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【解説】「自民全敗」で岸田政権の今後は… 首相、都知事、立憲民主党…それぞれの「不安」とは?

2024年4月29日 20:20
【解説】「自民全敗」で岸田政権の今後は… 首相、都知事、立憲民主党…それぞれの「不安」とは?

28日に行われた衆議院の3つの補欠選挙で、いずれも立憲民主党が勝利し、自民党は3敗となりました。これについて、政治部官邸キャップの平本典昭記者とお伝えします。

森圭介キャスター
「それでは平本さんに、次の3つの『不安』について解説してもらいます」

1.岸田首相の不安
2.小池都知事の不安
3.立憲民主党の不安

■3敗で求心力低下…でも加速しない“岸田おろし”の動き

森キャスター
「まず『岸田首相の不安』とは、どういうことでしょうか?」

平本典昭 政治部官邸キャップ
「1番大きな不安を抱えているのは岸田首相です。“岸田おろし”が加速するのでは?という不安を抱えているからです」

「3敗で求心力の低下は避けられません。ある閣僚経験者は『次の選挙は岸田首相では戦えないということが共通認識になった』と、自民党幹部の中からも『首相が辞めるしかない』といった声すら、出ているんです」

森キャスター
「岸田首相の責任論ということになると思いますが、“岸田おろし”の動きは一気に進むと考えていいのですか?」

平本キャップ
「となるかと警戒しながら取材していますが、その動きは広がっていないんです」

「そのワケの1つ目は、敗因は岸田首相1人ではなく『執行部全員の責任だ』という声が出ていることです。ある幹事長経験者は『いまの自民党は「表紙」だけ、岸田首相だけ変えても意味がない』という指摘もしています」

「2つ目は、有力な『ポスト岸田』が見えてこないことです。石破さん、上川さん、小泉さん、河野太郎さんと名前は出るものの『この人こそポスト岸田』という顔が見えてきません」

「さらに岸田おろしを仕掛ける動きも表だっては出てきていません。ある首相側近は『派閥がなくなったことで、政局を仕掛ける原動力がなくなった』とも言っています。求心力は低下しているものの“岸田おろし”の動きが一気に加速しない『奇妙な安定』を保っているといえます」

■小池人気にもかげり? 国政復帰は…?

森キャスター
「続いて『小池都知事の不安』とは、どういうことですか?」

平本キャップ
「これは『小池人気にもかげり?』という不安です。今回、東京15区では小池知事が主導する形で都民ファーストの会は乙武氏を支援しましたが5位と惨敗しました。『小池知事の選挙の強さ』にかげりが見えてきた、との指摘もあります」

平本キャップ
「ポスト岸田の1人として与野党から『小池知事が国政復帰を狙っているのでは』と警戒する声は根強くありますが、今回の結果を受けて、ある小池都知事に近い自民党議員は『これで国政復帰は厳しくなった』と分析しています」

森キャスター
「ことしの7月には都知事選も行われますが、そのあたりへの影響は考えられますか?」

平本キャップ
「小池知事は今回の選挙結果なども分析して、まず都知事選挙に出るのかどうか、そのほかの選択肢があるのかどうか、慎重に検討するものとみられます」

■立憲民主党「3年前のトラウマ」とは?

森キャスター
「3つ目のポイントです。今回の補選では3勝した立憲民主党にも、不安があるということなんですか?」

平本キャップ
「そうなんです。立憲民主党は補選3勝に勢いづいてはいます。ある立憲幹部は『政権交代に向けた土台ができた』と言っています。しかし、立憲民主党の幹部から聞くのは『3年前のトラウマ』です」

「3年前、なにがあったかというと、当時は菅政権でした。自民党は今回と同じように4月のトリプル補選で全敗しました。しかし、追い込まれた自民党は、自民党トップを決める総裁選挙で、菅さんから岸田首相を選び“顔を変えて”与野党対決の総選挙に臨み、立憲民主党が敗れました」

「ある立憲幹部は当時を振り返り『菅政権を追い込みすぎて、選挙で負けてしまった』と。別の立憲幹部はいまの状況に重ね合わせ『一番の戦略は岸田首相と衆議院総選挙を戦うこと』だと指摘しています。つまり、自民党を追い込みすぎて、岸田首相が代わってしまうのでは、という不安があるようです」

■今後の岸田首相の政権運営… 戦略練り直しか?

斎藤佑樹キャスター
「立憲民主党にも不安があるということですが、今後の岸田首相の政権運営のポイントはどこになりますか?」

平本キャップ
「岸田首相が描いてきたのは、今の国会での解散総選挙の模索、もしくは9月の自民党総裁選での再選です。しかし、党内では『岸田首相での解散だけは勘弁してほしい』などと解散を止めようという声や『総裁選でリーダーを代え、局面転換を』などと総裁選で別のリーダーを求める動きが、今後強まる可能性もあります」

「さらに、後半国会の最大の焦点は政治資金規正法の改正ですが、国会論戦もたやすくはありません。岸田首相は5月1日から6日間の海外訪問に出発しますが、戦略の練り直しの時間となりそうです」

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