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「伊豆半島沖地震」発生から50年を機に「防災シンポジウム」開催…参加住民の関心高く(静岡・南伊豆町)

2024年7月16日 18:01
「伊豆半島沖地震」発生から50年を機に「防災シンポジウム」開催…参加住民の関心高く(静岡・南伊豆町)

「伊豆半島沖地震」の発生から2024年で50年となったのを機に、7月13日の土曜日、静岡・南伊豆町で「防災シンポジウム」が開かれました。コメンテーター岩田さんも講演を行いました。住民の関心も高かったようです。

このシンポジウムは、伊豆半島ジオパーク内の15市町で構成する「美しい伊豆創造センター」と静岡大学防災総合センターなどが企画し、開催されました。会場に用意された約100席はほとんどが埋まり、また、オンライン配信も行われ、100人ほどが視聴したということです。

1974年5月9日、マグニチュード6・9の「伊豆半島沖地震」が発生。大規模な地滑りが起きた南伊豆町中木地区では27人が犠牲となりました。2024年、50年目の節目を迎え、慰霊祭では遺族らが黙とうを捧げました。

シンポジウムでは静岡大学防災総合センターの研究者3人が講演。火山学が専門の小山真人名誉教授は、「伊豆半島沖地震」は、事前に活断層と判明していた断層で実際に地震が起きた、世界最初の例だと指摘します、

(静岡大学防災総合センター  小山 真人 名誉教授)
「ここが港、この細い谷間に沿って石廊崎の集落が広がっていますけど、まさにここに、この直線上に石廊崎断層が通過して(矢印の方向に)ずれている」

また1930年以降、平穏だった伊豆半島の地震・火山活動は、1974年の伊豆半島沖地震を機に、活発となり、現在もそれが続いていると話します。

北村晃寿教授は、能登半島地震と伊豆半島沖地震の比較をテーマに講演。過去に伊豆半島で行った津波の痕跡調査の結果から、下田市の沖合約5キロの海底に活断層があると推定しています。

(静岡大学防災総合センター 北村 晃寿 教授)
「内陸型の地震では、下田沖の活断層が300年くらいの周期で活動していることから、かなり近い将来、(地震が)起きてもおかしくない」

そして、岩田特任教授は、南海トラフ地震に向けて、伊豆地域で克服しなくてはならない課題について講演しました。

講演の後のシンポジウムでは、この災害を後世に語り継いでいくことの重要性について話し合われました。50年前に地震を体験し、現在、ジオガイドとして活動する池野玉枝さんです。

(ジオガイド 池野 玉枝さん)
「実は中木では、体験された方がまだいらっしゃいます、私たちに伝えきれない部分を」「この人でなければ語れないこと、というのを一緒に参加してもらって活動の中に取り入れています、お父さんと息子さんを亡くされた方が、その時の状況を親族だから語れることを語って下さいました。おじいさんがしっかりとお孫さんを抱いてかばうような形で発見されたと語ってくれました。こういうことで、少しでもいいから伝えていきたいと思っています。そこから皆さん何かを感じ取ってもらえばいいなと思っています」

参加者は、あらためて地震への備えを確認したようです。

(参加者)
「ずっと、この地区は地震が来ると言われているので、あすは我が身ではないですけど、それを見て何か生かせることがあれば生かしていった方がいいと思います。防災の資格のような話があったので、そういったものに参加して、地域からそういう活動を発信できるよう、学習の機会があれば積極的に参加したいと思った」

(参加者)
「当時の写真とかをみて当時はこんなだったのかと思い、実際、再度来たら怖いと思いました、やはり物資が届くのが、時間がかかるので、やはり非常食の確保とかに務めていかなければいけない」

イベントの発起人の一人である小山名誉教授は、参加者の意識の高さに感心していました。

(静岡大学防災総合センター  小山 真人 名誉教授)
「伊豆半島を長年研究してきて、50年前の伊豆半島沖地震というのは、やはりひとつの歴史の節目だったと思うので、地元の人にしっかりどんなことがあったのか理解しておいてほしい、もちろん地元の方から教わることもあるので、お互いの学びの場にしたかった」

(スタジオ解説)
(澤井 志帆 キャスター)
ここで、岩田さんが南伊豆で行った講演の内容をまとめます。克服すべき課題として5つ挙げられました。

まず1つ目は、「耐震化レベル、2000年基準に」とあります、そして2つ目が「空き家の撤去」です。

住宅の耐震率を詳しく見て行きます。静岡県全体では90%近くが耐震化されていますが、伊豆地域では、南伊豆や松崎、西伊豆、東伊豆など60%台です。

(津川 祥吾 アンカー)
伊豆を含めた静岡県全体で9割近くが耐震化が進んでいるのに、伊豆地方では数字が低いところが多くなっていますがこれは?

(静岡大学防災総合センター 岩田 孝仁 特任教授)
一つの要因は、建て替えで新築する家がまだまだ少ないということ。大都市部では比較的新築が多くて耐震化率が高くなっているんですけれど、もう一つはやはり、それぞれ昔から住んでいて、高齢化も進んでいると、なかなか耐震化するモチベーションが、判断がつかないという人が増えてきてしまうというのがあります。

(徳増 ないる キャスター)
残りの課題を見ていきます。

(澤井 志帆 キャスター)
克服すべき課題、3つ目は地域の防災力低下を補う人材の確保、4つ目が孤立集落の支援、5つ目が防災対策のリノベーションとなっています。

高齢化率を見ていきます、県全体だと30.4%。全国的には平均レベルですが、伊豆地域を見てください。西伊豆町で52.6%と50%を超えています。これは県内一なんですが、そのほかの伊豆地域でも比較的高い割合となっています。

(津川 祥吾 アンカー)
高齢化の問題も能登半島地震で浮き彫りとなりました。防災上のポイントの一つですよね?

(静岡大学防災総合センター 岩田 孝仁 特任教授)
高齢化だけではなくて、高齢化と同時に人口減少というのがあるんですね。そうすると、いざというときに動ける人が少なくなっている。助けてほしくても助けられる人が少なくなってくる。そういった問題が出たり、発災後の例えば応急活動だとか、復興復旧にあたって人が戻ってこられないんです。高齢化が進んで人がいなくなって戻ってこられない、戻ってこないと復旧のいろいろな手続きが進んでいかないと、こうした問題まで波及してきます。

(徳増 ないる キャスター)
そのほかの課題で気になりましたのが、防災対策のリノベーションというのは具体的に何ですか?

(静岡大学防災総合センター 岩田 孝仁 特任教授)
高齢化もそうなんですけれども、例えば体が不自由になっているようないろいろな方々が地域にお住まいになっている、そういった方々が、例えば津波の避難タワーがありますが、昔造った、一歩一歩が高い階段に登れないとか、避難所は相変わらず学校の体育館というようなところが多いですよね。そうすると、ざこ寝の状態で、多くの方が過ごされるようになると、そいういったとこには行けないとか、そういった方々もいる。いまの我々の生活に、ある程度あわせた対策の見直し、再構築をしていかないと、使えない状態になってしまうんです。

(津川 祥吾 アンカー)
伊豆半島の克服すべき課題としてうかがいましたが、例えば高齢化、人口減少ということになると、防災もさることながら、そもそも地域が抱えている大きな問題があって、それが防災も難しくしているということになるかと思いますので、根本的な問題に、例えば若い人を増やそうことも大事ですが、かなり時間がかかってしまうと思うんですね。一方で防災対策というのは待ったなしになるので、そういう意味で最初に私が気になったのは、耐震化レベルが低い、これは、少なくともこれだけでも一刻も早く進めるというのが必要になってくるのではないかと思うのですが何か対策はないでしょうか?

(静岡大学防災総合センター 岩田 孝仁 特任教授)
それぞれ個人の方に一生懸命必要性を説いてもなかなか進んでいかないですね。一つは、例えば一部屋だけでも耐震化してしまうようなシェルターのようなもの、これは比較的安価に設置できます。家を改造しなくてもいい。せめて最低限そのようなことを進めていくとか、もう一つは、地域全体でこの町を良くしようとか、行政も一緒に入って、もう一度地域の区画整理を、リノベーションしていく、そういった投げかけを行政がしていって、地域を良くするということを、もう一回、皆で一致団結して考えていただく、こういうこともあわせて進めていただければと思いますね。

(徳増 ないる キャスター)
いま一度、皆で考えたいですね。