【特集】「1%の “もしも” のために」 実は99%が間違い電話の現実…海の安全を守る「118番」司令センターの実態と課題 (every.しずおか)
「118番」を聞いたことはありますか。「118番」は、海の事件・事故の緊急通報ダイヤルです。運用開始から20年あまり経ちましたが、認知度は低く、99%近くが誤った通報だといいます。
海の緊急通報ダイヤル118番。命を守る通報が、もし、遅れてしまったら・・
(運用官)
「海上保安庁118番です。事件ですか、事故ですか?」
(通報者)
「あ、ごめんなさい。間違えました、すみません」
(運用官)
「海上保安庁118番です。もしもし~?もしも~し?」
(通報者)
「・・・・」
横浜市にある第三管区海上保安本部 運用司令センター。ここでは、118番通報を24時間体制で受け付けています。
海上保安庁は、日本全国を11のエリアに分けて海の安全を守っています。このうち第三管区は、静岡、茨城、千葉、神奈川、東京、の5都県をカバーしています。
静岡県から118番通報をすると、横浜にある運用司令センターにつながります。救助などが必要な場合、横浜の運用司令センターから、すぐに各エリアの海上保安庁に情報が共有され、巡視船や航空機を使って活動を行います。
第三管区運用司令センターでは、海上における事件・事故の緊急通報ダイヤル118番に24時間態勢で対応しています。1日に入る通報は400件あまり。3分に1回のペースで通報が入ります。しかしその内容の多くは・・
(通報者)
「海上保安庁ですか?海上保安庁ですよ(笑)なんで118番なんですか(笑)」
寄せられる通報のほとんどが、いたずらや無言電話だといいます。
海上保安庁に去年1年間でかかってきた118番通報は、39万件あまり。そのうち約9割が「誤通報」なのです。あまりの多さに司令センター長は・・
(運用司令センター 小谷充生 所長)
「間違い電話はしないようにしていただきたい。大事な通報が埋もれてしまう。うまく情報が伝わらないということが起きる恐れがある。ためらわずに連絡していただきたいが、間違いはやめましょうとお願いしたい」
また、誤通報が多い要因は「認知度の低さ」にもあるといいます。
海上保安庁が約1000人を対象としたアンケート調査によると、半数以上が「118番を知らなかった」と回答しています。
(運用司令センター 小谷充生 所長)
「消費者ホットライン『188』と、それと間違えられる方が結構多い。それ以外には110番や119番のかけ間違いもある」
こうした現状を踏まえ、認知度を上げようと海上保安庁は2010年から、1月18日を「118番の日」として、全国各地で広報活動を行っています。
では、118番通報はどのような場合にかけたらいいのでしょうか?
(運用司令センター 小谷充生 所長)
「海で衝突した、漂流した、転覆した、病気になった、けがをした場合は、118番にかけていただければ。それ以外に密輸、密漁、不審な船がいるというのも118番に連絡していただければ」
2023年1月17日、清水海上保安部では、漁船同士の衝突事故を想定した訓練が行われていました。118番の運用開始から20年あまり。いまだに通報の99%が誤通報を占める中、1%の“もしも”の事態は一刻を争います。
いち早く現場に駆け付け、海の安全を守るために海上保安官は日々訓練を重ねています。
(静岡第一テレビ every.しずおか 2023年1月18日放送)