×

【専門家解説】愛媛・高知で震度6弱の地震発生 地震大国日本 各地で「震度5弱以上」相次ぐ 「南海トラフ巨大地震」との関連性は?

2024年4月19日 15:00
【専門家解説】愛媛・高知で震度6弱の地震発生 地震大国日本 各地で「震度5弱以上」相次ぐ 「南海トラフ巨大地震」との関連性は?
4月17日の午後11時14分ごろ愛媛と高知で最大震度6弱の地震が発生

 4月17日の午後11時14分ごろ、愛媛と高知で最大震度6弱の地震が発生しました。愛媛県や高知県で最大震度6弱を観測したのは、1996年に観測方法が変わって以降初めてだといいます。「南海トラフ巨大地震」の“想定震源域内”で発生した今回の地震ですが、「南海トラフ巨大地震」と関連はあるのでしょうか?地震学者の京都大学・梅田康弘名誉教授に話を聞きました。 

「南海トラフ巨大地震」の“想定震源域内”で最大震度6弱の地震が発生 巨大地震への影響は?

 日本列島は、押し合っているプレートの上にあります。今回の地震はフィリピンプレートとユーラシアプレートの境目、「南海トラフ巨大地震」の“想定震源域内”で起きました。

 発生時刻は4月17日の午後11時14分ごろで、震源は豊後水道の深さ39㎞のところです。地震の規模を示すM(マグニチュード)は6.6で、津波の心配はないとのことでした。「正断層型」の地震だったということです。

Q. マグニチュードが速報値が出てから訂正されましたが、何故ですか?
(京都大学・梅田康弘名誉教授)
「マグニチュードというのは、地震が終わらないと決まりません。しかし緊急地震速報を出そうと思ったら地震が起こっている間にマグニチュードを出さないといけません。なので、経験則から予想して速報値を出します。今回、最初はM6.4だったと思いますが、その後、暫定値ですがM6.6になりました」

今回の地震は、「南海トラフ巨大地震」の“想定震源域内”で起きました。愛媛や高知のあるユーラシアプレートに、フィリピン海プレートが潜り込んでいる場所です。震源は、フィリピン海プレートの中で、単独で起こったということです。

Q.引っ張り合って割れたような表現もありますが、そうではないのですか?
(梅田名誉教授)
「30~40kmの深さになると、地球の中というのは引っ張る力というのはないんです。どこもまわり中から押して合っています。その中で一番弱いところがパシッと割れたんです。『南海トラフ巨大地震』は、ユーラシアプレートとフィリピン海プレートの境目がザーッとずれるんです。その幅が150kmもあるんです」

Q.ユーラシアプレートの端っこがピンと跳ね上がるイメージですが、違うのですね?
(梅田名誉教授)
「南海トラフから愛媛県までの幅が約150㎞あります。それが一斉に海側にズレるので、とても巨大です」

Q.今回の地震は最大震度6弱ですが、地震学者にとっては「南海トラフ巨大地震」と比べると小な亀裂だということですか?
(梅田名誉教授)
「そうですね。小さな亀裂です」

 気象庁は、「『南海トラフ巨大地震』との関連は低い」としています。「巨大地震(南海トラフなど)はプレートの相互作用によって、境界面で発生する。今回の地震は、プレートの内部で起きているのでメカニズムが違う」とのことです。

Q.今回はプレートの中で単体で起きた地震だから、関連は低いということですか?
(梅田名誉教授)
「逆に言うと、ユーラシアプレートとフィリピン海プレートの境目でM6の地震が起こったなら大変です。一部がズレるということがあるのですが、それは危険です。8年前の4月1日に『三重県南東地震』というのがありましたが、それが境界面で起こって、大変危なかったんですが、今回の地震はプレートの中で、メカニズムも違うので『南海トラフ巨大地震のトリガーになるという危険性はありません』と気象庁は言っています」

 今回は「南海トラフ巨大地震」の想定震源域内で起きた地震ですが、「南海トラフ巨大地震」との関連性を調査する基準M6.8より規模が小さかったということで、気象庁は「直ちに調査に入ることはしない。“巨大地震”発生の可能性が高まっているとは考えていない」「データを集めて、次回(5月9日)の定例「評価検討会」で詳しく調べる」としています。

Q.なぜ調査の基準がM6.8なんですか?
(梅田名誉教授)
「本当はM7なんですが、先ほど言ったようにマグニチュードを決めるのにも誤差があるので、安全を見てM6.8を超えたら“臨時” の『評価検討会』を開くことにしています」

1995年の「兵庫県南部地震」以降、ずっと活発な地震活動が続いている

3月以降だけでも震度5弱以上の地震が「岩手県沿岸北部」「福島沖」「茨城県南部」「大隅半島東方沖」と今回の「豊後水道」と5件もあります。

Q.今は地震の活動期なんですか?
(梅田名誉教授)
「活動期です。1995年の『兵庫県南部地震』以降、ずっと活発な地震活動が続いています」

Q.「南海トラフ巨大地震」ばかりに目を奪われてますが、今起きている地震にも警戒が必要ですよね?
(梅田名誉教授)
「ぎゅうぎゅう押し合っているので、陸側にもストレスが溜まりますし、海側にもストレスが溜まります。その海側に溜まったストレスが今回の地震です」

Q.今回の地震ですが、今後も同程度の地震が来る恐れはあるのでしょうか?
(梅田名誉教授)
「M6.6にしても深さが39kmなのに、余震がたくさん起こっています。深いところはあまり余震が起こらなんですが、ちょっと、ここが心配なんですが、しばらく注意した方が良いと思います」


(「情報ライブミヤネ屋」2024年4月18日放送)