庄内沖のハタハタ不漁 過去5年間平均の0.4%の漁獲量 温暖化の影響も一因
近年、ハタハタの不漁が続く中、ことしの庄内沖での漁獲量は過去5年間の平均のわずか0.4%と激減していることがわかりました。ハタハタ自体の数が減っていることや温暖化の影響も要因とみられています。
12月9日は七福神の一人、大黒様が妻を迎える夜とされる「大黒様のお歳夜」でした。庄内地方では毎年その日に子孫繁栄や豊作を願い、子持ちのハタハタを大黒様に供えて食べる風習が根付いています。この日、鶴岡市内の鮮魚店では早朝からハタハタを焼き始め、店内は香ばしい香りに包まれます。焼いた身に手作りのみそだれを塗ったハタハタ田楽が親しまれています。
お客さん「やっぱりハタハタはおいしいから」
庄内地方では古くから続く師走の風物詩ですが、鮮魚店ではことしは仕入れに苦労しているといいます。
梅津鮮魚店梅津亮一さん「焼くのは600から700位例年と比べると?半分。庄内浜はほぼ全滅ですね」
県によりますと、ことし9月から11月までに庄内浜で水揚げされたハタハタは1.4トン。これは去年の同じ時期の10分の1の量です。さらに、過去5年の同じ時期の平均と比べるとわずか0.4%で、激減しています。不漁はここ3年続いていて、原因はハタハタ自体が減っていることや温暖化の影響でエサの生息範囲が変化し、エサが少なくなっていることなどが考えられるということです。地物の確保が難しい中、こちらの鮮魚店では「大黒様のお歳夜」に合わせ秋田産のハタハタを仕入れました。
しかし、ハタハタは全国的に不漁の状況で、仕入れ値は例年の5割近く高騰しているということです。
梅津鮮魚店梅津亮一さん「お歳夜は田楽ひとり2匹ですね、それが高いので1匹で我慢しましょうと。5人家族だったら10匹買っていたのを5匹でそれほど高いんですよ。ハタハタが」
ハタハタだけでなく物価高の影響で味噌や砂糖も高騰しているため、こちらでは田楽の値段を例年の2倍に上げざるを得ませんでした。
例年、「大黒様のお歳夜」の日には高齢者施設や幼稚園からも注文が数件入りますが、ことしは、価格が上がった影響からか1施設からの予約にとどまったといいます。また、ハタハタの代わりとして価格がハタハタより安いギンダラを注文する人も増えたということです。
梅津鮮魚店女将梅津樹さん「とても楽しい気持ちで食べてもらうハタハタの田楽がもうやめようかと消え去ってしまうことが切ない、消えさせてはいけないことなんじゃないかと思いながら真心こめて田楽味噌漬けてずっと一人でも要望する人がいれば納めたいなという気持ちでいる」
こちらの鮮魚店では厳しい状況に頭を抱えながらも、「庄内伝統の味を守っていきたい」と話していました。