「現行制度の維持」7割以上が高齢者 敬老パスの見直し 世代間の違いが浮き彫りに 札幌市
札幌市の敬老パスの見直しについて、14日から本格的な議論が市議会で始まりました。
しかし、「現行制度の維持」を求めているのは多くが高齢者で、改めて世代間の考え方の違いが浮き彫りになっています。
議場に入りきらないほどの傍聴人が押し寄せた札幌市議会。
議論のテーマは「敬老パス」の見直しです。
(日本共産党 佐藤綾市議)「経済的に困窮する高齢者への配慮は検討したのか」
(札幌市高齢保健福祉部 西村剛部長)「経済的困窮と利用金額に相関関係はみられていない」
(日本共産党 佐藤綾市議)「相関はないということだが、人によって使い方は違いますよね」
質疑が白熱する理由、それは見直し案の内容にあります。
札幌市は敬老パスの利用上限額を7万円分から4万円分に引き下げる方針を固めています。
対象年齢は現在の70歳から75歳に引き上げられます。
実質的なサービスの「縮小」です。
新たな外出支援策として「健康アプリ」が導入され、ウオーキングなどをすると交通機関で使えるポイントがもらえます。
市が開催した説明会では高齢者から強い反発が。
(参加者)「(上限額を)削られたら病院にも通院できなくなる」
さらに20代の男性が発言するとー
(20代の参加者)「現役世代の声も聞いてほしいです。なんで少子高齢化がもっと進んだいま、まだ(敬老パス制度を)続けようとするんですか」
(参加者)「続けているところの方が多いよ」「そうだ!君も年取るぞ」「聞いてあげろ!」
高齢者からヤジが飛ぶ場面も。
深まったのは市民の理解ではなく、世代間の対立でした。
(秋元市長)「いままでの議論、約1年半やってきましたけれども、着地点についていま提案させていただいている内容で進めることが妥当だと判断させていただきました」
市長は議論を尽くしたと胸を張りますが、14日に公表された市民への意見公募の結果がこちら。
全体の半分を占めたのは、今の敬老パス制度を維持してほしいという意見でした。
年齢別の内訳を見ると、70歳以上の高齢者が7割以上を占めていて、世代によって考え方に違いがあることが分かります。
敬老パスの維持を求めて来た市民はー
(市民)「議論を避けようとしているようにしか見えない。結論を急ぐのはおかしい」
世代間で考え方に違いがある敬老パスの見直し。
市は議会での審議を経て、新たな制度を2026年度にもスタートさせたい考えです。