母・浩子被告「できないことは断った」父・修被告裁判で証言…法廷で様々エピソード語る狙いとは
親子3人が逮捕・起訴されたすすきののホテル殺人事件で、父親の田村修被告の5回目の裁判が開かれました。
証人として出廷した母親の浩子被告は、娘の瑠奈被告に対し「できないことは断っていた」などと涙ながらに訴えました。
きょう(2025年1月29日)開かれた、田村修被告の5回目の裁判員裁判。
法廷に姿を現したのは、母親の浩子被告です。
(浩子被告)「事件が起きなかったら大切な家族と過ごす時間が続いていたと思うと大変申し訳ない」
冒頭、被害男性と遺族に対し、このように謝罪しました。
2023年7月、札幌・すすきののホテルから頭部のない男性の遺体が見つかった事件で、殺人ほう助などの罪に問われているのは、田村修被告(61)です。
起訴状によりますと、修被告は2023年、犯行に使われたのこぎりやキャリーケースなどを購入し、娘の瑠奈被告に提供したほか、事件当日に瑠奈被告を車で送迎するなどした罪に問われています。
29日の裁判に証人として出廷した浩子被告。
弁護側から瑠奈被告の精神状態などについて質問が続きました。
(弁護人)「不安定になるようなことはしたくなかった?」
(浩子被告)「怒ったとき、ちょっと出て行ってくれないと言われ、修さんと2人で時間をつぶして戻ると、(体に)傷をつけて血が出ていて…そういうことをしてほしくなかった」
(弁護人)「瑠奈のやりたいことはさせていた?」
(浩子被告)「そうではありません。人に迷惑をかけてはいけないと思っていた。ベランダで花火をしたいと言われたことがあって、周りに迷惑がかかるからやめさせた」
時折、涙ながらに言葉を詰まらせた浩子被告。
精神が不安定になると自傷行為に及ぶ瑠奈被告に対し、「できないことは断っていた」と訴えました。
一方、これまでの裁判で検察は、事件当日に浩子被告がLINEで修被告に対し…
(浩子被告のメッセージ)「車のGPS記録残りますか」
このように送信していたと指摘したことについては…
(弁護人)「GPS記録残りますかと入力した記憶はありますか?」
(浩子被告)「自分で入力した記憶はありません」
(弁護人)「考えられる理由は?」
(浩子被告)「娘(瑠奈被告)と話したときに(修被告に)聞いてほしいと話しが出ていたのだと思います」
瑠奈被告から頼まれて送信したと主張しました。
元検察官で刑事裁判に詳しい中村弁護士は、弁護側の狙いについてこう分析します。
(元検察官 中村浩士弁護士)「修被告の弁解が不合理ではなく、一定の合理性があるということ。殺害計画を事前に認識していたと結び付けようとする検察の立証には無理があるということを、裁判官に分かりやすいように様々なエピソードを浩子被告の口から語らせるのが最大のポイント」
修被告は初公判で「娘の犯行を知ったのは事件があったあと」などと起訴内容を否認し、無罪を主張しています。
修被告の次回の裁判はあす30日に開かれ、引き続き浩子被告に対する弁護側の証人尋問が予定されています。