【特集】廃校となる江刺家小学校 最後のコメ作り学習③稲刈りと郷土芸能伝承 岩手・九戸村
ことしで最後となる九戸村の江刺家小学校のコメ作り学習のシリーズです。最終回は稲刈りと、地域の郷土芸能を伝えて行こうという取り組みを紹介します。
九戸村の江刺家小学校の子どもたちが5月に植えたもち米が、たわわに実りました。28年間も続いてきた米作りの学習。来年3月いっぱいで九戸村内の5つの小学校が統合されるため、この貴重な体験も今年が最後です。
子どもたちをずっと指導してきたのは、地元に住む小井田重雄さんです。
小井田さん「手をこういうふうに持ってやれば切る可能性がある。必ず稲を上でつかんで下をこういうふうに切ってください。大体一束にするにはこれくらいの大きさになるように軽く締めます 。ひねる 2回目 ひねったら こっちの下の方からこの間から挟む」
さあ いよいよ本番です。
九戸村立江刺家小学校 髙橋雄賢校長「わらを使わないと」
稲を刈る子ども「意外といけるぞ、めっちゃ気持ちいい」
髙橋校長「いいねえ はい そろえましょう」
子ども「こうやって2回クルクルするんだっけ」
髙橋校長「次の刈りに行っていいねえ」
この日は好天にも恵まれ作業は順調に進みました。
稲刈りの10日前。江刺家小学校に地元のお年寄りが集まりました。九戸村の敬老会です。稲作の指導をしている小井田重雄さんは地元の神楽の伝承にも力を入れていて、30年前から江刺家小学校で指導をしています。
記者「続けてこられていかがですか」
小井田さん「私たちが受け継いだ時に一旦消滅していた神楽をこういう形で子どもたちにつなげられるということは、とてもうれしいことですし、次の世代にもつないでいってほしいなと思います」
江刺家小学校の体育館ではお年寄りたちが子どもたちの神楽を楽しみにしています。
9月24日。江刺家小学校の稲刈りは、5,6年生が中心でした。
4年生以下はというと。栗拾いに夢中でした。
子ども「クリだらけです」
記者「一人で採ったの?これ クリムシか?」
子ども「クリムシ」
記者「何で知っているの?」
子ども「かわいい」
はさがけ。地元ではせがけといわれる方法で稲を乾かします。古き良き伝統を伝えたいという小井田さんたちの思いです。
子ども「4個 4個持っている 4個」
小井田さん「こっち側の方に引っかけるようにするためにはこうすればいい」
稲刈りの大事な締めくくり。はさがけは、1年生から6年生まで皆で一生懸命やりました。
小井田さん「今年はとてもきれいにはせがけができました。すばらしかったです、5,6年生よくしっかりかけてくれました。ありがとうございます。1,2年生3,4年生はしっかり運んでくれてありがとうございます」
子どもたち「ありがとうございました」
先生「お手伝いして下さった方々にあいさつをします」
子ども「ありがとうございました」
小井田さん
「一生懸命頑張っている子どもたち(見るのは)幸せだよね」
髙橋雄賢校長「だれもいやいや来ていません。田んぼだと言えば来ますから」
小井田さん「ありがたいです」
髙橋校長「種植えの段階から収穫までやり、収穫祭でみんなでお餅にして食べるという一連の流れで子どもたちが農作業に関わる。私たちが毎日口にしている食べ物のありがたさを子どもたちに感じてほしいなと思っているので、なかなかこういう学校はないと考えていて、とても大切な学習の一つだと思っています」
収穫したもち米は、天日で干して11月9日の江刺家小学校の収穫祭でお餅にして、みんなで食べることにしています。