3人は「考えられない」などと、血痕に赤みが残ることを否定しました。
(旭川医科大学 清水恵子 教授)
「(検察は)1年以上みそ漬けされた衣服に付着した血痕に、赤みが残る可能性があるという抽象的な可能性論を展開されていて、やはり、それは仮説である。科学としては実証実験をして示したい」
一方、検察側の証人2人は「一般論としては、血痕は黒くなる」と認めながらも「乾燥の状態や酸素濃度が変色するのを阻害する要因になり、赤みが残る可能性もある」などと反論しました。
3日間の証人尋問を終えて弁護側はー
(弁護団 小川 秀世 弁護士)
「裁判所がはっきりと無罪判決をしてくれると確信を持てた。我々はこれから裁判所に無罪判決以上の、捜査機関の違法行為を認定してもらい、袴田事件のえん罪となった原因をはっきりと認定してほしい。我々は最後まで頑張らないといけないと確信を持った」
袴田さんの再審公判は4月17日と24日の2回、DNA型鑑定について審理され、5月22日に結審する見通しです。