道路の左側の青い標識“矢羽根式”石黒瞳記者が自転車で走って実感「決定的な対策できていない」
くらしに欠かせない自転車。
車道の左側通行を促すのが、こちらの矢羽根型路面標示です。
しかし、駐停車の車が行く手を阻むなど、いまもなおルールを守って車道を走る自転車が危険にさらされているのが現状です。
札幌市中心部の交差点です。
通勤時間帯は交通量が非常に多く、自転車に乗る人の姿も見られます。
道路に記されている青い矢印は「矢羽根型路面表示」です。
これは自転車の通る位置と方向を示し、車道の左側通行を促しています。
多くの自転車が矢羽根型表示の上を走っていますが、中にはー
(石黒記者)「路上駐車の車が邪魔で歩道の中へと入りました」
自転車は歩道に上がり、車をよけたあと、また車道を走っていきます。
矢羽根型路面表示の上には多くの車がとまっていて、表示が隠れるだけでなく自転車が通れなくなっています。
こうした場合、自転車は原則車道走行なため、札幌市は車道側から車を追い越すよう呼び掛けています。
しかし、利用者が危険にさらされているのが現状です。
(自転車の利用者)「(路駐は)本当にやめてほしい。避けるときに車道に出ないといけないので危険だと思う」
一方、車を運転する側からも不安の声が。
(タクシー運転手)「危ないなと思うのは日常茶飯事」
(タクシー運転手)「日本の道路事情じゃ分けるのは難しいのでは。自転車の走行レーンもあるけど車がとまっていて確保されていない」
実際に自転車で走ってみるとー
(石黒記者)「トラックがとまっているので右からよけたいと思います。車との距離が近くとても恐怖を感じます」
この通りでは道路わきに停車することは違反ではありません。
しかし、停車しようとすると矢羽根型表示の上にとまることになり、自転車はよけながら走るしかありません。
さらにはこんなこともー
(石黒記者)「車がとまっています。後ろを確認して右からよけたいと思いますが」
運転席に戻ろうと男性が車の前から車道に出てきました。
スピードが出ていたら接触していたかもしれません。
札幌市は自転車の通行場所を確保するには課題があると言います。
(札幌市自転車対策担当課 伯谷浩課長)「例えば幅を広げるですとか、もしくは車線数を減らすというような対応が必要となります。それには時間や費用がかかるということで、実施には結構ハードルが高く思っております。自動車の運転者の方には極力駐停車を避けていただくようお願いをしたいと思っております」
自転車に乗る人が「車道の左側通行」というルールを守っていても、安全のための決定的な対策ができていないのが現状です。
いまは車を運転する人も矢羽根型路面標示を理解し、自転車の存在を思いやることが大切になっています。