【リニア】国のモニタリング会議が県内初開催…現地視察が行われたほか流域市町から水問題での要望も(静岡)
リニア問題をめぐり、JR東海の環境保全対策を確認する国のモニタリング会議が、12日、初めて静岡県内で開催されました。また、委員らは現地視察も行い、大井川流域の市町からは、水問題に対する要望も上がりました。
12日、初めて県内で行われた国のモニタリング会議。このモニタリング会議は、国の有識者会議がまとめたリニア工事に伴うJR東海の環境保全対策が適正に行われているか確認するために、国が新たに設置したものです。
12日はまず、会議に先立って行われたJR東海の宇野護副社長と森貴志副知事、国交省鉄道局の岸谷克己技術審議官の3者による協議について報告されました。今後、情報をより早く共有していくため、責任者レベルでも、県に求められる条例手続きについて、協議状況の共有や連携を図っていく考えです。
(JR東海 宇野 護 副社長)
「森副知事と国交省が入って3者で意見交換することは今までなかったので、そういう意味では、当事者同士で場を設けて意見交換ができたことは大変良かった」「プロジェクトをぜひ早く進めていきたい気持ちは改めて伝えて」「県が持っている問題意識含めて進むような状況が作れないかということを期待している」
また、今回の会議では、JR東海と県の協議状況や山梨県側で行われているボーリング調査についての報告も。委員からは、水量の減少だけではなく、地質の調査と合わせて評価することの必要性や、発生した問題が県内にどのような影響を与えるかなど、関係性についても示すよう意見が上がりました。
オブザーバーとして参加していた森副知事は、今回の会議に一定の評価を示したほか、JR東海には、岐阜県の水枯れ問題や観測用の井戸から基準値を超える「六価クロム」が検出されたことにも触れ、情報共有の強化と重要性を訴えました。
(森 貴志 副知事)
「岐阜県瑞浪市(の水枯れ)もそうだし、六価クロムの話も出て、情報共有が遅れたという話があるが、そういったことも、その担当レベル、それから違うレベル、上層レベル、様々なところで情報があれば、事前にキャッチできるし、我々が1番重要なのは県民や流域市町の人たちの不安が一番、流域を抱えている自治体としてはそこが非常に心配なので」「様々な階層で情報共有することは非常に重要だと思っている」
一方、会議を終えた委員らは、県内の現地視察へ。まず、はじめに向かったのは、JR東海が島田市の大井川周辺で地下水の水位を観測している井戸です。
「この地盤面から深さ32~50メートルの水がこの井戸に入ってくる」「今後、工事が始まってから測定していくものと比べて今までと違うと、その原因は何かと」
委員らは、井戸を確認したほか、JR東海の担当者から井戸水の水位の変化や過去の計測結果などの説明を受けました。続いて向かったのは、農業用の水を供給する「牧之原揚水機場」。ここでは、大井川流域にある島田市の染谷絹代市長も参加し、トンネル工事で懸念されている大井川の水問題について、住民の理解と納得を得られる調査を行ってほしいと要望しました。
(島田市 染谷 絹代 市長)
「私どもにとっては飲む水だけではなく、生きる水として大井川の水がとても貴重」「私どもとしてはモニタリングをしっかりしてもらうことと、それから高速長尺先進ボーリング等の調査の結果を合わせて、科学的な裏付けをもって住民に理解や納得が得られるような説明をして、まだ残る不確実性については、順応型管理というようなものも提案いただいている」「流域住民の思いや大井川地域の独特な事情を伝えられればと思っている」
現場視察は、14日まで行われ、工事で発生した土の置き場も訪れる予定です。