75歳の女性が営む菓子店継いでくれる人は… 山形県内企業と「事業承継」に興味がある人をマッチング
企業の後継者不足が全国的な課題となる中、事業を引き継ぐ「事業承継」に興味がある人と後継者を求める山形県内企業をマッチングさせるイベントがこのほど開かれました。人口減少などに伴い難しさが増している「事業承継」の現場を取材しました。
南陽市宮内で団子や大福などを販売している「おかちゃのもぢや」です。商品は店主の満岡元子さん(75)が1人で手作りしています。
満岡元子さん「これからお餅の注文とか入ると夜中12時ごろから作業する」
店はカラオケボックスも併設しています。満岡さん手製の大福が付くサービスが人気で、地域住民の憩いの場となっています。
満岡元子さん「実家の家族が誰もいなくなったので東京から戻ってきて地元を守るというかお墓を守るという気持ちで帰ってきて何もしないでいるよりは体を動かした方がいいなと思ってこのお店をオープンした」
50年以上東京に住み菓子店などで働いていた満岡さん。家庭の事情で出身地の南陽市に戻り2019年に店をオープンさせました。5年にわたって営業を続けていますが、自身の年齢や体調を考慮し、後継者を探すことにしました。これまで、客に事業の引き継ぎについて声がけしたり、事業に関心を持つ人から相談があったりしましたが、引き継ぎ時期などの問題でうまく話がまとまらなかったということです。
「本日は参加いただきありがとうございます」
11月26日、山形市でオンライン形式で開かれたイベント。事業を引き継ぐ「事業承継」に興味がある人と後継者を求める県内企業をマッチングさせようと日本政策金融公庫が主催しました。
東京商工リサーチによりますと、全国の「後継者不在率」は62.15%で去年の61.09%から1ポイントほど上昇しました。県内でも経営者の高齢化などによって、企業の後継者不足が大きな課題となっています。後継者不足による企業の倒産や突発的な廃業は取引先など多くの関係者にとっても債務不履行などのリスクにつながる問題です。
イベントには県内から満岡さんをはじめ小売業や宿泊業など4社が参加しました。
満岡さん「自分1人で後継者を探すのは大変なことだったと思うので手助けしてもらって良かったと思う」
地元の商工会から紹介を受け参加した満岡さん。動画などを使って後継者を望む思いや事業の内容を紹介しました。
満岡さん(動画より)「健康のことが一番だったけど子どもたちが東京に3人いて1人もこっちには戻ってくる気配がなくて誰かやってくれる人がいたら譲ってもいいかなと思うようになった」
参加者からは「未経験でもできるか」、「材料の仕入れ先は教えてもらえるか」といった質問が寄せられていました。
イベントの後も満岡さんの店に興味を持って事業に関して問い合わせをしてきた人がいたということです。
日本政策金融公庫・山形支店 林 弘二さん「自分の子どもには継がせるつもりはないとか自身で辞める人が非常に多い。街ににぎわいがどんどんなくなってしまう。街ににぎわいがなくなれば人口減少にも歯止めがかからなくなるので第三者または創業したいという人とつなげて街のにぎわいを引き続き残していきたい」
県内でも多くの企業や事業者が直面している後継者不足。意欲のある第三者などを後継者として結び付けようという取り組みが始まっています。