若者に知ってほしい「衆院選」の基本 立候補に必要な供託金300万円って? 比例復活当選って?
27日に迫った衆議院議員総選挙。
大分県では2024年初めて高校に期日前投票所が設置されるなど、若者の投票率アップに向けて県内でも様々な取り組みが行われています。
そこで今回は入社1年目の渡辺一平記者が、若者に知って欲しい衆院選の基本の仕組みなどを解説します。
まず、街の人たちに選挙に対する印象を聞いてみました。
◆10代男性
「関心が無くて選挙に。難しいが一番かなと思う」
◆10代の男性
「まだあまり理解できてない、知識不足」
◆20代の男性
「言葉が難しいなみたいな感じ」
◆30代の女性
「漢字も多いし、法律の名前も出てくるし、とっつきにくいと思う」
街で話を聞いてみると、選挙を身近なものと感じにくく、特に若い世代の多くが選挙自体が難しいと感じていることが分かりました。
衆院選について、現在の衆院選の仕組みですが、「小選挙区比例代表並立制」という制度で行われています。
投票用紙も2種類あって、有権者は、小選挙区と比例代表の両方に投票することができます。
小選挙区は大分であれば、1区、2区、3区と3つに分かれていて、有権者は自分が住む選挙区の候補者の中から1人の名前を書いて投票します。
その結果、各選挙区で最も票を獲得した候補者が当選するという仕組みです。
一方で、比例代表制は、特定の候補者に投票するのではなく、自分が支持する政党などに投票します。
各政党は獲得した票の割合に応じて一定の議席を獲得し、その党が届け出ている名簿の順番に従って当選者が決まるという仕組みです。
そして、小選挙区と比例代表の両方に立候補した人については、小選挙区で落選しても、その選挙区でどれだけ当選者に迫ったかを示す惜敗率が高ければ比例で当選することもあります。
これがいわゆる比例復活当選と呼ばれるものです。惜しくも落選した人へのいわゆる死票をできる限りムダにしないようにこういった制度になっています。
続いては、候補者が立候補するために準備しておかなければならない「供託金」というお金についてです。
衆院選の場合、候補者は、小選挙区では、300万円、比例代表では、600万円を一時金として法務局に収める必要があります。
ではなぜ、この供託金が必要なのか専門家に聞きました。
普段から選挙について研究をしている北九州市立大学法学部の澁谷壮紀准教授です。
◆北九州市立大学法学部 澁谷壮紀准教授
「基本的にこの制度自体の目的は、議員になろうと思わずに、自分たちの利益を得ようとするいわゆる売名行為をする人たちを出来る限り選挙に出ないようにしようという形」
「供託金制度がないような国であったり、供託金のお金が、数万円であったり数千円の国もあって、1回の選挙で本当に何十人であったり、ひどいときには100人ほど100人以上も候補者が出てしまうということが起きている」
この供託金、実は一定の票を獲得できなかった候補者は、没収されるという仕組みになっています。こうすることで澁谷先生もおっしゃっていたように候補者の乱立であったり選挙運動を利用した売名行為を未然に防ぐことに繋がると言われているんです。
最後に、これから投票に行く方に向けて、投票する際の注意点もお伝えします。
小選挙区であれば、候補者の名前を投票用紙に記入しますが、せっかく投票しても思いがけないミスで無効票となってしまうことがあるんです。
実は、前回の衆院選の際、大分1区で無効票となってしまった票の数は、5787票です。
大分市選挙管理委員会によりますと、よくありがちな記入ミスとして、「〇〇さんがんばれ」であったり、「必勝〇〇さん」といった記入をしてしまう人がいるということです。
では、候補者の名前が全てひらがなであったり、苗字か名前どちらかがひらがなのものは、有効票、無効票どちらだと思いますか?
実はこれは、有効票です。基本的には、候補者の名前を特定できれば、有効票となります。
次に記入した候補者の名前に丸を付けているものや名前以外の記号を記入しているもの、こちらはどうでしょうか。
こうしたものも無効票となるので、候補者の名前だけ書くことを心がけてください。
いよいよ日曜日に迫った衆院選ですが、前日の26日までは、県内77か所で期日前投票もできますので、最寄りの投票所を確認して皆さんの貴重な1票を是非投票しましょう。