“牛のふん尿”から燃料 新型ロケットのエンジン燃焼実験 民間企業で世界初 北海道大樹町
「宇宙に近いマチ」といわれる北海道大樹町では、あるロケットの打ち上げ計画が進んでいます。
そのロケットエンジンの燃料は、なんと「牛のふん尿」から作られた「バイオメタン」です。
民間企業で世界初となる実験の様子が公開されました。
(武田記者)「大樹町のロケット実験場ですが、まもなくZEROロケットのエンジン燃焼実験が始まります」
温度が3000℃以上に達したという、ロケットエンジンの実験映像です。
このエンジンで使われているのは「液化メタン」と呼ばれる燃料で…
民間企業では世界初の試みとなる、なんと「牛のふん尿」から作られる燃料です!
実験が行われたのは人口およそ5300人の十勝の大樹町で、「宇宙に近いマチ」として知られるようになりました。
(宮永キャスター)「MOMO3号機が大空へと打ち上がっていきます」
2019年5月、日本で初めて民間企業のロケットが高度100キロを超え、宇宙空間に到達。
ロケットを開発・製造している「インターステラテクノロジズ」です
現在開発しているのは「ZERO」という新型ロケット。
ロケットの先端に「小型の人工衛星」を積んで、宇宙空間まで運ぶことなどが大きなミッションです。
「ZERO」は全長が32メートル・重量が70トンを超えます。
大樹町は乳牛の数がおよそ2万5000頭と、人より牛の数が多いマチです。
「家畜のふん尿」は臭いや水質汚染などが社会問題となっていて、牧場では「ふん尿」から出るガスをためる施設や…
帯広市でもロケットの燃料を製造する工場などが完成し、地域としてエネルギーの地産地消を目指しています。
(水下ファーム 水下英治社長)「(牛のふん尿は)集めて堆肥舎に入れるなり、尿だめに入れて処理をするだけのものでした。(ロケットの燃料として)本当に使われるということになった時に楽しみというしかありません」
実験が終わり稲川貴大社長はー
(インターステラテクノロジズ 稲川貴大社長)「ロケットの燃料に牛由来の燃料を使うのは、ロケットとして性能が下がらない、コストパフォーマンスも良いもので、環境にも良い。トータルに優れた経済循環だなと思う。(今回の実験は)大きな目標に対して、まず一歩突破できた段階かなと思っています」
「ZEROロケット」は来年度以降の打ち上げを目指し、さらに実験を続けていくということです。