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【失われた幼い命】園児置き去り事件…重度の熱中症で亡くなった3歳の娘「家族の主役を失って…」父親が明かす思いとは(every.しずおか特集)

2024年1月19日 13:52
【失われた幼い命】園児置き去り事件…重度の熱中症で亡くなった3歳の娘「家族の主役を失って…」父親が明かす思いとは(every.しずおか特集)

2022年9月、静岡県牧之原市の認定こども園で、通園バスに3歳の河本千奈ちゃんが置き去りにされ、重度の熱中症で亡くなりました。

幼稚園の不誠実な対応への怒り、そして、風化への不安…千奈ちゃんのお父さんが、これまで明かさなかった思いを届けます。

幸せな日々は一転…悲劇へ

(河本千奈ちゃん)
「動いている。赤ちゃんが動いてる。見て」

生まれたばかりの妹にミルクをあげるのは、河本千奈ちゃん・当時3歳。

(河本千奈ちゃんの父親)
「この動画は2022年6月に二女が生まれてすぐに撮ったものです。すごく嬉しそうに二女の顔を覗き込みながら、しっかりとお姉さんをしてくれているような動画」

お姉ちゃんになって約3か月。まだ厳しい残暑が残る2022年9月、千奈ちゃんは、当時通っていた「川崎幼稚園」で、最高気温が30度を超える中、通園バスに約5時間取り残され、重度の熱中症で亡くなりました。

窓が閉め切られた車内は、想像を絶する暑さだったのでしょう…。持っていた水筒は空に…衣服も身に着けていない状態で発見されました。

(河本千奈ちゃんの父親)
「口元は乾いて、目は人形のように生気が感じられない状態でした。妻が整えた髪の毛の三つ編みも汗で湿って、額に髪の毛がくっついている状態でした」

警察の検証で、車内の温度は40度を超えていたとみられています。

園のずさんな管理で奪われた命

当日、バスを運転していたのは園長。まだ小さな子どもたちに細心の注意を払うべきはずが、事件後に開かれた会見では‥

(川崎幼稚園 増田立義 元園長)
Q:バスを降りるとき後ろを見た?
「ドアの方は見ました。でも後ろ側は運転席からは見えないんですね」
Q:見えなかったの?見なかった?
「見なかったです」

さらに、会見の最後には…

(川崎幼稚園 増田立義 元園長)
「僕がいなくなったら(園が)さらによくなるように」

(弁護士)「園を続けるかは決まっていない」

(川崎幼稚園 増田立義 元園長)
「そうか(笑)廃園になるかもしれないね」

事件からわずか2日…その一番の当事者でありながら、まさかの笑顔まで…

この事件をめぐっては、増田立義元園長と元保育士ら、あわせて4人が、業務上過失致死の疑いで書類送検され、その後、静岡地検は、元園長と元担任の保育士の2人を在宅起訴しました。

園のずさんな管理により奪われた、わずか3歳の命。お父さんは、千奈ちゃんと過ごしたすべての時間が今も鮮明に残り、忘れることはできません。

家族の主役を失った喪失感

(河本千奈ちゃんの父親)
「難産で、妻が何時間も頑張ってくれて、はじめて姿を見たときは妻も私も感動して泣いていました」

初めての子どもが誕生し、お父さん、お母さんの生活も千奈ちゃんが中心のものに。日に日に大きく成長する千奈ちゃんのために、自宅も購入しました。

そして3歳になった千奈ちゃんは幼稚園に通い始めます。毎日笑顔で出かけ、幼稚園に行くのが大好きでした。

(河本千奈ちゃんの父親)
「落ち着きがないこともあったが、3歳で幼稚園に行き始めてからは、集団行動に慣れてきて、子どもって成長が早くてかわいいな、ずっと見ていたいと感じていた」

(河本千奈ちゃん)
「パパ~、助けて~。バイキンマンがクルクル回ってくる」

日常に溢れていた大好きな千奈ちゃんの笑顔。しかし、今はもう、ありません。

(河本千奈ちゃんの父親)
「千奈がいないこと、違和感しかないので、家族の主役がいなくなったことで、悲しみや怒りを背負って生きています」

園の不誠実な対応は続き…

耐えきれない感情の中、両親は、川崎幼稚園に廃園を求めました。しかし、そこでも園の不誠実な対応が続きます。

(河本千奈ちゃんの父親)
「私たちが話しているときに、前園長はずっと下を向いていたので、話を聞いていますかと声をかけたら『すいません、違うことを考えて聞いていませんでした』と。ふざけるなと。何もけじめをつけずに千奈が亡くなっただけ、それが許せないです。しっかりと責任を取ってもらいたい」

事件直後、川崎幼稚園を運営する榛原学園は、牧之原市に対し、指定管理を受けている「細江保育園」と「静波保育園」の運営辞退を申し出ていましたが、現在は一転、継続を主張。

事件からわずか1か月で再開した川崎幼稚園。日常が取り戻されつつある中、事件については何も変わらないまま…。

事件の風化への危機感と未来への願い

お父さんは「事件を風化させたくない」「千奈ちゃんのことを忘れて欲しくない」と、2023年3月から、SNSで園側の対応や園との面談内容などを発信し始めました。

(河本千奈ちゃんの父親)
「ぼくたちは子どもの命を、子どもの安全を守る環境が整えられなかった。実際は園が悪いかもしれないが、すごく後悔ばかりして過ごしているので、自分ごとと考えて、対策や子どもたちに教えられることを実践してほしい。被害者にも加害者にもならないでください、それだけです」

(静岡第一テレビ every.しずおか 2023年4月24日放送)

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