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【独自解説】ジャニーズ会見“NGリスト”作成の裏側 コンビニで印刷、LINEで共有…「会見で使われている以上、事務所に管理責任がある」専門家が検証

2023年10月12日 15:10
【独自解説】ジャニーズ会見“NGリスト”作成の裏側 コンビニで印刷、LINEで共有…「会見で使われている以上、事務所に管理責任がある」専門家が検証
ジャニーズ事務所「NGリスト」作成問題 調査報告を公表

 10月10日、ジャニーズ事務所は、会見での「NGリスト」が作成されていた問題について調査報告を公表し「顔写真入りのリストは、コンサルティング会社の担当者が会見当日の朝に独断で作成し、現場で共有されたものだった」などと発表しました。この発表を企業のリスク管理に詳しい桜美林大学の西山守准教授が検証します。

 ジャニーズ事務所の発表によると、9月7日の1回目の記者会見後、「特定の記者がマイクを長く握って説明や意見表明に時間を割いてしまい、したい質問ができなかった」「質疑応答の仕切りが悪い」「不規則発言が多い」など複数の報道機関から意見が出たことが、NGリスト作成の背景にあるといいます。ジャニーズ事務所は、「再発防止等についての説明時間を十分に確保したい」、FTI関係者は「ジャニーズ事務所の意向を踏まえ、報道機関からの意見も勘案し質疑応答の進行をより整然と秩序立てて進める必要がある」としています。

 会見2日前の9月30日、ジャニーズ事務所の会見に向けた想定問答等の検討会が行われ、そこでの段取り説明に対して複数の参加者から「不規則発言を繰り返す記者や、司会者の指示に従わない記者についてはどのように対応するのか?」と質問があり、FTIは急きょ追加資料として一部参加者に「記者リスト」を配布したといいます。そこに「指名候補記者」や「指名NG記者」といった文字があり、それを見た井ノ原副社長は「NGって何ですか。当てないとだめですよ」と指摘しました。それに対してFTI側は「『NG』というのはあくまで「要注意」で、発言順序を留意する必要があるという意味だ」と説明し、ジャニーズ事務所としては「『指名NGリスト』の記者も指名する」と指示をしたということです。

Q. NGリストはジャニーズ事務所の指示ではなく、FTIが忖度して作ったということでしょか?
(桜美林大学 西山守准教授)
「そう考えることもできます。ただ、忖度して作ったとしても事務所側の合意がなく使うということは、あってはならないことだと思います」

会見直前には「写真あり指名リスト」作成、コンビニで印刷しLINEで共有…

 9月30日の打ち合わせでは、顔写真の入っていないリストが配られたのですが、10月2日の記者会見当日に配られたのが、「顔写真ありの指名NG記者・候補記者のリスト」でした。この日の午前10時40分頃に、FTI担当者が「写真あり指名リスト」をジャニーズ事務所への了承なく独断で作成し、記者会見会場のビルにあるコンビニエンスストアで印刷。印刷したものを司会者に配布し、残りはFTI担当者が保管したということです。そしてプロジェクトのLINEグループや、業務委託していたイベント運営会社の受付等担当者合計17名参加のLINEグループで共有したということです。ジャニーズ事務所は「顔写真ありリスト」の存在を知らなかったということです。

Q.コンサル会社が独断でリストを作成するものなのでしょうか?
(西山准教授)
「基本は許可を得てしないといけないものです。たとえ独断だとしても、ジャニーズ事務所の会見で使われている以上は、ジャニーズ事務所に管理責任があると言わざるを得ないと思います」

Q.作成の経緯についてはどう思われますか?
(西山准教授)
「あり得ないと思います。印刷は最低部数しか出力してはいけませんし、デジタルデータで共有するべきではないと思います。ただ、逆にこれを公表したということは、ジャニーズ事務所が『FTI社に問題がある』ということを言いたいのかなと思います」

 リスト作成の意図について、FTIの担当者は、「この資料(NG記者リスト)の表記がジャニーズ事務所らからの『指名するように』との指示に反しているという意識がなかった」と話しています。

Q.これはどう読み解いたらいいのでしょうか?
(西山准教授)
「言い訳がしたいということで、指名をする・しないという所を曖昧にぼかしているのだろうなと思います」

ジャニーズ事務所「指名候補、指名NG、いずれも5割指名した」

 ジャニーズ事務所は、実際の会見では「指名候補記者」「指名NG記者」いずれについても 約5割を指名したと発表しています。「指名候補記者」に対しては5問で11分30秒、「指名NG記者」に対しては8問で14分30秒対応したということです。ただし、不規則質問も含んだものとなっています。

 会見が2時間になった理由については、「10月2日は、企業の内定式が多く開催されており、記者会見会場の決定に難航した。リハーサル・後片付け等の時間を踏まえると2時間程度しか確保できなかった」ということです。FTIは「不規則発言等により質疑応答の進行が無用に妨げられることなく、できるだけ多くの記者からの質疑に十分に回答できるようにする必要があった」としています。

Q.透明性を確保しようと多くの情報がジャニーズ事務所から出ていますが、今後、情報の出し方はどうすればいいのでしょうか?
(西山准教授)
「情報は、適切かつ迅速に出していく必要がありますが、今、連続して出ている情報が適切かというと、会見について責められたことの説明になっているので、だんだん論点が本題からずれているようにみえます。しっかり『被害者に対しての補償』と『新会社が芸能事務所としてどう再生していくのか』を発信していかなければなりません。記者会見もそういったことを含めて開かないと、マイナスなことばかりしているとよろしくないと思います」

(「情報ライブミヤネ屋」2023年10月11日放送)