雷に冠水に…札幌に大雨特別警報発表から10年 当時の課題はどうなった? 見直しあれこれ
札幌市内に「大雨特別警報」が発令されてから9月11日で10年です。
いつ発生するかわからない大規模な水害に対して、いま対策はどのようになっているのでしょうか。
現状を取材しました。
11日に札幌市が行った防災訓練です。
大雨を想定した体験が行われました。
40センチの高さまで浸水したドアを開けようとするもー
(子ども)「開きません」
さらに、地域の住民は避難所の開設訓練などに取り組みました。
ちょうど10年前の2014年9月11日。
札幌は未明から激しい雨に見舞われました。
(大井記者)「札幌市南区真駒内の国道です。ご覧のように道路が冠水し、まるで川のように水が流れています」
道内で初めて「大雨特別警報」が発表され、札幌を含む12市町およそ90万人に避難勧告が出されました。
札幌市で当時、二つの課題が浮き彫りとなりました。
その一つが緊急速報メールです。
避難勧告が「連合町内会」の名前で書かれていて、自分の町内会を知らない人は避難先が分かりませんでした。
また当時、住民を悩ませたのが避難所です。
札幌市が避難勧告を出すも避難所が開いておらず、引き返す住民の姿が見られました。
あれから10年、市民の意識はどう変わっているのでしょうか?
(札幌市民)「自宅の真裏が小学校なので、そこが避難地区になっているというのは地区の回覧板とかで見ています」
(札幌市民)「リュックに災害用のセットを作って、水とか食料とか携帯用のトイレとか一応用意はしています」
一方、札幌市は新たな対策に取り組んでいます。
市は緊急速報メールの表記を変更しました。
メールには避難区域の概要を配信し、そこに掲載されている市の防災ポータルサイトにアクセスすると、詳細な避難地域の地図や避難の対象となる世帯数などを確認できるようになりました。
避難所の開設についても体制を見直しました。
(札幌市危機管理局 渡辺元さん)「10年前の災害を受けて、札幌市内の避難所の開ける体制、その中で特に区の職員などの訓練とかルールを身に着けていくことが大事だという風にありましたので、今も継続して訓練だとかルール確認を行うこととしております」
さらに2022年、市は「浸水ハザードマップ」を大幅に改訂。
水害が起こりうると想定される河川を新たに50追加し、浸水想定地域が以前より拡大しました。
また、大雨が降った際に排水しきれずに発生する「内水氾濫」が起こる可能性のある場所も追加されました。
行政が新たな対策をとる一方で、独自の備えをしているのが宮の沢町内会です。
町内会として道内で初めて、災害時に緊急メールを一斉配信する「RAIDEN」を導入しました。
(記者)「このシステムがあることのメリットは?」
(宮の沢町内会 中川和彦会長)「非常時に即連絡ができる。役員を集めて協力員を集めて要配慮者に連絡して逃げようという仕組み」
いつ起こりうるかわからない大雨災害。
行政だけでなく、ひとりひとりが日頃から災害に備えることが大切です。