×

【ナゼ】増加する“デジタル遺品”トラブル 故人のスマホのロック解除やサブスク解約が出来ない!トラブルを未然に防ぐ、今からできる『デジタル終活』とは―?

2024年12月19日 18:30
【ナゼ】増加する“デジタル遺品”トラブル 故人のスマホのロック解除やサブスク解約が出来ない!トラブルを未然に防ぐ、今からできる『デジタル終活』とは―?
困らないための『デジタル終活』とは

 スマートフォンやパソコンなどで様々な情報を管理するようになった今、問題となっているのが“デジタル遺品”トラブルです。故人のスマホへのアクセスや、契約していたサブスクの解約に遺族たちは悪戦苦闘…。今からできる『デジタル終活』について、日本デジタル終活協会・伊勢田篤史氏の解説です。

■故人の残した“デジタル遺品”のトラブルが増加 ネット銀行にサブスク解約もID・パスワードが分からず困惑!専門家が対処法を解説

 スマートフォンやパソコンで資産を管理する現代社会で今、問題となっているのが、デジタル遺品を巡るトラブルです。亡くなった人が、生前に契約していたネット銀行の口座やサブスクサービスなどのデジタル遺品について、対策をしているのか、街で聞いてみると―。

(街の人)
「(家族と共有は)してないですね。でもその危機感は分かります。父が亡くなったときに、当時、問題はなかったけど、母が、パスワードが分からなくなって、開くのが大変だった」

Q.『デジタル資産』、何を持っていますか?
(60代)
「クレジットカードと株は、ネット取引だから、パスワードがないと動かせない」

Qそれはご本人しか動かせないですか?
(60代)
「そうだね、教えてない」

 国民生活センターは、デジタル遺品トラブルが今後増えるとした上で「残された家族がトラブルに遭わないように、今からできることを対策するよう心掛けていただけると、大変うれしいです」と呼びかけています。

 では、実際にどんなトラブルがあるのか、国民生活センターの事例を基に、まずはネット銀行を巡るトラブルについて見ていきます。

 60代の男性が、亡くなった兄の遺品を整理していた時、ふと、兄がネット銀行の口座を持っていたことを思い出しました。そして早速スマホを開こうとしましたが…

(60代男性)
「パスワード…。兄さんの誕生日かな?…いや、これも違う…」

 男性はパスワードが分からず、携帯ショップに行き、スマホのロック解除を依頼しました。

 しかし―

(携帯ショップの店員)
「大変申し訳ございません。当店では“スマホの初期化”は対応させていただいていますが、“スマホのロック解除”までは対応しておらず、ご自身で思い出していただいて、解除していただいてもよろしいでしょうか」

(60代男性)
「解除できないんですか…?」

 スマホのロック解除は、遺族がパスワードを知らないと、非常に困難なものだといいます。

Q,ネット銀行の場合、亡くなった人が、どこの銀行を使っていたか分からないことが多いと思いますが、どうすればいいですか?

(日本デジタル終活協会・伊勢田篤史氏)
「分からない場合は、まずキャッシュカードを探していただければと思います」

Q.ネット銀行などは、キャッシュカードがない場合もありますよね?
(伊勢田氏)
「その場合は、今分かっている口座から、ネット銀行等に振り込みがないか、そういったところを探していただくしかないです」

Q.逆に金融機関が分かっていれば、どうすればいいですか?
(伊勢田氏)
「金融機関が分かっていれば、相続等の相談窓口にお問い合わせいただければ、相続手続きは可能だと思います」

Q.今回の例では、携帯ショップに行っても「初期化はできるけど、画面ロックの解除はできない」と言われましたが、これはどうにもならないですか?
(伊勢田氏)
「そうですね。難しいと思います」

 続いて、月単位などで定額の料金を支払う通称“サブスク”のサービスを巡るトラブルです。夫を亡くした80代の女性は、夫が亡くなってすぐに携帯の解約をしましたが、料金明細に約1000円の不明な請求を見つけ、カード会社に問い合わせました。

 すると―

(カード会社)
「スマホのセキュリティーの『サブスク』だと思われますので、一度、携帯会社のほうに確認してみてください」

(80代女性)
「サブスク…?ありがとうございます。確認してみます」

 携帯会社に請求元を教えてもらい、解約手続きをするため、サブスク事業者に問い合わせました。

(サブスク事業者)
「お調べしますので、契約者のIDとパスワードをお願いします」

(80代女性)
「IDとパスワード?主人が契約していて、分からないんです」

(サブスク事業者)
「IDとパスワードが分からないと、すぐに解約できないんです」

(80代女性)
「そうなんですか?解約できないと、またお金がかかるし…」

 ネット上に保有していた資産など、亡くなった人のデジタル遺品には、サブスクや有料アプリなど、あとから請求される負の遺産もあります。

Q.亡くなった家族がサブスクに加入していたため、何の請求か分からない引き落としがあるという場合は、どうすればいいですか?
(伊勢田氏)
「分からないものは調べるしかないですが、サブスク事業者を特定したうえで、問い合わせをしていただくという流れになります」

Q.最終的に、困ったら消費生活センターに相談するということですか?
(伊勢田氏)
「そうですね。解約等に応じてもらえないとか、なかなか連絡がつかない、という場合には、消費生活センター等に問い合わせをしていただけたらと思います」

■『スマホのスペアキー』や『デジタル資産引継ぎサービス』なども…家族のために事前にしておきたい『デジタル終活』とは?

 家族のために事前に準備しておきたいのは、デジタルではなく、『アナログで紙にパスワードを書いて残す』ということです。紙に書いた後、その上から修正テープで2~3回重ね貼りすると、自身が亡くなった際に、スクラッチのように家族がコインで削ればパスワードが分かるというものです。他にも、所有の口座などをリストアップしておくことも大切です。

Q.他に何かお勧めはありますか?
(伊勢田氏)
「名刺サイズの『スマホのスペアキー』というものに、パスワードを書いていただいて、財布や通帳に挟んでおく。1人暮らしの方であれば、冷蔵庫の扉に貼っておくという形で、万が一の時に、残されたご家族にログインパスワードを伝えることができる仕組みを作りましょうとご案内しています」

 さらに、登録者に引き継ぎ会社から定期連絡が来る『デジタル資産引き継ぎサービス』というものもあります。登録者が一定期間、応答しなかった場合、継承者に対し、引き継ぎ会社から情報が開示されるというサービスです。

 そしてパスワードが分からない場合、専門業者に依頼するという選択もありますが、金額が20万~50万ほどかかることもあります。さらに時間もかかるため、時間もお金もかけたうえに、解除が出来ないということもあるといいます。

 さらに、スマホのロック解除を試みる場合、複数回誤入力すると、初期化されることもあります。マイナンバーカードも、番号を間違えると止まってしまうため、役所に行かなければならないということもあります。そういったトラブルにならないために、パスワードを誰と共有するのか、ぜひ家族で話し合ってみてください。

(「情報ライブ ミヤネ屋」2024年12月6日放送)

最終更新日:2024年12月19日 18:30