「赤字もいいところだ」奈井江の猟友会きっかけ波紋広がる“ハンター報酬問題” 町は依頼断念
北海道・空知の奈井江町の猟友会が、クマ出没時の対応を辞退したことを受け、町は猟友会への依頼を断念したと明らかにしました。
道内のハンターからは、クマ対策への報酬の低さを問題視する声が相次いでいます。
(奈井江町 三本英司町長)「猟友会の部会長には、猟友会としての(意見の)趣旨を理解したうえで今回断念しますと伝えた」
2024年6月10日朝、奈井江町の三本町長が取材に応じ、地元の猟友会に対し、クマの駆除などを担当する「鳥獣被害対策実施隊」への参加を依頼することを断念したと明らかにしました。
奈井江町では2023年度、クマや痕跡の目撃情報が15件ありました。
全道的に市街地でのクマの出没が相次ぐなか町は2024年5月、地元の猟友会にクマ出没時の対応への参加を呼びかけました。
これに対し声を上げたのが、猟友会の山岸部会長です。
(北海道猟友会 砂川支部奈井江部会 山岸辰人部会長)「俺たちは役場の下請けじゃないんだよ。最低賃金にも引っかからないよ」
町は猟友会に対し、事前に相談することなく最大1万300円という報酬を提示。
奈井江町の猟友会は人員不足に加え報酬額で折り合わなかったため、参加辞退を申し出たのです。
(北海道猟友会 砂川支部奈井江部会 山岸辰人部会長)「アルバイトみたいな報酬で誰がやりますか。この報酬の中にはその後の運搬処理や解体、焼却処分も含んでくる。妥当な金額とは思えない」
問題となった報酬額について三本町長はー
(奈井江町 三本英司町長)「業務内容に対する対価が少ないという意見が寄せられた、承知はしている。民間事業者の委託も検討している。今回残念ながら(猟友会が)協力できないのであれば、独自の報酬体系を考えざるをえない」
10日に札幌市内で開かれた北海道猟友会の総会に山岸さんの姿がありました。
総会では報酬額について、道内のハンターから意見が相次ぎました。
「奈井江部会の声はその通り。燃料代も考えると赤字もいいところだ」
「クマの出動手当などについて奈井江部会が単独で声を上げたが、北海道猟友会で全道的な調査をしてほしい」
総会を終え、山岸さんはー
(北海道猟友会 砂川支部奈井江部会 山岸辰人部会長)「ハンターの皆さんが疑問に思っていることが言葉になって出てきた。みんな協力したい気持ちでやっていが、そこに自治体が乗っかっているのは変な話ではないかと。まさに報酬問題とはそういう話だと思う」
クマ対策に重要な役割を果たす猟友会。
奈井江町の問題をきっかけに、協力体制や報酬のあり方が改めて問われています。