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【独自解説】“裏金疑惑”キックバック問題 安倍派に続き岸田派・二階派でも…揺れる自民党 「これからは政治の“DX”進めなければ」元衆院議員・佐藤ゆかり氏が解説

2023年12月13日 15:36
【独自解説】“裏金疑惑”キックバック問題 安倍派に続き岸田派・二階派でも…揺れる自民党 「これからは政治の“DX”進めなければ」元衆院議員・佐藤ゆかり氏が解説
岸田首相「適切に対応」

 “裏金問題”に揺れる永田町。自民党・安倍派のキックバック総額が5億円とみられることが判明し、一方で岸田派でもパーティー券収入の一部不記載が発覚。「政治資金パーティー」の実態とは?元衆院議員・佐藤ゆかり氏の解説です。

岸田派・二階派でも不記載か?「政党本部や派閥だけ監査しないのは不自然」

 岸田派は、数年前までパーティー券収入の一部(総額2000万~3000万円)が、収支報告書に記載されていなかったとみられています。岸田派は「正確な事実関係を把握した上で、適正に対応してまいります」とし、取材に応じた岸田首相も「適切に対応する」と繰り返しました。

Q.2000万~3000万円の収入が記載されていないというのは、考えづらいのですが…。
(元衆院議員・佐藤ゆかり氏)
「平成19年に、国会議員の『議員立法』で政治資金規正法を改正しました。このときに『国会議員が代表を務める政党支部』は監査をしなければいけないと義務化したのですが、なぜか『派閥の収支報告書』や『政党本部の収支報告書』は監査を入れないと落としたんです。だから、こういうことが起きます。民間の企業でも監査はありますから、政党本部や派閥だけ監査しないというのは不自然で、これは法改正すべきです」

 また、二階派でも不記載かといわれています。安倍派と同じ構図でノルマを上回った分について記載していなかったとみられ、その一部をキックバックしていたとみられていますが、二階派の関係者によると、キックバックの分は「派閥側の報告書で、寄付として『支出』に記載していた」、また「議員側としても『収入』として記載していた」ということです。

Q.佐藤さんは二階派でしたが、このことをご存知でしたか?
(佐藤氏)
「派閥がどのような会計処理をしているかというのは、いくら派閥に所属しているといっても、個々の国会議員はそこまで把握していません。ただ、収入としてキックバックがある場合に記載をするというのは、派閥から指示がある・ないに関わらず、一国会議員としての倫理観ですから、そこは個々の議員の判断でやるべきだと思います」

「政治にはお金がかかる」政治資金パーティーの実態…今後どうすべきか?

 佐藤氏が国会議員時代、「政治資金パーティー(コロナ禍)」は一年間に個人2回・派閥1回・大阪府連1回の計4回程度あり、100枚200万円のノルマがあったといいます。キックバックについて佐藤氏は、「キックバックを受けていたかと思われる。私の事務所では、収入として収支報告書に記載している。記載すべきものなので、当然皆さん記載していると思ったが、記載していない人は裏金疑惑と言われても仕方がない」としています。

 佐藤氏は2005年、岐阜1区から出馬し初当選し、2014年に衆院選で大阪11区からくら替え出馬し当選。衆参合わせて4回当選し、環境副大臣などを務め、2023年7月に政界引退を表明しました。

Q.佐藤さんは岐阜で出て、それから大阪に来られて“がっちり地元で”というわけではなかったでしょうから、パーティー券を売るのは大変だったのではないですか?
(佐藤氏)
「私の秘書が相当苦労して、それこそ靴底をすり減らして売り歩くということをやっていました。さきほど個人のパーティーが年に2回とありましたが、コロナ禍以前は年に4回やらないと回らないぐらい支出が多かったです。問題は、公職選挙法の“穴”です。公職選挙法は『お金をかけない選挙をしましょう』という理念の下できたものですが、実際は、お金持ちの議員がいれば、いくらでも人件費を出せて秘書を雇えるわけで、青天井です。例えば、秘書の総人件費に上限をかけるなどして公正な競争ができる環境、そのことによって収入の心配も減らしていくことが大切だと思います」

Q.政治家には給料・ボーナス・政党交付金があり、政治団体にお金が入って記載すれば税金がかからず翌年に繰り越しできて、パーティーで人を集められたらお金が入るということで、「政治にはお金がかかる」と言われても本当かな?と思ってしまうのですが、どうなのですか?
(佐藤氏)
「政治活動には、莫大なお金がかかります。派閥はもとより、議員一人ひとりの個人からみると、収支は相当大変です。コロナ禍でパーティーができなかったときは収入がないので、借り入れをしたり、1000万円単位の自己資金で秘書給与を維持したり、大変でした。自民党の場合、秘書の数は各事務所に10人前後いますが、税金で賄われる公設秘書がわずか3人というのが日本の問題です。アメリカの場合、公設秘書は下院議員の場合16人ぐらい、上院議員だと40人ぐらい雇えます。この公費負担の違いは、政治資金の透明性の観点からいうと、そろそろ日本でも考えて、当然議員として襟を正さなければいけませんが、もう少し公費負担を増やすと。また、これからは政治の“DX(デジタルトランスフォーメーション)”も進めなければいけないと思います。10何人の秘書が地元を回ってという時代もありましたが、これからはインターネットを使って、有権者の方に丁寧に説明していくというアプローチに切り替えていく必要もあると思います」

(「情報ライブ ミヤネ屋」2023年12月12日放送)

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