山形県内1日2度の大雨特別警報 梅雨前線や庄内沖の海面温度上昇に台風など複合要因か
山形県内の大雨特別警報は大雨警報に切り替わった後も天候の悪化が続き3時間後に再び特別警報が出されました。観測史上初めて1日に2度の大雨特別警報をもたらした理由を、気象予報士は温暖化による海面温度の上昇にあると指摘します。
記録的な大雨が降った、7月25日朝からの県内の降水量の推移です。この日の午後1時5分に県内に1度目の大雨特別警報が出されました。
山形地方気象台・有賀孝幸台長「山形県の酒田市と遊佐町に大雨特別警報を発表しました。これまでに経験したことのないような大雨になっています」
大雨特別警報は午後8時10分に大雨警報に切り替わります。しかし。午後11時40分に再び大雨特別警報が。気象台はその理由をこう説明しました。
山形地方気象台・有賀孝幸台長「特別警報を再び発表することになった。低気圧の通過で天候が悪くなる予想はしていた。場所によって非常に多く雨が降ってしまっいる」
民間の気象会社ウェザーニューズの気象予報士・上島光雄さんにとっても今回の大雨は予想を超えるものだったといいます。
気象予報士・上島光雄さん「24時間の最大雨量が新庄市で389ミリ、酒田市で289ミリなど、これまでの観測史上1位の記録を100ミリ以上上回る記録的な豪雨となった」
なぜ、大雨特別警報が警報に切り替わった後も雨の勢いは衰えなかったのでしょうか?
上島さんは梅雨前線に向かって暖かく湿った空気が絶え間なく流れ込んだことに加え、地球温暖化で庄内沖の海面温度が上昇し、大気中の水蒸気の量が増えたことを挙げます。
上島光雄さん「さらに今回は太平洋高気圧の『フチ』をまわる暖かく湿った空気が台湾海峡付近にあった台風3号によって強められ海面水温の高い地域で水蒸気がさらに補給されたのではないか」
高い海面温度と台風。この2つが相まって2度も特別警報を出すほどの大雨をもたらしたといいます。
一方、これは1日正午現在の土の中の水分量を示したものです。大雨に見舞われた庄内・最上地域を中心に現在も土が水分を多く含んでいて、土砂災害のリスクが高い状態が続いていることが分かります。
過去に県内で発生した大雨の傾向から大雨から1週間が経過した今も、引き続き土砂崩れに警戒する必要があると上島さんは話します。
上島光雄さん「山形県は雨のピークに一歩遅れる形で川の水位が上昇する傾向が顕著。土砂災害についても同じことが言える。今回のような雨量だと半月くらい土砂に水が残って地盤がゆるんでいる状況が続いていると思う。まだしばらく警戒してほしい」
近年、県内でも頻発している大雨による河川の氾濫。上島さんは気象変動の影響で今後も同様の災害が頻繁に起きる可能性があるといいます。
もし今後、河川が増水し、周囲がすでに浸水し、夜間で外が暗いなど避難が難しい場合は、建物の中の崖から離れた部屋に移るなどできる限りの安全確保に努めてほしいとしています。