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地元の和歌山は「ハラハラドキドキ」爆発から約9か月で再挑戦「カイロス」あす打ち上げ、仏像も宇宙へ「宇宙にお寺があるのは 大きな意義」

2024年12月13日 18:20
地元の和歌山は「ハラハラドキドキ」爆発から約9か月で再挑戦「カイロス」あす打ち上げ、仏像も宇宙へ「宇宙にお寺があるのは 大きな意義」

 和歌山県串本町にある日本初の民間ロケット発射場から今年3月の失敗以来、2度目の打ち上げが、14日に行われます。搭載する衛星は5基に増え、なんと「仏像」も宇宙を目指します。

 今度こそ、夢の宇宙へ…。

 花ノ木淳志カメラマン
「カイロスの姿は確認できませんが、あすの発射に向けた作業が進められています」

 民間ロケット「カイロス」のあすの打ち上げを前に、発射場のある和歌山県串本町では成功を期待する声が聞かれました。

 和歌山市から来た人
「前回もきました。(前回は)煙だけ見えました。ぜひ成功するように祈ります」
 地元の人
「世界中の人が注目しているので、今回は無事に上がったらいいと思います」
 南紀串本観光協会・宇井晋介 事務局長
「待ち遠しい反面、ドキドキしますね。前回のこともありますし、ハラハラドキドキという感じです」

 上野巧郎 記者(今年3月、初号機の打ち上げ)
「いま、大きな炎を上げて民間の小型ロケット『カイロス』、しかし…これは…発射後すぐに機体が大きな炎を上げてバラバラになり、そして組み立て棟の近くへ落ち、いま大きな炎を上げています…」

 発射後わずか5秒で爆発した「カイロス」の初号機。搭載されている人工衛星の軌道投入に成功すれば、民間では国内初の快挙となるはずでした。

 「カイロス」を開発した「スペースワン」は、爆発の原因について「ロケットの推力不足による速度の低下で飛行ルートから外れ、安全装置が作動。飛行を中断するため自ら爆発した」としていました。

 スペースワン・豊田正和 社長
「私どもはこれで、あきらめるつもりはまったくございませんので、計画通りに進めることが地元の皆様、関連産業の皆様に対する貢献だと思っております」

 あれから9か月。地元・串本町では明日に向け着々と準備が。
 前回の打ち上げの際にロケットをかたどった饅頭、「そらのかけはし」を作り好評だった和菓子店を訪ねると…。

 「うすかわ饅頭 串本儀平」丸山正雄 製造部長
「こちらが、新しく開発した新商品になります」

 カイロスの再挑戦を受け、第二弾となる新商品を開発!その名も「宇宙琥珀〈ロケッ糖〉」(税込1000円)。
 ロケット型のパッケージの中に、色鮮やかな琥珀糖を詰めこみ、宇宙をイメージ。あすの打ち上げまでに300個は作りたいということで、急ピッチで準備していました。

 「うすかわ饅頭 串本儀平」丸山正雄 製造部長
「うちでできることといったら、ロケットにちなんだお菓子を作って盛り上げていくことだと思ったので、このお菓子でロケットの町・串本を盛り上げていければいいなと思います」

 発射場に近いホテルでは、打ち上げを一目見ようと全国から予約や問い合わせが。あすは宿泊客に展望テラスを特別に開放し、見学してもらうということです。

 宿泊客
「大阪の堺市から来ました。(Q:お目当ては?)ロケット。ロケットの饅頭も買いました。お願いします!飛んでください!カイロスがんばれ!」

 成功への期待が高まる中、肝心の機体はというと…2号機は初号機と同じく、全長18メートル、重さ約23トンの小型ロケットです。

 初号機の“失敗”を踏まえ、2号機ではロケットを飛ばすための燃料の燃焼速度の予測を改善。そして、搭載する人工衛星は1基から5基に増加しました。

 その衛星の一つには、宇宙から世界の平和を願い…なんと仏像が設置されているのです!

 人工衛星軌道を周回し、宇宙に滞在。「宇宙寺院・劫蘊寺(ごううんじ)」と名づけられています。
 この宇宙プロジェクトに加わったのが、1100年以上の歴史を持つ、世界遺産の京都・醍醐寺(だいごじ)。

 醍醐寺 塔頭菩提寺・仲田順英 住職
「お寺としても世界初ですし、まあ民間でなければ多分できないことではないかなと思うんですけれども」

 人工衛星を開発する京都のベンチャー企業「テラスペース」と連携した宇宙プロジェクトで、将来的には、スマホアプリなどで“宇宙寺院”の位置を確認し、空を見上げてお参りができるようにしたい考えです。

 仲田順英 住職
「人々が手を合わせて祈る場所っていうのは、いろんな形があっていいのではないかなというところで、宇宙にお寺があるということは 一つ大きな意義があるんではないか」
「仏様は魂入れをして、『無事に飛びますように』とご祈願はしたので、今回は成功するものと信じています」

 多くの人たちの思いも乗せて、ロケットはあす、その時を迎えます。

◇◇◇

(中谷しのぶキャスター)
 ロケットの打ち上げが明日に迫った現地から中継でお伝えします。(取材・報告=楠下一輝 記者)

(楠下 記者)
 全長18メートル、重さ約23トン。ロケットの発射まで約18時間と時間が迫ってきています。
 私は身長173センチですが、私の身長と比べて、ロケットの大きさがわかるでしょうか?こちらのロケットは模型で、高さは実物より少し小さいですが、ほぼ実物大となっています。

 私が今いるこの場所は、発射場の串本町のすぐ隣町にある「旧浦神小学校」という場所です。こちらともう一つ、「田原海水浴場」という場所が、公式見学場となっていて、明日は約5000人が、2つの会場の方にやってくるということです。

 日本初の民間ロケット発射場「スペースポート紀伊」は、ここから約1.5キロ離れた場所にあり、緑色の建物が組み立て棟となっています。現在、ロケットが中に入っていると見られますが、明日は組み立て棟の建物だけがスライドして、ロケットが姿を表すということです。

 打ち上げ時刻に関しては、現時点では、あす午前11時ちょうどを予定しているということです。

 私、旧浦神小学校の屋上に上がってきました。こちらの見学場では、ロケットの発射場を見ることはできないのですが、山の後ろの方からロケットが打ち上がると、画面の奥の方に向かって、ロケットの姿を確認することができるということです。

 こちらの屋上の見学場では、約250人がロケットの打ち上げの同じ方向を見て、その時間を過ごせるということになっています。

 今少し雨が降っていて、あいにくの天気ですが、午前11時頃の天気の予報では、曇りではありますが、少し晴れ間が除くのではないかということです。ロケットの発射、なんとかできるのではないかと個人的に思っています。絶対にいけると思います。

 こちらのロケットの先端部分に、人工衛星が乗ります。黒い箱や、一番上の黄色のものを合わせて、5つの人工衛星がロケットには搭載される予定となっています。この衛星が地球の軌道上に乗ると、日本の民間のロケットとしては初めての快挙ということになります。

 ロケットが無事に成功することを祈って、あすは見学場の先に見えるグラウンドの方に地元の和菓子店や地元の団体さんが出展する予定で、これまでよりも10店舗増えた36店舗の出店が見込まれています。

最終更新日:2024年12月13日 19:58