九条ネギ 同業のネギ農家が窃盗か 「盗んだ方が早い」と初公判で 防カメに刈り取る様子も…
畑から九条ネギを盗んだ罪に問われている28歳の男の初公判が、21日に開かれました。盗んだ当時、自身もネギ農家だった男は動機について「盗んだ方が早い」などと話しました。
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「お金より、ネギが欲しかった」
警察の調べに、こう話したのは山本英雄被告(28)。約216キロの九条ネギを畑から盗んだ罪で逮捕・起訴され、21日に初公判が開かれました。
事件があったのは、今年8月の午前4時ごろ。京都・久御山町にあるネギの畑に設置された防犯カメラが、暗闇の中、大量のネギを刈り取る山本被告の姿をとらえました。
盗まれたのは、京野菜の代表格「九条ネギ」。甘くて風味があり、料理の引き立て役にも主役にもなる伝統的な野菜です。
その九条ネギの一大産地である京都府久御山町と隣の宇治市では、今年6月以降、九条ネギの窃盗被害が8件相次ぎ、約3.5トンもの被害が出ています。
ネギを盗まれた農家
「400~500キロくらい製品で。とられましたね」
ネギを盗まれた農家
「800キロくらいかな。1回2回かな。2回に分けて。もう完全に慣れたもんがやってるね」
警戒感を高めた農家は畑に防犯カメラを設置。そこに、山本被告が映っていたということです。
実は、自身もネギ農家だった山本被告。警察の調べに対し「取引業者に週800キロを納めなければならなかった。仕事を全うしなければという思いから、お金よりネギが欲しかった。簡単にとれたから犯行を重ねていった」と話したということです。
そして、21日に開かれた初公判で起訴内容を認め、「猛暑と雨不足なので(ネギの)生育が止まってしまった。読みが甘かった」と述べました。
事件の背景にあったのは、今年の猛暑だと話す山本被告。京都では猛暑日が50日を超え、過去最多を記録。そのため暑さに弱い九条ネギは、育ちが悪かったといいます。
さらに事件前、山本被告自身もネギの盗難に遭っていて「今年の7月ごろ、200~300キロぐらい盗まれた。自分も盗んだ方が早いし、頑張ってもとられるなら、自分もとった方がいいと思った」と、自身のネギが盗まれたことも動機につながったと話しました。一方で、九条ネギの収益を「ギャンブルや遊び、飲みに行ったりと浪費していた」とも話しています。
検察側は犯行動機も身勝手だとして、懲役2年を求刑。弁護側は反省の態度を示しているとして、執行猶予付きの判決を求めています。判決は12月19日に言い渡される予定です。
(11月21日放送『news zero』より)