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「森をレンタル」するサービスが急成長 全国から440組が予約エントリーするなど反響大! スタートから4年で12道府県に拡大 コロナ禍のアウトドアブームで抱いた“期待”と“不安”をビジネスに転換

2024年12月14日 12:00
「森をレンタル」するサービスが急成長 全国から440組が予約エントリーするなど反響大! スタートから4年で12道府県に拡大 コロナ禍のアウトドアブームで抱いた“期待”と“不安”をビジネスに転換
森の中のスペースをレンタルできるサービスが好調

森林の一区画を年単位でレンタルできる新たなサービスが急成長しています。従来のキャンプ場にはない魅力が利用者の心をつかみ、開始から4年で12道府県に拡大。日本では誰もやっていなかったという新サービス。発案のきっかけは、アウトドアブームで抱いた“期待”と“不安”だったといいます。

「借りて楽しむ」森林活用の新たな発想

誰にも気兼ねすることなく、好きなときに訪れて好きなことができる、自分専用のプライベート空間が森の中にあったら…。そんな夢を手軽に実現できるサービスを始めた男性が、岐阜県東白川村にいました。

森林の中の一区画をレンタルできるサービス「forenta(フォレンタ)」を手がけるのは、株式会社山共の代表取締役・田口房国さんです。発案のきっかけは、コロナ禍でアウトドアがブームになり、山を買いたいというキャンパーが増え始めたことでした。

祖父の代から林業・製材業の会社を営んできた田口さんは、こうした現状を知り、山に来る人が増えれば地方が活気づくきっかけになると期待する一方で、山の管理の難しさから放置林が増えてしまうのではないかという不安がよぎったといいます。

そこで考えたのが「森林を借りてキャンプをし、飽きたら返す」という仕組み。この方法ならば、放置林の問題を回避しつつ、山村に人流や収入を生み出すことができると考えたのです。

当時、森林をレンタルするようなサービスは国内では見当たらず、誰もやっていないのなら挑戦してみようと、着想からわずか3か月ほどで準備を整えた田口さん。2020年11月、岐阜県東白川村にある自社林で1区画を300坪ほどに区切り、年間6万円という価格で募集をスタートしました。

すると、わずか17区画の募集に対し、全国から440組ものエントリーがあったのです。

倍率25倍という予想以上の反響があったことから貸し出し区画を徐々に拡大し、2022年1月には「forenta」の仕組みをフランチャイズ化。全国の森林所有者や林業関係者へ展開しました。

2024年11月末時点では、12道府県19エリアで434区画を貸し出していて、そのうちの約7割が契約済み。今後も順次拡大予定だということです。

従来のキャンプ場にはない「森林レンタル」ならではの魅力とは?

森林レンタルサービスが、これほどまでに人気を集めた理由は何なのでしょうか。従来のキャンプ場にはない、レンタルならではの魅力について、田口さんはこのように話します。

田口房国さん:
「自分の区画に落ちている木や枝、キノコや山菜も自由に使えることが普通のキャンプ場にはない魅力。年間契約なので予約やチェックインもなく、行きたい時にいつでも行くことができ、天候が悪い時などはすぐに帰ることもできる。落ちている木や枝を使ったブッシュクラフトも大人気で、椅子やテーブル、すごい人だと秘密基地のようなものまで作ってしまうんですよ」

利用者へのアンケートでも、「静かにのんびりできる」「自由に過ごせる」ことに多くの人が満足しているという結果に。レンタル契約は年単位ですが、利用者の約8割が継続を希望するといいます。

森林所有者側にも大きなメリットをもたらしています。これまであまり管理できずに放置していた森林を貸し出すことで、新たな収入源が生まれるだけでなく、自分の山への関心が高まり、所有者自身も森林に足を運ぶようになったといいます。さらに、利用者が草刈りなどの作業を行ってくれるため、林内が徐々にきれいになっていくという副次的な効果も。

予想以上の反響を呼んだ画期的な森林レンタルサービス。田口さんは、すでに今後の展開も見据えていました。

田口房国さん:
「まずは全都道府県に展開して、身近な森林に気軽に行ける仕組みを作り上げたいと思っています。キャンプ利用だけでなく、事業目的など他の用途にも森林を利用できるようにしていきたい」

全国展開や用途の多様化を通じて、さらなる発展が期待される「forenta」。この新しいサービスが、次世代に豊かな森林を引き継ぐための重要な役割を果たしていくことになるのかもしれません。

最終更新日:2024年12月14日 12:00
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