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【独自解説】韓国“ナッツリターン事件”が今、衝撃展開!有罪判決・父の急死・離婚裁判…泥沼の転落人生辿る“ナッツ姫”をよそに、パワハラ被害者がまさかの“大出世”⁉

2024年6月26日 16:00
【独自解説】韓国“ナッツリターン事件”が今、衝撃展開!有罪判決・父の急死・離婚裁判…泥沼の転落人生辿る“ナッツ姫”をよそに、パワハラ被害者がまさかの“大出世”⁉
ナッツリターン事件の主人公、“ナッツ姫”

 2014年、『大韓航空』副社長だった趙顕娥(チョ・ヒョナ)氏(当時40)が起こした前代未聞の事件といえば、“ナッツリターン事件”です。“ナッツ姫”と呼ばれた彼女に待っていた転落人生とは?当時パワハラ被害に遭った人物の、衝撃の“今の職業”とは?龍谷大学・李相哲教授の解説です。

韓国だけでなく日本でも注目された“ナッツリターン事件”を振り返る!実は、全ては“ナッツ姫”の勘違いだった…あの日、機内で一体何が起きていたのか―

 事の発端は、2014年12月。当時、『大韓航空』副社長だったチョ・ヒョナ氏は、米・ニューヨーク発 韓国・仁川空港行きの航空機(ファーストクラス)に搭乗していました。しかし、機体が滑走路へ向け動き始めた直後、サービスのナッツを袋のまま提供した客室乗務員に対し「このサービスの仕方は正しいの?サービスマニュアルを持ってきなさい!」と、ナッツの提供方法が間違っていると激怒。

 さらに、「おい、おまえ、ひざまずいて捜せって言っているんだよ!サービスマニュアルも知らないのに、連れて行かない!飛行機から降りろ!」と、客室乗務員に命令。

 ところが、責任者であるチーフパーサーの一言から、とんでもない事態に発展します。

(当時のチーフパーサー パク・チャンジン氏)
「変更されたウェルカムサービス方法のマニュアルに沿ったものです」

 実はマニュアルは変更されていて、乗務員が行ったサービスは、最新のマニュアル通りだったのです。すると、自らの間違いに気づいたチョ・ヒョナ氏は、怒りの矛先をチーフパーサーのパク・チャンジン氏へ!

(当時の『大韓航空』副社長 チョ・ヒョナ氏)
「あんたが私に最初からきちんと答えられなかったから、あの客室乗務員を叱ってしまったじゃないか!全部あんたのせいだ!おまえが降りろ!」

 チョ・ヒョナ氏は、パク氏の手の甲をファイルで数回叩くなどした上に、飛行機を止めるよう指示。なんと離陸間際だった飛行機を搭乗口へ引き返させ、パク氏だけが降ろされてしまったのです。

「金持ちの横暴ではないか」韓国国民の怒り爆発!全役職を退陣させられた“ナッツ姫”に、チーフパーサーがまさかの“反逆”!“ナッツリターン事件”、衝撃のその後―

 こうしたチョ・ヒョナ氏の“理不尽な行動”が明るみに出ると、「いくら副社長といっても常識外れな行動だと思う」「金持ちの横暴ではないか」と、韓国国民の怒りが爆発。

 『大韓航空』会長だった父・趙亮鎬(チョ・ヤンホ)氏は、「私の教育が間違っていたようです。申し訳ありません」と謝罪し、副社長職や系列会社の取締役など、娘を全ての役職から退陣させると表明しました。

 そして…。

(チョ・ヒョナ氏)
「皆様にご心配をおかけし、心よりお詫び申し上げます」

 韓国屈指の財閥令嬢の立場は一転。カメラの前で謝罪させられる事態に―。チョ・ヒョナ氏は『暴行罪』『強要罪』『業務妨害罪』『航路変更罪』『偽計による公務執行妨害罪』の5つの罪で逮捕・起訴され、拘置所に収監されることとなりました。

 ただ、問題はこれだけではありませんでした。

(降ろされたチーフパーサー・パク氏)
「『暴言を浴びせられた事実はなく、私の意思で飛行機を降りた』とウソの証言をするよう、会社に強要されました」

 飛行機を降ろされたチーフパーサー・パク氏が、『大韓航空』が会社ぐるみで“隠蔽工作”を行っていたと暴露したのです。

 「チーフパーサーが『“暴行”と“ウソの証言の強要”があった』と話していますが?」という記者の問いに対し、チョ・ヒョナ氏は「私は知りません」と暴力や暴言を否定しましたが、2017年まで続いた裁判で『暴行罪』『強要罪』『業務妨害罪』については有罪となり、懲役10か月・執行猶予2年の判決が確定しました。

 パク氏はその後、国際線のチーフパーサーから国内線の一般乗務員に降格させられましたが、2016年に「復帰の過程で人事上の不利益を被った」として民事提訴。2018年、『大韓航空』側に2000万ウォン(約200万円)の支払い命令が下されました。

転んでもただでは起きない“ナッツ姫”、とんとん拍子に復帰…かと思いきや、待ち受けていた転落人生 さらに、チーフパーサー・パク氏がまさかの“大出世”⁉

 チョ・ヒョナ氏の有罪判決が確定した約1か月後の2018年1月、執行猶予中であるにもかかわらず、父のチョ・ヤンホ氏と並んで『平昌(ピョンチャン)冬季五輪』の聖火リレー走者として登場。『大韓航空』関係者が「チョ・ヒョナ元副社長の復帰が差し迫っていることは事実」と話していた通り、同年3月には系列グループホテルの社長に就任しました。

Q.『サムスン電子』でもそうでしたが、副社長などが収監されても戻ってきて普通に仕事をすることは、韓国では問題ないのですか?
(龍谷大学・李相哲教授)
「家族経営ですから、罪を宣告されても、経営に復帰するのは問題ないのでしょう」

 しかし、チョ・ヒョナ氏は同年4月、“チョ一族が海外で購入したブランド品などを『大韓航空』が輸入したように見せかけて、ウソの申告で関税を逃れた”として起訴され、母・李明姫(イ・ミョンヒ)氏と共に有罪判決を受けました。

(李教授)
「この一族は、日常的に大量にやっていたということが明るみに出て、大きな問題となりました」

 また、同年5月には、“『大韓航空』の研修生を装ってフィリピン人を入国させ、不当に雇用した”として起訴され、こちらも母のイ・ミョンヒ氏と共に有罪判決を受けました。

Q.これは、お手伝いさんを雇おうとしたんですか?
(李教授)
「お手伝いさんをそのまま雇えばいいんですけど、『大韓航空』フィリピン支社が研修生として採用して、韓国に連れて来てはチョ一族の家政婦をさせていました」

 そんなチョ・ヒョナ氏に、悲劇が…。2019年4月、父のチョ・ヤンホ氏が、持病の肺疾患が悪化し療養中のアメリカで死去。娘ら家族が、その最期を看取ったということです。実は死去の1か月前に行われた『大韓航空』の株主総会で、チョ・ヤンホ氏は再任に必要な3分の2以上の支持を得られず、会長の座を退いていました。関係者は、「取締役の座を追われたストレスなどで、病状が急激に悪化した」といいます。

Q.会長の座を追われたということは、やはり逆風が吹いたんですね?
(李教授)
「そうですね。韓国は“国民情緒”をとても大切にする国で、会社にも法廷にも影響を与えます。また、これには裏があって、政府が大韓航空の株をかなり持っているんです。政府はこれまで株主権限を誇示しなかったんですが、当時の文在寅(ムン・ジェイン)政権はそこで権限を行使し、チョ・ヤンホ氏はアメリカに行ってしまったんです」

 父の死後、チョ・ヒョナ氏は「会長は最年長である私が適任」だと主張しましたが、母と妹が支持した弟・趙源泰(チョ・ウォンテ)氏が株主総会を経て会長に就任しました。

 そんなチョ・ヒョナ氏ですが、私生活も大変なことになっています。2010年、美容整形外科院長と結婚して双子をもうけましたが、2019年に夫が提訴して離婚訴訟に…。夫は「日常的に暴力を受けた」と主張しましたが、チョ・ヒョナ氏は「夫のアルコール依存症で結婚生活が破綻した」と暴行を否定しました。裁判となり、4年7か月に及ぶ訴訟の末、双子の親権はチョ・ヒョナ氏が持つことになりましたが、財産分与として元夫に13億3000万ウォン(約1億3000万円)を支払ったということです。

 そして2023年、チョ・ヒョナ氏は突如『チョ・スンヨン』に改名しました。

Q.なぜ急に改名を…?
(李教授)
「新しい出発でしょう。みんな忘れてほしい、ということです」

 また、2024年1月には、税金滞納で約6億円のマンションの一室を差し押さえられています。

Q.税金滞納ということは、お金がなくなったということですか?
(李教授)
「『大韓航空』の株を6%以上持っていたはずなんです。だから、現金がなかったのか、税金には固定資産税などがありますけど、それが払えないぐらい困窮しているということが確認できます」

 ここで、驚くべき展開です。飛行機を降ろされたチーフパーサー・パク氏ですが、『大韓航空』を退社し、革新派野党『正義党』から出馬。落選しましたが、その後『共に民主党』の党員になっています。そして、『ナッツ』という名の“パワハラ”で苦しむ人のための相談所を設立しました。

Q.パク氏は政治家になったんですね? 
(李教授)
「韓国では今、『“悪名”であっても、広く知られていたら政治家になれる』というのがあるので、それを利用しています」

Q.今後の展開を見逃せませんね?
(李教授)
「これは本当に韓流ドラマ以上に激しいです」

(「情報ライブ ミヤネ屋」2024年6月19日放送)