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山形の一年振り返る 記録的大雨で甚大な被害が出た庄内地方 年末迎え4ヶ月ぶりに住民再会も

2024年12月11日 18:34
山形の一年振り返る 記録的大雨で甚大な被害が出た庄内地方 年末迎え4ヶ月ぶりに住民再会も

ことしも残りあと20日です。番組ではYBCのカメラがみつめた山形県内のことし1年のさまざまな出来事をシリーズで振り返ります。1回目はことし7月に県内を襲った記録的大雨による庄内地方の甚大な被害といまの姿を伝えます。

7月25日。酒田市内は朝からの大雨で各地で道路が冠水。鶴岡市や三川町などでも水に浸かって故障した車が立往生する被害が相次ぎます。
酒田市の八幡地域を流れる荒瀬川や日向川は濁流へと変わりました。

防災ラジオの音声「避難所への避難が困難な場合は自宅の2階など安全な場所への避難をしてください」

酒田市は午前11時過ぎ避難指示を市内全域に拡大。

山形地方気象台会見「酒田市と遊佐町に大雨特別警報を発表しました」

災害級の強い雨を降らせる雨雲が同じ地域にかかり続ける線状降水帯も発生。降り始めからの雨量は酒田市東部の坂本雨量観測所で394ミリと観測史上最大に。
各地で軒並み300ミリを超え、例年7月の1か月分を大幅に超える雨量となりました。

避難した人は「すごかった時間ごとに水位が上がってこれは危ないと感じて避難した」

酒田市は最大で63か所に避難所を開設。一時、1700人以上の市民が身を寄せました。大雨特別警報は一旦、大雨警報に切り替わります。
しかし、その後、まさかの事態に。再び雨が強まり、午後11時40分、1日で2回目となる大雨特別警報が発表されたのです。
一夜明け、甚大な被害が・・・。

自衛隊救出活動「自分たちの今日の任務は460世帯の人たちを別の地区の小学校に移動させる」

酒田市では荒瀬川の氾濫で国道344号が寸断。大沢地区が孤立状態となり自衛隊が出動しました。
一方、鶴岡市でも。

記者リポート「京田川が氾濫し住宅地に川の水が押し寄せた鶴岡市三和です。いま取り残された住民を乗せたゴムボートが戻ってきました。」

そして遊佐町もー

中川悠アナリポート「こちらは日本海東北道の遊佐菅里インターから遊佐鳥海インターの間の区間です。道路が大きく陥没している状況です」

各地で相次いだ冠水被害。酒田市竹田地区では、集落内の雨水を排水しきれずいわゆる「内水氾濫」が発生。排水施設が水没しました。

記者リポート「上流から押し寄せた大量の土砂が厚く積もりカーブミラーは私の背丈ほどしかありません。あちらの民家は1階の半分ほどの高さまで土砂で埋まっています」

酒田市北青沢地区の小屋渕集落一帯は、上流から押し寄せた大量の土砂と流木に飲み込まれました。この家の男性はー。

青沢自治会 相蘇隆治副会長(当時)「25日は垂直避難、2階で避難しました。26日のあさ6時ごろかな自衛隊の人から「誰かいますか!」と。冷蔵庫とかタンスとかを足場にして玄関の方へやっと出ました」

小屋渕集落では7月25日、86歳の女性が家族と避難中に荒瀬川に流され行方不明に。

地区の人は「奥様は腰が曲がっていたすごく時間が短く水位が上がってきたちょうどそのころ出てきたから後はそのまま・・・。夕方まで探していた膝上までみな泥被って」

懸命の捜索が行われましたが…。6日後、女性は流された場所から2キロほど下流で大量の流木の中から遺体で見つかりました。

酒田市下青沢地区農業・相蘇弥さん「あそこは高い所だったのである程度は大丈夫かなと。ちょっと危なかったですけどね。道路にまで水が来ていたので最後は」

相蘇弥さん(53)は消防団として出動中、荒瀬川の濁流に道を阻まれ動けなくなりました。濁流は自宅の敷地を大きくえぐり取り、家の1階には大量の土砂や太い丸太が流れ込みました。川沿いの田んぼ5ヘクタールも全滅しました。

「この辺は棚が壊れて根こそぎ持っていかれた。ここら辺にも木があって実になっていた」

荒瀬川の下流に位置する酒田市の刈屋地区では特産の刈屋梨の畑が濁流に沈みました。
地区の畑30ヘクタールのうち、半数以上に浸水などの被害が出ました。

刈屋梨出荷組合副組合長 佐藤広喜さん「どうしたらいいんだろうこれ」

農作物の被害面積は酒田市だけで5300ヘクタールを超える過去最悪の規模となりました。
そうした中、被災地域には県内外からボランティアが。被災者を勇気づけました。
被災から3週間が経った酒田市の小屋渕集落。ようやく、重機を使った大量の土砂や流木の撤去作業が始まりました。
大雨の当時、遠田憲子さん(42)の家も敷地が土砂で埋まり、室内は床上まで泥水に浸かりました

遠田憲子さん「いつまでもくよくよしていられないので。新たな気持ちで再スタートしたいなと思っています。でも本当、職場の方とかも理解してくださって色んな人から助けてもらって何とか前を向けそうなので」

12月8日。大沢地区で交流会が開かれ住民たちが一堂に会しました。大雨以来、およそ4か月半ぶりの再会となった人も。

遠田恵美子さん「こういう機会でないとちょっと会えないので本当につながりって大事だと思います」

県内の被害額は11月20日現在、1078億円と過去最大規模の災害被害となった7月の記録的大雨。被災したまま手つかずの場所も多く残る中、雪の季節が訪れました。

最終更新日:2024年12月11日 20:07