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錠剤を粉末に…“かぜ薬不足” 薬局は対応に苦慮 異例の早さでインフルエンザ流行 札幌市

2023年10月26日 16:15
錠剤を粉末に…“かぜ薬不足” 薬局は対応に苦慮 異例の早さでインフルエンザ流行 札幌市

インフルエンザが早くも猛威をふるっています。

教育現場では学級閉鎖が相次ぐ中、深刻なのがかぜ薬などの医薬品不足です。

メーカーの不祥事などが背景にあるということですが、薬局は対応に苦慮しています。

札幌市内の小児科クリニックは、発熱などの症状を訴える子どもの診察で大忙しです。

最近増えているのが、インフルエンザだといいます。

(わたなべ小児科・アレルギー科クリニック 渡辺徹院長)「10月のはじめくらいからインフルエンザのA型の患者さんが増えてきました。明らかに早いですね、例年からみると。ここ数年インフルエンザがあまり流行りませんでしたので、インフルエンザに対する抵抗力が落ちていることも大きな要素だと思います」

例年12月ごろから流行りだすインフルエンザですが、道内ではすでに患者数が流行の目安を超えていて、異例の早さとなっています。

札幌市ではきょう「流行発生注意報」が発表されました。

道内の小・中学校では学級閉鎖や学年閉鎖が相次ぎ、保護者の危機感も高まっています。

(保護者)「職場でも流行っている。インフルエンザの時はマスクをしていた方が感染予防になるので、マスクと手洗いうがいはしっかりしてもらう」

こうした中、医療機関や薬局ではある懸念が持ち上がっています。

「薬不足」です。

(きりはな薬局 堀崇嗣さん)「これがうちにあるせき止めなんですけど、注文を入れているけど品がないということで入れてもらえない。うちにある在庫はこれだけ。1人分出したら終了」

見せてもらったのは、かぜ薬や炎症を抑える抗生剤です。

ジェネリック医薬品メーカーの製造における不祥事と新型コロナの長期化によって、数年前から全国的に深刻な薬不足に陥っています。

この薬局では、注文した薬が在庫不足で受け付けられないと卸業者から通知が届いていました。

(きりはな薬局 堀崇嗣さん)「当初2,3年で収まるんじゃないかとメーカーは話していたが、それはいまも続いていて、いま質問したらあと2,3年はかかるんじゃないかという風に言われています」

特に子ども用のせき止め薬は需要が高く、粉末とシロップのどちらかがなくなってしまうことがあるといいます。

そのため、錠剤をすりつぶして粉末にすることで足りない分をカバーしていました。

(きりはな薬局 堀崇嗣さん)「処方医が出す薬がベストだと思うが、それに準じた提案をしたりというケースは多々ありますね。代替品のない薬に対して出荷調整が起こるということは重要な問題だと認識しています」

適正な医療が受けられない事態につながる薬の不足。

国や行政による対策はもちろんですが、私たちもインフルエンザなどの感染予防に努めることが大切です。