【速報】クジラ「淀ちゃん」処理費用 外部委員「市の損害の認定は困難」と結論も「会食は不適切」指摘 「港湾局のガバナンス機能せず」
2023年1月に大阪湾に迷い込んで死んだクジラ「淀ちゃん」の処理費用が不適切に膨らんだと指摘されている問題で、去年6月に大阪市から調査依頼を受けた外部の監察専門委員が、30日、調査結果を報告しました。
専門委員は「委託業者の選定に恣意性があったとまでは断定できず、積算価格の算出自体についてはやむを得ない面があったと言わざるを得ない」などと、大阪市への損害は認定できないとした一方、関係業者らとの会食などは不適切なものであり、「大阪港湾局におけるガバナンスが機能していなかった」「事務マニュアル等の順守を徹底すべき」などと指摘しました。ただ大阪港湾局と委託業者との関係性については、「特段の問題は見受けらなかった」と結論付けています。
この問題を巡っては、去年2月に住民監査請求が提出され、4月、大阪市の監査委員が「委託した業者ありきで検討が進められたと考えざるを得ない」などと指摘。金額についても「多額の不要な支出が疑われる」などとして再調査の必要性があると結論付け、6月、大阪市の横山市長が外部の監察専門委員に調査を依頼していました。
専門委員では、これまで市の監査委員などで指摘されていたものの未だ判断されていなかった事項に加え、大阪港湾局のガバナンス機能や公正な競争が担保されているかについての調査が行われていました。
以下、調査結果の一部抜粋
■処分方法の妥当性
最も困難な方法である「海洋沈下」をあえて選択したという疑いについては否定。状況から、結果的に海洋沈下を選択せざるを得なかった可能性が高く、あえて最も困難かつ費用が高額となる方法を選択したとまでは言えない。
一方、費用面の検討が行われていない点は不適切である。
■業者選定の判断
業者の選定に恣意性があったとまでは断定できない。
ほかの業者が対応可能か、比較見積もりを行うなど具体的に検討しなかったことは不適正であったと言わざるを得ないが、クジラの死亡から輸送期限が5日しかなかった点などから、契約規則に抵触するとまではいえない。
■関係業者との会食
公正契約執行マニュアル違反となり不適正である。
検討状況が委託業者に知られたことによって、委託業者と港湾局のいずれも方針変更したという事実は認められなった。しかし、委託業者側の担当者と港湾局の課長は旧知の中で、検討内容の一部が港湾局から業者側に伝わったであろうことが窺え、市民に疑惑や不信を招く適正性が疑われる行為であった。
■大阪市への損害発生の有無
積算価格の算出自体は、本件業務の特殊性に鑑みるとやむを得ない面があったと言わざるを得ず、法的に大阪市の「損害」を認定することは困難。
もっとも、減額交渉の努力を行うことは当然であり、特殊作業割増費用や特殊清掃費用などを検討した結果、合わせて最大約1400万円の減額の余地があったと言える。