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【年金密着】「梅干しばかり食べてる」「お金はないなりに生活できる」地域住民のため立ち上げた『子ども食堂』ほとんどが年金受給者のボランティア 裕福ではない生活の中、見つけた月1回の“居場所”

2025年2月22日 12:00
【年金密着】「梅干しばかり食べてる」「お金はないなりに生活できる」地域住民のため立ち上げた『子ども食堂』ほとんどが年金受給者のボランティア 裕福ではない生活の中、見つけた月1回の“居場所”
『子ども食堂』でボランティア・天野澄子さん(76)

 2025年2月14日は、2か月に一度の年金支給日。今年最初の年金を受け取った受給者の、リアルな生活に密着しました。英会話教室の生徒がレッスン後に急いで向かったのは、月に1度の『子ども食堂』。そこにいたのは、子どもたちにおいしいご飯を作るために集まった、ボランティアの年金受給者たちでした。年金生活は決して裕福ではないという人々が、ボランティアをする深いワケとは―。

■先生も生徒も年金受給者の『英会話教室』 生徒の一人がレッスン後に向かった先は―

 高齢の方が続々と訪れるのは、兵庫・尼崎市にある老人福祉センター『和楽園(わらくえん)』。60代以上の市民が、健康体操・教養学習・サークルなど、自身の趣味に合わせて通っています。

 この日、こちらの部屋で行われていたのは、『英会話教室』です。

(先生)
「I can’t imagine.」
(生徒)
「I can’t imagine.」

 こちらのクラスでは月に2回、Study English!もちろん生徒は全員60歳以上。年金を受給しているのは生徒だけではなく、先生も年金受給者です。

(英会話教室に通う人 68歳)
「人とも会えますし、できないことができるようになったときの喜びみたいな、『こんなのが分かるようになった』というのが、すごく嬉しいです」

 そんな中、約10年間英会話を学んでいるという天野澄子さん(76)が、「英会話教室の後に急いで向かう場所がある」と言うので、一緒に訪問させていただきました。

■地域住民のため合計120食を手作り!子どもから大人まで愛される『子ども食堂』

(天野澄子さん)
「本日のメニューは、鶏の唐揚げ・大根の煮物・ジャガイモの煮ころがし・サツマイモの甘露煮、それとご飯は6升炊きます。よろしくお願いします」

 手際良く準備が進められていますが、一体、何が始まるのでしょうか…?

(天野さん)
「月1の子ども食堂です」

 3年半ほど前、天野さんを筆頭にボランティアで立ち上げた『子ども食堂』。「地元の子どもたちが“遊び感覚”で集まり、地域で見守っていける場所を作りたい」と、月に1度開催。中学生以下の子どもには、無料でご飯を提供しています。

 開店まで、残り15分。店の外には、月に1度の『子ども食堂』を楽しみにしている地元の子どもたちが集まり始める中…。

(子ども食堂・ボランティア)
「唐揚げがないで、唐揚げが」

(天野さん)
「なんで唐揚げがないん?」

(子ども食堂・ボランティア)
「数を数えて、数!」

 このままだと間に合いそうにないので、ディレクターも弁当作りをお手伝い。

(子ども食堂・ボランティア)
「お茶の時間があるんですけど、今日はちょっと厳しいなぁ(笑)」

 余裕があるときは楽しむ“お茶の時間”を我慢し、なんとか弁当90食・店内用30食の合計120食を作り終えました。

 午後4時、ついに『子ども食堂』が開店。

(天野さん)
「はい、お待ちどおさま。順番に入ってよ、順番に(笑)一人ずつ、ゆっくりね」

 店内は見る見るうちに満席となり、店の外まで並んで待つ子どもたちの姿も…。

 さらに、この『子ども食堂』を利用できるのは子どもだけではなく、高校生以上は300円で弁当を購入できます。

Q.皆さんは、年金をもらっていますか?
(弁当を買いに来た人たち)
「そうですよ、年金生活です~」

 取材中でも、インタビューより弁当の中身が気になるようで…。

(弁当を買いに来た人たち)
「これ、ポテトや」
「これが唐揚げやわ」

 『子ども食堂』は、子どもから大人まで愛されています。

■「梅干しばかり食べてる」裕福ではない年金生活…それでも笑顔のボランティアたちにとって、“幸せ”とは―

 地域への貢献を続けている天野さんも、年金受給者の一人です。1か月の年金受給額は、ご自身の国民年金と亡くなった夫の遺族年金を合わせて、月額約11万円。

 さらに、この日参加していたボランティア9人中7人が、年金受給者だといいます。

(子ども食堂・ボランティア 71歳)
「2か月で6万4000円やから、一番少ないんちゃうかな」

(子ども食堂・ボランティア 78歳)
「働いていたから、厚生年金と国民年金とだけで。1か月12~13万円ぐらいでは、なかなか…。だから私は梅干しばかり食べています。梅干しのお茶漬けを毎日食べています(笑)」

(子ども食堂・ボランティア)
「ウソやーん!それはウソや(笑)」

 年金での生活は決して裕福ではないと言いますが、なぜ働くのではなく、ボランティアをしているのでしょうか―。

(子ども食堂・ボランティア 79歳)
「ここへ来て、ワイワイ・ガヤガヤ言っていたら、ものすごく元気をもらうんです。おいしいものを食べてもらって、子どもたちが『ありがとう』と言って食べてくれる、それが嬉しいんです。お金のことは考えんと、ないなりに生活できるから大丈夫です。年金、ありがとうございます」

(天野さん)
「毎月1回来るという『居場所ができる』ということ。家では一人でも、ここに来たら、みんな友だちになれるし。私たちも一生懸命やっているけど、疲れが取れて、子どもの笑顔に励まされています。Thank you very much, I'm very happy!」

(「情報ライブ ミヤネ屋」2025年2月17日放送)

最終更新日:2025年2月22日 12:00