【速報】平城京の大型井戸・木簡など木材の高解像度「年輪」データをデジタル公開開始 奈良文化財研究所
奈良文化財研究所は20日から、平城京跡から出土した木製の文化財の「年輪年代データ」をデジタル公開すると発表しました。
奈良文化財研究所では、遺跡で発見された木材の年輪を調べると、その木が何年に育ったものか1年単位で誤差なく明らかにすることができる「年輪年代学」の研究を進めています。何年に育った木なのか確定することで、遺跡から見つかった木造の文化財がいつ作られたのか推定できることから、これまで遺跡や歴史的建造物などの年代測定に活用されてきました。
奈良文化財研究所が、年輪年代のデータについて機関として公表するのは今回が初めてです。
これまでは過去の数値データしか載せることができず、そのデータが正しいか再検証するのは非常に難しいことから、積極的に公開をしていませんでした。しかし、近年ではデジタル技術が進歩したことで、古い写真資料でも解像度をあげることで、年輪の再分析ができるようになったこと、さらに整理体制も構築されたことから、公表に至ったということです。
今回、公開されるデータは平城京から出土した大型井戸や木簡など18点の高解像度画像で、木材の年輪幅から時系列などを計測できるものです。さらに過去に調査した低解像度の資料とデータも同時に公開します。
今回の公開について、奈良文化財研究所は「年輪年代は再検証してもらうのが一番最初の基本。その積み重ねで(史料が)何年かが判明する」と述べ、データを見てくれる人が増え、さらに検証が加わることによって、データをより精緻なものに進展させたいとしています。