【酪農大家族30年⑤】 映画「山懐に抱かれて」が伝えたこと
続いて、今週シリーズでお伝えしてきた酪農大家族30年の歩みは、31日が最終回です。テレビ岩手が5年前、開局50周年事業として製作した映画「山懐に抱かれて」が、全国の人に伝えたことや、関わった人の思いをお伝えします。遠藤記者のリポートです。
映画のシーン
「山で夜を明かした牛たちが集まってきました。東北の太平洋に迫って連なる北上山系岩手県田野畑村はその山懐に抱かれています。人も牛もともに生きています」
山懐に抱かれては年号が平成から令和に代わる直前2019年の4月末東京で上映が始まりました。地方のドキュメンタリー映画を見てくれる人がいるのか不安でしたが、東京の映画館は朝から大変な混雑となりました。
映画館の係員
「70番までのお客さんご入場ください。ご入場の方に牛乳をお配りしておりますので」
映画のシーン
「お父さんは東京農業大学を卒業すると生まれ育った千葉県を離れて岩手県田野畑村に移り住みました。広い土地で牧場を拓くためです」
場内アナウンス
「ゲストをお呼びします。遠藤監督と吉塚さん夫妻です。宜しくお願いします」
遠藤隆監督
「いま初めてごらんになりました。まずそのご感想から」
吉塚公雄さん
「岩手県で一番の日本で一番の貧乏百姓がこんな映画になるなんて信じられない気持ちでいっぱいですけど、あの場面もこの場面も子どもとの思い出とか胸がいっぱいになります」
観客
「ぼくも酪農に興味があるのでこの映画を見たいなと思ってきたんですけど、やる気が一番大事なんだなとということ、始めるのはやる気なんだなと、ぼくもちょっと見習ってそういう方向に進みたいと思いました」
観客
「私も酪農をやっていたのでとてもすごい共感できたのと、こういう酪農家さんが増えるといいなと思いました」
観客
「酪農家とつながるような消費者側の理解も大事だなと思いましたこれからこういう生産者の方を応援していきたい」
地元田野畑では令和に入ってすぐの5月上映会が開かれました。
映画のシーン
「結婚して11月に結婚して一番初めに乳代農協から来るんですよね。明細書手取りいくらっておいこれ明細だぞってくれたんですよ。お金じゃなくて紙を見たんですね。そしたら手取り7円って書いてある。これ手取り7円ゼロがたりないんじゃないのってお父さんに聞いた」
舞台挨拶する妻・登志子さん
「今だから言うんだけど、7円って言うところああるよね。あの振込をしていたのは私なんだって。その人が言ったのはあんな少ない金額の乳代から手数料を引くのはすごく心苦しかった。毎月毎月どうやって生活しているのかなっていつも心配していたって。でもよかったねここまで来れてって言ってくださったんですね。その言葉を聞いてありがたいなって。皆さんそうやって私たちのことを知らないところで見守っていてくれたんだなって本当に感謝しかありません」
釜石の会場で行列をさばいているのは、映画の宣伝を担当してくれた東京のプロダクションの人です。
ウッキープロダクション代表 猿田ゆうさん
「まず自分が感動したもの、これもそうですけど、私が一人世の中で感動したんだから何人か絶対感動する人がいて必要とする人がいるって言う思いにさせてくれるって言うのを扱うようにしていて、それを届けていく」
構成と編集は、日本テレビのドキュメンタリー番組を数百本編集してきた佐藤幸一さんです。
構成・編集 佐藤幸一さん
「北上山系というものすごくすばらしい今までドキュメンタリーを何本も編集してきましたけどああいう風景と言いますのはなかなか日本では撮影されていないんですね。それが印象にあってこういう山懐映画のタイトルにもなっていますが、そういう風景のすばらしさ、人間が生きていくうえで大切なもの、風景と季節と共にとても印象に残りまして、それがこの映画を完成させたいなという一番の動機でした」
映画は全国で上映されました。
観客
「きょうの映画を見させてもらって、家族というもの大切さを深く感じさせてもらってありがとうございました」
山懐に抱かれての上映は今も続いています。
映画のシーン
「なんでこれ出てきちゃったんだ産んじゃったんだよ子宮まで力み過ぎて」
吉塚家 食事前のあいさつ
「おじいちゃんおばあちゃんありがとう。お父さんお母さんありがとう。公太郎くん 雄志くん希望ちゃん 牛さん ありがとういただきます。 どうぞ召し上がれ」
そして吉塚さん一家の取材はまだ続いています。
四男・雄志さんの妻 希望さん
「実は今妊娠中ですもう少しで安定期に今3か月くらい?4か月 もうちょっとで5か月」
吉塚さん夫妻にとっては15人目の孫がこの秋にも生まれそうです。