【いわてことし2024①「気象と災害」】2024年は猛暑や大雨など気象と災害に関する印象が強く残った1年に 岩手県
シリーズで岩手の2024年の様々な出来事をテーマごとに振り返ります。1回目は「気象・災害」です。ことしは猛暑や大雨など気象と災害に関する印象が強く残った一年でした。
2024年は元日から大災害に見舞われました。最大震度7の揺れを観測した能登半島地震。岩手からも人や物資など様々な支援の手が差し伸べられました。
ことしの冬は異例の暖かさでした。「本州一寒い」といわれる盛岡市薮川。「氷上ワカサギ釣り」で知られる岩洞湖は氷がなかなか張らず、過去2番目に遅い解禁に…。その後、2月中に早々と終了し、解禁日数21日間は過去最短でした。
2月には初夏を思わせる陽気で、半袖で遊ぶ子どもやアイスを食べる子どもの姿も…。19日、宮古市で最高気温20.3℃を観測しました。しかし、その後は一転して…。
佐藤淳也記者リポ
「朝7時半すぎです車が雪で埋まり出すことが出来ません」
雪かきをする女性
「(Q.これから仕事?)仕事です。まさかこんなに降るとは思わなかった…」
沿岸北部を中心に記録的な大雪が降りました。宮古では72時間に積もった雪が76センチと観測史上最多に…。
季節は春へ。
大船渡市 渕上清市長
「本日、大船渡市の桜の標本木6輪が開花しましたので、桜の開花を宣言します」
暖冬の影響もあり、大船渡では平年より5日早く桜が開花。春が駆け足で過ぎ去っていきました。
ことしは夏の暑さも異例でした。6月の盛岡は真夏日の数が「9日」になり、過去最多記録を更新。6月としては、過去100年で一番暑くなりました。
9月になっても、釜石の36.4℃を最高に山田で35.5℃など猛暑日に…。11日には、釜石、山田、宮古、奥中山で9月の観測史上最高の気温を記録しました。
「すごく蒸し暑くて家では勉強できないので涼しいところで勉強しにきました」
「もう日差しが暑いです。溶けちゃいます。もういやですね。飽きましたね」
そして、ことしの夏は自然の猛威を改めて実感させられました。
原周太記者 @大船渡市
「台風5号が上陸した大船渡市です。雨、風ともに強く立っているのがやっとの状況です」
8月12日、大船渡市に上陸した「台風5号」。岩手に上陸したのは、2016年の「台風10号」以来、観測史上2度目で、宮古市と岩泉町はのちに「局地激甚災害」に指定されました。
佐藤淳也記者
「台風の影響で土砂が崩れ作業小屋を押しつぶしています」
三浦裕紀記者
「岩泉町の志田地区です。この場所、川の水が道路に溢れ通ることができなくなっています」
8年前の「台風10号」でも大きな被害を受けた龍泉洞は通路が冠水したため、お盆の行楽シーズンを前に一時、閉鎖に…。
久慈市下戸鎖で平年の8月1か月分の降水量の2.6倍にあたる481.5ミリの雨がわずか2日で降るなど各地に大きな爪あとを残した「台風5号」。
久慈市の滝ダムが「緊急放流」を行い、下流の一部地域に県内で初めて災害の危険度が最も高い「緊急安全確保」が一時、発令されました。
しかし、大雨はこれだけにとどまりませんでした。およそ2週間後には遠野市の西部付近で1時間におよそ100ミリの猛烈な雨が観測され、「記録的短時間大雨情報」が発表されました。
その2日後には…。
夕方の帰宅時間、盛岡市の中心部は大雨に見舞われて至るところで冠水に…。盛岡の1時間雨量は68ミリと観測史上最大を更新し、「線状降水帯」が発生しました。
盛岡の山あいを流れる米内川も…。
山口知己記者
「盛岡市上米内です。あちらが米内川で、茶色い濁流が家のすぐ前まで押し寄せていて、米内川が氾濫した影響でこちらの道路に水があふれています」
そして…。
米内川の下流にあたり、普段、清流として知られる中津川が「氾濫危険水位」を超え、流域の一部地区に一時、「避難指示」が出されました。一夜が明けると…。
成田記者
「盛岡市上米内の現場です。大雨から一夜明けた今も橋の下には大量の流木が確認できます」
その夜、今度は北上市で1時間におよそ110ミリの猛烈な雨が降ったとみられ、「記録的短時間大雨情報」が発表されました。
一連の大雨は秋雨前線と「台風10号」の北上に伴い、暖かく湿った空気が岩手付近に流れ込んだことによるもの。盛岡市では避難所の開設が遅れるなど課題が浮き彫りになりました。
盛岡市 内舘茂市長
「盛岡市民のみなさまの安全安心、命を守っていくうえで重要な情報が伝わらないということは大変遺憾であり、 心からお詫び申し上げます」
「台風5号」の影響で線路の路肩が25メートルにわたって崩落し、一部区間で運休が続いていた三陸鉄道が11月、およそ3か月ぶりに全線で運転再開しました。
このほか、秋には…。
山口知己記者
「ここからは雲に覆われて山頂の様子が確認できませんが、岩手山の噴火警戒レベルが初めて2に引き上げられました。警戒レベル引き上げを受けてこちら雫石町の登山口では、入山を規制する看板が設置されています」
2月から地殻変動が観測されていた岩手山。10月2日、仙台管区気象台は、岩手山で火山活動が高まり、今後、噴火が発生するおそれがあるとして、噴火警戒レベルを5段階のうち一番低い「1」から火口周辺を規制する「2」に引き上げました。
居住地域では生活に問題ない一方、想定される火口からおおむね2キロの範囲では警戒が必要だとしていて、すべての登山ルートが立ち入り禁止となりました。
元日から自然の猛威をまざまざと実感させられたことし2024年。命を守るため、より一層、気象や災害に関する情報に注意して日頃から備える必要があります。