×

【特集】シリーズ防災①災害時の生活用水の課題

2024年9月10日 18:58
【特集】シリーズ防災①災害時の生活用水の課題

 9月は防災月間です。101年前の9月1日に10万人以上の死者・行方不明者をだした関東大震災の被害を教訓に定められました。プラス1では毎週火曜日に3回のシリーズで防災に関わる課題をお伝えします。一回目は水の問題です。

 今年1月1日に発生した能登半島地震。今年7月30日現在の消防庁のまとめでは死者行方不明者は石川県に集中していて302人。家屋の被害は石川県や富山県など6県で12万3099戸に及びました。

 北上市の北良は、能登半島地震が発生した2日後には被災地に向かって支援を始めました。

笠井健社長
「これは結構深刻な状況だなと。しかも金沢から能登の状態も行ってみなければわからない誰も現地のことがなかなかわからないという話がかなり早い段階で入っていたので、これは今までの災害の経験上早い段階で現地入りをしてどういう支援が必要かをできるだけ早く把握する必要があるということで、かなり早い段階で能登入りをしたということになります」

 8月4日、矢巾町では災害から身を守るための備えなどについて学ぶ、町民向けの講演会が開かれました。ここで笠井社長は1月から2月までほぼ2か月間にわたる被災地支援について語りました。

笠井社長
「北良が行った能登半島地震の支援区域能登半島を三つに分けて、私たちは真ん中の穴水町(あなみずまち)と輪島市という所を主に担当しまして、役場との調整ですとか現地に行って 避難所に行って現地住民のリーダーと調整をしながら進めていった。雪が降ると地割れというか裂け目が見えなくなるこれが非常に怖くて雪道に慣れている岩手なのでまだよかった。特に水の課題がですね、水というのは重い10リットルで10キロ100リットルで100キロあります。持ち運びができないし給水車をたくさん呼べばいいじゃないかといっても同じ量の排水が出るんですよね」

 食料や飲み水については行政などが支援しますが、手洗いや風呂などの生活用水はどうしても後回しにされがちです。

避難所で生活の家族
「避難所内でコロナ患者が出てきた時は手が汚いまま生活することがすごく不安でしたね」
避難所で生活中の中学生男子
「災害が起きてからの数週間、頭がかゆいし脂で気持ち悪くて、雪とか雨をストーブで温めて水を作り髪を洗って生活していました」

 そこで北良は自社で販売している循環型の手洗いの器械WOSHを200台、また移動式のシャワーWOTA BOXを100台持ちこんで被災地の人に利用してもらいました。これには全国の自治体や日本財団などの協力がありました。

 石川県輪島市の大屋小学校の避難所でリーダーをしていた澤田英樹さんに生活用水の不足についてお話を伺いました。

澤田英樹さん森山正幸さん
(森山さん)寒い時期でしたから冬の寒い時期1月だったんで手を洗わない人もいたと思うんです(澤田さん)トイレが外にあって手を洗うところを大きなポリタンクの水から出るようにして外に手洗いを置いていたんですけど、中々寒いので手洗いをしない時もあって給水するなくなる給水するなくなる(給水車が)来れない時もあるそことの 水の点では争いでした給水してくれとか皆さんには我慢してくださいとか

笠井社長
「お風呂に入れてあげられないという問題に直面します。災害時だから我慢しろということにはならない。人間ってただ衛生だけじゃなくて精神面ですごく大きな役割をするのがシャワー入浴をすること、入浴できる環境を作った途端に被災者の方の表情ががらっと変わる白黒テレビがカラーテレビになったくらいに雰囲気が変わってきます。避難所の中にシャンプーの匂いが最初にした時の被災者の方々の期待というのが違うんです」

 元々ガスの供給、販売を行ってきた北良ですが、2011年3月の東日本大震災で病気などのため酸素ボンベや人工呼吸器を必要とする人の支援を行ったことからその後の災害でも被災地に足を運んできました。

砂沢春香さん
「月経中の女性の方がお風呂に入れないだけで気持ち的に落ちちゃう、清潔感がないというところの大きさだと思うので、我々が設置したシャワーでリフレッシュしてもらえたならうれしい気持ちだなと感じております」

藤原愛衣さん
「被災地でたくさんシャワーブースが展開されていたんですけど、男性が中心で運営しているシャワーブースは入りづらいといった被災地の方の声がありました。シャワーブースの運営をする際には男性、女性、多様な支援者が必要だと思いました」

笠井社長
「災害が起きる前にその地域ごとにどうやってトイレの問題とかシャワーの問題とか手洗いの問題飲み水もそうなんですけれど、地域ごとに自分たちである程度自立できるそういった準備をいかに進めていくかということが一番大きな課題かと思っていました」

 8月、岩手県を直撃した台風5号。最近は地震や津波のほか台風の被害も増えていて災害への備えは重要性を増しています。北良の活動は、衣食住と言った目に見える形の支援だけでなく、生活用水と言った普段あって当たり前の、しかし災害になると見過ごされがちなことの配慮の大切さを浮き彫りにしています。