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SPEEDI、避難判断に使わず 規制委

2015年4月22日 21:25

 原子力規制委員会は22日、原発事故が起きた場合の避難方針などを定めた原子力災害対策指針を改定した。放射性物質の広がりを予測するシステム、通称SPEEDIは、今後、避難の判断には使わないと正式に決めた。

 SPEEDIは、原子力事故が起きた際、施設からの放射性物質の放出データなどを基に、その後の広がりを予測するシステムで、福島第一原発事故前までは、避難するかどうかの判断材料としてこの予測を利用することになっていた。

 しかし、福島第一原発の事故では、予測に必要なデータが十分にそろわず、さらに予測結果は事故後2か月近くも公表されず、住民の避難には使われなかった。これを受け原子力規制委員会は、SPEEDIによる正確な予測は困難だとして、今後避難の判断には使わずに、実際の放射線量のモニタリングの値などを基に避難を判断するとの考え方をこれまでに示していたが、22日に指針として正式に決定した。

 これに対し、SPEEDIによる予測も判断材料の一つとして活用するよう求める一部の自治体からは、事故への備えが不十分になるとして、反発する声も上がっている。

 また、原発からおおむね半径30キロ圏外について、避難するかどうかは事故が起こった後に規制委が判断するとしている。