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【再挑戦】まもなく打ち上げ!民間ロケット『カイロス2号機』 前日は「強風」の影響理由に直前に中止 日本初の民間発射場から…軌道投入すれば“民間初” 和歌山・串本町

2024年12月15日 8:00
【再挑戦】まもなく打ち上げ!民間ロケット『カイロス2号機』 前日は「強風」の影響理由に直前に中止 日本初の民間発射場から…軌道投入すれば“民間初” 和歌山・串本町
打ち上げ予定の「カイロス2号機」(14日撮影)

 和歌山県串本町にある民間初のロケット発射場「スペースポート紀伊」から15日午前11時ごろに「カイロス2号機」が打ち上げられます。

 前日の14日に打ち上げの予定でしたが、「高度10キロメートル以上での風速が強かった」ことを理由に、直前に打ち上げの中止を決定。翌日15日11時に打ち上げを延期すると発表していました。

 カイロスの「初号機」は3月に打ち上げを行いましたが、発射直後に自動で爆破される装置が作動して爆発。約9か月を経て、再挑戦となります。

■初号機は打ち上げから5秒で爆発…燃焼速度の計測などを見直し

 ロケット開発を行う民間企業「スペースワン」は、小型衛星を宇宙に運搬する事業化を目指し、和歌山県串本町に民間初のロケット発射場「スペースポート紀伊」を完成させました。さらに、民間小型ロケット「カイロス」を開発しました。

 当初は2022年に打ち上げの予定でしたが、新型コロナの感染拡大やロシアのウクライナ侵攻の影響により部品の調達が遅れて、打ち上げが繰り返し延期に。今年3月13日に念願の初号機打ち上げとなりましたが、打ち上げからわずか5秒で爆発し、墜落しました。

 スペースワンによりますと、何らかの異常を確認した場合に自動的に飛行中断する「自律飛行安全システム」が作動したために爆発。原因については「推力が低く速度が不足し、設定していた正常飛行範囲から逸脱したため」と発表しました。

 一方で、「正常飛行範囲を厳しく設定し、推力となる燃料の燃焼速度の予測も高く設定されていたことで、自律飛行安全システムが作動した。解析の結果、燃料に問題はなかった」として、燃焼速度の計測などを見直した上で、2号機を12月14日に打ち上げると発表していました。

 ところが、14日の打ち上げは約30分前に急きょ中止となりました。理由は「高度10キロメートル以上での風速が強かった」ことが理由で、新しい打ち上げ日程を15日午前11時に再設定。スペースワンの阿部耕三執行役員は14日の会見で、「明日の打ち上げに向けて全力で臨みたいと考えている」と語っていました。

■5基の衛星搭載 上部には「仏像」分離後は“寺”として宇宙を周回

 「カイロス」の名前の由来はギリシャ神話の「時間の神様」で、「2号機」は初号機と同じく全長約18メートル、重さ約23トンで、既存のロケットの中では小型の部類のものです。

 初号機に搭載された衛星は1基でしたが、2号機には民間企業や台湾の宇宙機関など5基の衛星が搭載されています。
 このうち1つは、京都府京田辺市の宇宙事業を手掛ける企業「テラスペース」により製作された50キロ級の超小型衛星「TATARA-1」で、さらに小さい超小型衛星を搭載して軌道上に投入したり、顧客から依頼されて搭載した機器を軌道上で運用したりするサービスの提供を目指しています。

 さらに、京都の世界遺産・醍醐寺の塔頭「菩提寺」とテラスペースなどが連携したプロジェクトとして、衛星の上部には、小さな「大日如来像」が搭載されています。分離された衛星は「宇宙寺院 劫蘊寺(ごううんじ)」として地球上を仏像が周回し、地球上どこからでも、祈りを捧げることが出来るようになるということです。

 菩提寺の仲田順英住職は、衛星に仏像を搭載した狙いについて、「人々が手を合わせて祈る場所というのはいろんな形があっていいのではないか。宇宙に寺があるということは、一つ大きな意義がある」と期待を込めました。

 日本のロケット打ち上げはこれまで、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などが主導していました。
 民間では2019年5月に、北海道大樹町でベンチャー企業「インターステラテクノロジズ」が開発したロケットが初めて打ち上げに成功しましたが、人工衛星は搭載しておらず、今回の打ち上げで人工衛星の軌道投入に成功すれば、民間では日本初の快挙となります。

最終更新日:2024年12月15日 8:00