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冬の災害から身を守る 避難所の備えと課題 能登半島地震から2週間

2024年1月15日 18:53
冬の災害から身を守る 避難所の備えと課題 能登半島地震から2週間
能登半島地震の発生から15日で2週間です。

いまなお2万人以上が厳しい寒さの中での避難生活を余儀なくされています。

冬に道内で災害が起きた場合に避難者の健康をどう守るのか。

「備え」の現状と課題を取材しました。

(札幌市危機管理課 三好俊也担当課長)「こちらがですね、札幌市の備蓄倉庫という形になります」

札幌市が市内2か所に設けている防災拠点倉庫です。

おむつやカセットボンベなどを備蓄しています。

特に重要なのが、冬の災害への備えです。

(札幌市危機管理課 三好俊也担当課長)「毛布と寝袋と折り畳み式ベッドになります」

保温性の高い寝袋ですが、床の上で使ってみると…

(石黒記者)「暖かいんですが、床からの冷気が来ます」

しかし、こちらのベッドの上では…

(石黒記者)「先ほどは背中が冷たかったが、入った瞬間に温まる」

札幌市は今年度中にベッドを1万台まで増やす計画です。

能登半島地震では、寒さによって避難所で体調を崩し、病院に搬送される人が相次いでいます。

防寒具や暖房器具の支給・支援が追いつかないのが現状です。

札幌市は、冬に直下型地震が起きた場合、最大でおよそ10万8000人の避難を想定しています。

食糧は2日分を確保していますが、家庭での備えも呼びかけています。

(札幌市危機管理課 三好俊也担当課長)「役所もいろいろ準備はしていますが、限界がありますので、カイロなど寒さに備えた用品も合わせて備えてもらえると安心できるのかなと思っています」

また、寒さ以外にも健康被害を生む懸念が…

長引く車中泊です。

自宅が被災した石川県の家族は、1週間ほど車の中で寝泊まりしていましたが、先週、避難所に身を寄せました。

(避難した人)「やっぱり車の中でみんな疲れが限界だったので、特におやじおふくろはエコノミークラス症候群まずいなと思って」

長い時間座ったままの姿勢を続けると、ふくらはぎなどの血管に血のかたまりができるエコノミークラス症候群。

肺につまると最悪の場合、死に至ります。

2016年の熊本地震では、車の中に避難をしていた多くの人が発症しました。

専門家は精神的な不安が関係していると指摘します。

(旭川医科大学病院 東信良病院長)「災害から逃れてきてやれやれという時に起きる災害関連死にかなり関係のある病気」

予防には水分補給や簡単なストレッチが効果的だといいます。

(旭川医科大学病院 東信良病院長)「屈伸ですね、ふくらはぎが動いていると思う。今度は足首を回す運動、立ってつま先立ちをする。水分をちゃんととって足を動かしていれば防げるかもしれないということをみなさんに知っていただきたい」

避難したあとの心と体のケアにどう取り組むのか。

行政の支援だけでなく、ひとりひとりが備えや対策を考えることが大切です。