【ナゼ】「なぜすぐ対応しないのか。ふざけんな」コメ21万トンが“行方不明”、一部の農家や卸売業者がストックか…続く価格高騰受けようやく備蓄米の放出決定も、元官僚が怒りの指摘「典型的な“行政の失敗の結果”」

2024年秋の『令和の米騒動』から半年が経ち、いまだに価格高騰が続く中、21万トンのコメが行方不明に…。なぜこのようなことが起きているのか?そしてコメの価格高騰はいつまで続くのか?コメの生産や物流に詳しい宇都宮大学農学部・小川真如助教の解説です。
■古米不足で業者や個人で確保競争が激化 「十分に供給されているのに市場に出てこない」21万トンのコメはいったいどこへ―?
東京での1袋当たり5キロのコシヒカリの小売価格ですが、2024年の1年で見てみると、8月から10月あたりで急激に高騰していて、2025年1月には4185円になっています。
価格が高止まりしている理由について、宇都宮大学農学部・小川真如助教によると「集荷競争の影響で価格が上がっているのではないか」とのことです。
今の時期の米の流通としては、新米と古米があり、この古米が不足しているといいます。流通業者や外食企業・小売り業者の需要が高く、また消費者が「個人的に欲しい」と農家に直接、依頼をすることもあり、確保競争が激化しています。
Q.古米と新米の違いというのは、どういうものなのでしょうか?
(小川助教)
「新米もいくつか定義があるんですが、基本的に今話している新米というのは2024年産のコメ、古米はそれ以前に取れたものです」
そんな中で、実はコメの生産量が増えているというデータもあります。農水省のホームページでコメの生産量を見ると、2023年から2024年で18万トンも増えています。ただ、集荷量で見てみると、約21万トンが減っています。
この21万トンが行方不明になっているということで、江藤拓農水相は「十分に供給されているのに市場に出てこない。どこかに滞っているのでは」とし、農水省が調査に乗り出しているといいます。
Q.米の生産量は上がっているのに、ねじれ現象で集荷量が減っているといいますが、こんなことが起こるんですね?
(小川助教)
「農林水産省の調査は基本的に年間5000トン以上のコメを集める業者を対象にしていますので、大規模の業者に絞っているわけです。また生産者は全て集荷業者に出しているわけではないので、2024年のコメの品薄をきっかけに、集荷する業者や個人・消費者も含めてプレイヤーが増えてきたので、全体像が掴みきれていないというのが実情です」